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2005年4月23日 (土)

観客動員増を狙うインセンティブ契約

市民球団設立準備室のHPで、スポーツマネジメントレビューの記事が掲載されています。ここで、市民球団の収支の細目が紹介されています。これを見ると、選手の移動・遠征費(交通費や宿泊費など)が支出に計上されていません。記事の本文を見るとサポート企業が選手の年俸・経費と負担すると書いてあるので、この移動・遠征費はサポート企業の負担となるようです。

この移動・遠征費は、2004年のダイエー球団で13億円(日経ビジネス2004.9.20号)。この費用には監督、コーチやスタッフの分も含まれているかもしれませんが、ひっくるめて選手年俸の半分程度の費用となってます。この費用をサポート企業に割り当てる場合、選手年俸に比例配分するのか、頭割りにするのか、個別選手ごとの実費精算にするのか。。。まぁこれは細かい話ですが、いずれにしろ、サポート企業は年俸(仮に総額で22億円と想定)+経費(総額で13億円)の負担をするという契約を(選手と?)結ぶことになります。

で、球団の方は、この選手年俸と経費を除いた収支で黒字がでた場合、その黒字分から20億円を上限としてサポート企業にレンタル料として支払うという仕組みです。ただし、ここでいう黒字というのは、年俸と経費という30億円以上の負担を除いた部分の収支で黒字という意味なので、既存球団の黒字とは全く意味が異なります。
ところでサポート企業が契約を結んでいる選手を球団がレンタルするからレンタル料、というのはわかりますが、その費用が球団の収支によって0~20億円の範囲で変動するものをレンタル料と呼べるでしょうか?

この費用の変動要因は、主に観客動員数にありそうです。準備室では、1試合平均で31,200人の動員ができれば、満額の20億円を支払えるという試算をしています。これが、半分程度の15,000人程度の動員に終わった場合は、レンタル料がゼロになってしまいます。
球団がレンタルしているのは選手ですから、選手の活躍度によってレンタル料が変動するというならつじつまが合いますが、観客動員数によってレンタル料が変動するというのは、やはりしっくりきません。レンタル料は定額で安く設定しておいて、変動部分をインセンティブ契約と呼んだ方がよいのではないでしょうか。

次に問題となるのは、球団の収支が「0~20億円の黒字」以外の場合の扱いです。まず、赤字の場合。「市民球団のオーナー」では、そのリスクを負う企業を決めておき、そこからオーナーを出させるべきと考えました。逆に20億円以上の黒字となった場合。まぁ夢のような話ですが、優勝を争って、プレーオフ、日本シリーズと勝ち進んだ年にはあり得るかもしれません。この場合、一般の企業にならえば、利益を内部留保しておいて、業績が低迷したときに割り当てるという発想をとるか、投資(有力選手の獲得や球場・練習場などへの設備投資)に使うかということになると思います。

それはそれでいいのですが、この大阪市民球団が大阪市や大阪府といった地元自治体の支援を受けるということを考えると、予想を超える利益については、自治体へ還元するという発想があってもよいかと思います。その方法としては、大阪ドームと球団との契約をインセンティブ契約として、観客増によって球団収支で利益が20億円を超えた場合、利益(の一部?)を大阪ドーム側へ支払うという内容です。

つまり、20億円までの利益はサポート企業へのインセンティブとし、それを超える利益は大阪ドームへのインセンティブとする方法です。大阪ドームの経営には大阪市や大阪府が責任を負っているわけですから、インセンティブをとりたいと思うようになるでしょう。ところが、このインセンティブをとるのは容易ではありません。現在の試算によれば、1試合当り31,200人以上の観客動員があって、はじめてこのインセンティブが成立することになります。そこで、大阪市や大阪府には、三セク事業の失敗例の一つである大阪ドームの再建策の一つとして、自らが観客動員に貢献するという施策を立てててもらいましょう。その具体策は、ズバリ「職員全員が大阪市民球団の出資者となり、球場へもできるだけ通うようにする。」というものです。

「実態のないカラ残業はやめて、定時が過ぎたらみんなで大阪ドームへ通おう!」

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