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2005年5月22日 (日)

大阪ドームの特定調停とオリックスの責任

大阪ドームは経営破綻して、現在、特定調停を受けています。特定調停というのは、借金で首が回らない大阪ドームを再建させるため、ある程度の借金を棒引きにしましょうということで、債権者(お金を貸している人)と債務者(大阪ドームシティー)との間で話し合いをするのに際し、裁判所が調停に入っているということです。

再建計画の概要(リンク先途中のPDFファイル)は...
・大阪ドームの施設を大阪市が買い取る。買い取り価格は100、150、200億円のいずれかで、その価格は不動産鑑定で決める。
・施設の売却金を借金返済に充て、返しきれない分は債務免除を要請する。

ここで問題なのは、「買い取り価格をいくらに設定するのか?」と「今後、経営が改善されるのか?」の2点です。
で、いずれも大阪ドームの利用用途の主力であるプロ野球興行の行く末に大きな影響を受けるのは明白です。

この点は、大阪市の市議会でも再三話題になっており、昨年の12月14日には次のような議論が行われています。

---大阪市議会議事録の引用---

◎堀計画調整局企画調整部監理団体担当課長
 委員御指摘のとおり、ドーム会社とオリックスは非常に厳しい交渉を続けているのは事実でありますんですけども、来々期以降につきまして、口頭で、かつ使用条件とリンクするものではございますけれども、オリックス球団側から、年々、ドームの試合数をふやし、数年のうちには基本的なスタンスを大阪ドームに移したいという旨の意思表示はなされていると、会社から聞いております。

◆大西宏幸委員
 基本的にね、オリックスが信用できるかでけへんかというのを、くだんに考えたら、はっきり言うて、もともとオリックスいうたら、つぶれそうな会社を買って、それを利益をもとに売るというような手法をとってるような会社ですから、はっきりと言って、再建計画の基本理念て何や言うたら、1年、2年でオリックス球団が売られて、契約、約束事がそのときほごにされてしまったら、もう、それで再建計画パーなってしまうんですよね。
 今、言うたように、口頭では約束されてます。これ、はっきり言うて何や言うたら、市長、口約束と言うんですよ、これ。口約束なんか、裏づけあれへん。どんな偉い人でも、そんなことは言うてませんて、水かけ論に絶対なりますわな。
 私自身、例えばね、契約書にちゃんと書かれてたり、少なくともやね、10年はオリックス・バファローズを私らが持っときますと、絶対に大阪ドーム球場でやらしてもらいますということを、物において書いてくれはんねやったら、わかりますよ。だけど、口約束をこの時点で、口約束だけで、こういうええ話をやってるということ自体が、何か、裏あるように思えるんですよね。余り言うたら、オリックス、怒ってまいよるから、余り言えないんですけども、これは、個人的な意見ですから、大阪市側の意見と思われても困るんですけども。

---大阪市議会議事録の引用おわり---

オリックス(宮内オーナー)は、大阪ドームの再建に気をもんでいる大阪市には「3年後には大阪ドームを単独本拠地にする」と口約束をし、神戸市には「2つの地域で競争して勝った方に本拠地を移す」と2枚舌で舐めまくっているわけです。
また他の日も含めた市議会(ここで「オリックス」と「大阪ドーム」の2語で検索では、「オリックスは大阪に根付く努力をしていない」「オリックスが大阪で受け入れられるとは思えない」「オリックスの動向が確認できない状況で適正な不動産鑑定ができるのか」という意見が飛び交っています。

そんな中で、正に今、特定調停が行われており、6月20日、7月27日...と調停が進んでいく予定になっています。
大阪市、オリックス、そして近畿日本鉄道は大阪ドームの経営に責任を持つべきであり、中でもオリックスの口約束を元に再建計画を立てていることを考えると、オリックスの社会的責任は極めて重いわけです。

オリックスのビジネスモデルとオリックスバファローズの人気で大阪ドームを再建できるのならそれはそれで結構なお話ですが、それは無理というのなら、代替案を考慮すべきでしょう。

オリックスバファローズと大阪市民球団のビジネスモデルの公開コンペを開催し、大阪市民の住民投票でもやったらどうでしょうか?
それで負けたら大阪市民球団の新規参入がダメになっても(私の中では)あきらめがつきます。しかし、プロ野球球団の経営という観点で、宮内オーナーの率いるオリックスと勝負をして負けるとは思えません。私には、オリックスバファローズという球団が大阪に存在していることに対する社会的、文化的な意味での存在価値があるとは思えないんです。もちろん、球団の選手や監督、コーチ、そして応援しているファンを責めているわけではありません。しかし、ファンの中には「大阪近鉄バファローズ(あるいはオリックスブルーウェーブ)出身の選手だけを応援している」という人が多数います。既に消滅した球団出身のみを応援するという行為は、選手の引退により、年々応援対象の選手が減っていく、つまり年を追うゴトに興味を失っていくということを意味しています。
オリックスのビジネスモデルが、そのような統合球団の特殊事情を踏まえた上での将来展望を持っているでしょうか?
オリックスバファローズの不人気は大阪ドームの再建を難しくします。オリックスは責任の取り方を明確にすべきであると考えます。

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» 久々の大阪ドーム [写真エッセイ『わし的パイプのけむり』]
 おはようございます~テルテルです。  さて皆さん、本日は先週行ってきたプロ野球 [続きを読む]

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