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2005年6月28日 (火)

交流戦を終えて、今後のために

交流戦を終えて、あちこちでアンケートやら、総括やらがなされています。大方の意見をまとめると、次の2つのタイプの意見に集約されそうです。

タイプA:興味深い対戦カードもあり、新鮮みがあってよかった。また来年も実施して欲しい。ただ続けて1ヶ月半は長い。時期を分けるとか、試合数を減らすとかマンネリ化を防ぐ工夫が必要。
タイプB:人気の讀賣・阪神戦を組めたパリーグにとっては得。選手の露出度も増えた。一方で、その人気カードが減となったセリーグ4球団にとっては損。

まぁどちらも、やる前から分かり切った結果であって、「予想」で述べるならまだしも、これを持って「総括」とまとめるのは芸がなさすぎます。ということで、もうちょっと違う角度から考えてみましょう。
タイプAのように、多くの人が概ね好感を抱いている交流戦が今までなぜ実施されなかったのか?それは、タイプBにあるように、セリーグ4球団が損をするからです。交流戦をやるかどうかを決めるのは実行委員会とオーナー会議で3/4(=9/12)の賛成を得る必要があります。損をするとわかっている4/12が絶対反対を唱える限り、交流戦は永遠に実現される可能性はなかったわけです。その交流戦がなぜ実現されることになったのか?
まず讀賣・阪神という対戦相手に富をもたらす人気カードを組めないパリーグ全体が経営難に陥り、リーグ自体の運営が困難となったため、2組の合併により球団数を縮減した上でセリーグに統合するという経営改善策が秘密裏に練られ、先発隊として近鉄・オリックスの統合が発表されました。その後の結果はご承知の通り、統合+新規参入でセパ12球団体制が維持されることになったわけですが、そのままでは「パリーグの運営が困難」という状況に変化がないため、交流戦を実施してパリーグを助けようということになったわけです。そうなると、今度は困るのがセリーグの4球団。そのうち本拠地での観客動員力のある中日を除く広島、横浜、ヤクルトの3球団にとっては深刻な影響がでてくるわけです。

6月27日の日経新聞朝刊に、千葉ロッテマリーンズの重光オーナー代行のインタビュー記事が載っています。パリーグの経営難の事情とか、昨年の再編劇を振り返っての話題が語られているのですが、その最後のあたりに意味深なコメントが載っています。

---6月27日の日経新聞朝刊より引用---
今季はマリーンズの収支も改善されるはずだ。問題はセの球団かもしれない。球界としてもっと早く経営状況を把握し、対策を立てるべきだった。この状態で二年も三年も持つことはあり得ず、早晩、再編第二幕はあるだろう。
---引用終わり---

額面通りにとれば、近くセリーグの球団の統合が発表されるだろうということですね。だって二年持つことはあり得ないと断言していますから。とにかく、交流戦に対するファンの支持がある以上、今度は交流戦が既得権になるわけです。で、交流戦をやればやるほど、セの3球団の経営は悪化していき、耐えられなくなっていきます。もともと経営努力やファンサービスに関してはパリーグの方が上だったというのは、重光氏も述べていますが、讀賣・阪神頼みの殿様商売から抜け出すのは容易ではありません。そこでセリーグで2組合併させて1リーグ化にすれば、パリーグの球団は持ち直すわけですね。楽天・ソフトバンクという優良(かな?)な買い手もいなくなり、球団合併のルールもできた今は、昨年より話を進めやすくなったわけです。もちろんファンの声を無視するというのは従来通り(^^;と考えて。そもそも交流戦の試合数を同一リーグの対戦数と同じところまで増やしていったのが1リーグ制です。「交流戦もいいものでしょう?」というアピールは1リーグ化の抵抗感を引き下げる効果がありそうです。ところで、セの3球団で2組合併では数が合いません。もう1球団は人気最低のオリックスか親会社が危機的状況にある西武でしょう。
6月25日の朝日新聞朝刊で、交流戦が終わったのを受けてのアンケート特集があり、応援している球団をたずねているところがあります。
3310人に聞いて、阪神718人、讀賣298人(まぁ讀賣新聞の調査なら逆かもしれませんが^^;)、ソフトバンク179人、東北楽天162人、中日142人、横浜129人、広島113人、ヤクルト103人、千葉ロッテ102人、北海道日本ハム96人、西武95人、オリックス23人。
3つの新球団の明暗がくっきり分かれています。この手の調査はあちこちでやっていて、1位・2位の順位と、3位から11位までは調査によって変動していますが、オリックスのダントツ最下位というのは定番になっています。それはオールスターのファン投票もしかり。「新球団」にしてこれでは、もはや存在価値がありません。

とまぁこんなワケで、広島+オリックス(瀬戸内連合!?)、ヤクルト+横浜(フジサンケイグループ!?)という組合せがまことしやかにうわさされているわけですね。残りの西武にはインボイスという買い手候補がいますので、余りはでない。。。

しかし、これは縮小均衡論という経営論理からたどりついた改善策であって、要はババが昨年までのパリーグからセリーグへ移った状況にすぎません。

ところで、同じ日の朝日新聞のアンケートでは、「今年のプロ野球は面白くなりましたか?」の問いがあり、「はい」が58%、「いいえ」が21%となってます。「はい」の理由のほとんどが「交流戦」、興味深のは「いいえ」の理由で、「試合がつまらない:121人」「特定球団への偏重:81人」「サッカーなどの方が好き:78人」「魅力ある選手がいない:75人」「MLBの方が面白い:70人」「買収、不祥事などで嫌気:57人」「試合時間が長い:37人」。。。
昨年、球界再編に批判的な意見を出し続けた朝日新聞の読者にして、「買収、不祥事などで嫌気」を理由にプロ野球がつまらなくなったという人が3310人中57人(1.7%)しかいません。嫌いな理由のほとんどが、「つまらない」に集約されるものであり、その最大の要因がスター選手のMLBへの流出にある(だから日本に魅力ある選手がいない)というのは明白です。

交流戦は新鮮だからこそ受けたのであって、1リーグ化が理想というわけではありません。「買収、不祥事などで嫌気」が少ないのは、昨年の再編劇が認められたのではなく、「東北楽天」という新規参入が免罪符となり、「交流戦」と見かけ上は活発化した「ファンサービス」で一時的にしのいる状況にすぎません。これを好機とばかりに、昨年、ファンと選手の反対で押し返した球団数削減・1リーグ化を再度試みようとすれば、その時こそ、プロ野球が崩壊する時でしょう。

じゃあどうすればいいのか?プロ野球を「つまらなく」している元凶を取り除く必要があります。一つはショウもない経営者。ファンが評価した場合、果たして何人残れるのでしょうか?特に、50年ぶりの球団統合という話題性がありながら、3310人中23人(0.7%)の支持しか得られていないケースなど、なぜトップが経営責任をとらないのか?不思議な現象です。常識的には考えられません。その人がオーナー会議の議長をやっているのですから、プロ野球の先行きが暗いのは当たり前。それと、大リーグへのスター選手の流出。これをくい止めるのか?、流出しても面白くする仕掛けを考えるのか?いずれにしろ、早急に対策を実施しなくてはいけません。くどいようですが、球団数削減・1リーグ化がその対策とはとても思えません。

「なんかオモロイことがないかなぁ?」
大阪市民球団を、その問いに答えられるような球団に育て上げていくというのが私の望みです。

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2005年6月26日 (日)

大阪市民球団の地域密着はどこで?

「地域」というのは広辞苑によれば、「区切られた土地」。やはり、ある程度、ここからここまで、と区切ってやらないと具体像が浮かんできません。大阪市民球団に関わる市民はどの程度の広がりも持った地域で考えればよいでしょうか?

まず、本拠地(とする予定?)の大阪ドームへのアクセス時間を考えてみます。大阪ドーム前千代崎から乗り換え時間を含む主要駅(JR)までの時間(新幹線・特急は使わない)は、京都:60分、三宮:63分、大津:70分、奈良:61分、和歌山98分。平日ナイターのアクセス可能圏を考えると、1時間半を超える和歌山が限界ギリギリで、それ以外は十分に圏内であると言えるでしょう。そこで、乗り換えを含む鉄道乗車時間がほぼ1時間半の地域を「大阪ドーム圏」と名付けてみます。具体的には、京都・三宮・奈良から30分以内、それに和歌山を含む関西の主要都市がほとんど含まれる広域な地域になります。要はこの範囲に居住する「市民」を固定客として取り込むことが最重要と考えられるわけですね。

次に市民の活動範囲を考えてみます。これは日常的な活動という意味ではなく、大阪市民球団を支えるNPO法人の「スポーツ(特に野球)をやる・みる・考える活動」を行っていく範囲です。一つの候補は、対象とする市民が居住している地域である「大阪ドーム圏」とする考え、もう一つの候補は大阪市民球団の保護地域となる大阪府に限定する考え。どちらにしても一長一短ありそうです。

ここで、今はなき福岡ダイエーホークスの戦略を取り上げてみます。それは、「福岡限定の市民球団ではなく、九州全域を対象とした地元球団を目指そう」というものです。「市民球団」という言葉のイメージを、狭い地域をテリトリーとした球団としてとらえていたのでしょう。まぁ「地元」が九州全域を示すというのは議論の余地がありますが、とにかく九州全域をテリトリーにしようというのが福岡ダイエーホークスの方針だったわけです。具体的には、ドラフトで九州出身選手を積極的にとる、ファームの試合を九州各地でやる、主力選手が自主トレとか野球教室開催を九州各地でやるといった方策で九州各地にファン層を拡大していき、その戦略は見事に当たりました。

九州におけるホークス球団の敵は全国区の讀賣でした(福岡では西鉄を引き継いだ西武でしたが^^;)。でも讀賣はキャンプで宮崎に来てるけど、普段は九州に来ないわけだから、ホークス球団のやる気次第でファンを奪うことは十分に可能だったわけです。一方で、大阪市民球団の敵は阪神。こちらは、関西を本拠地としている球団であり、同じように平日ナイターのアクセス可能圏として「甲子園圏」というのを考えると、「大阪ドーム圏」とは、和歌山方面と奈良方面を除いて、かなり広い範囲でラップしてしまうんですね。要はこのラップする範囲が阪神との競合範囲になってしまいます。また阪神の場合、地域密着と言うより、今や讀賣をしのぐ勢いの全国区の人気を獲得していますから、「甲子園圏」の外でも競争力があるというやっかいな存在です。したがって、大阪市民球団では、阪神の存在、そして甲子園と大阪ドームの位置関係を十分に考慮して地域戦略を立てていく必要があります。

大阪市民球団の地域戦略(「大阪の地における市民球団」でも考えましたが)は、「大阪ドーム圏」を神戸方面・京滋方面・大阪府・奈良&和歌山方面の4つの地域に分けて考えるのがよいのではないでしょうか。
・神戸方面
これは間に甲子園を挟むワケですから、頑張らない方が賢明。甲子園をまたいで阪神と勝負するなんて、まともな経営者なら想像もしないでしょう。神戸に本拠地をおいて広域連携するなら、四国方面や岡山方面へ延びていくべき。広島?それは遠すぎます。色を考えたって赤と青は相容れないのはもうわかってるはずなんですが。。。ちょっと脱線しました(^^;
・京滋方面
プロ野球の未開拓地。よそもんを受け付けない難しい土地柄ですが、パートナーを見つけて乗り込んでいけばチャンスはありそう?パートナーの力量次第というか、既に地域密着しているパートナーがつくことが必須条件。
・大阪府
阪神は大阪府の球団じゃない!それを全国のプロ野球ファンに知らしめるのが大阪市民球団の存在意義と言えるのではないでしょうか。そのためにはホームタウンと呼べる拠点つくりからはじめる必要があると考えます。当然のことですが、ここが対阪神の主戦場。ここをとらなければ話になりません。あらゆる知恵と多くの資金を投入して、少なくとも阪神と拮抗する人気・支持を得る必要があります。阪神に勝つのは無理かもしれません。でも最低限ライバルと認識してもらわなければいけません。そのためには様々な対立軸を用意し、「阪神との違い」を演出していくのがよいかと思います。キーポイントは行政の支援(大阪府と大阪市が頼りにならないのは重々承知の上ですが^^;)。球団を直接支援してもらうのは無理でしょうから、もうすぐ大阪市の所有物となる大阪ドームと、球団を支援するNPOを行政が支援するというスキームがよいと思います。で、願わくば、大阪ドームの指定管理者に球団の運営会社がなる。。。
・奈良&和歌山方面
地理的な優位性を活かさない手はありません。人口は少ないとはいえ、元近鉄ファン、元南海ファンがウヨウヨといるわけですから、徹底的な地域密着で阪神ファンを一掃してしまいましょう。資金の投入というよりふれあい重視(あえて言えば選手を含めた人の投入)のローラー作戦が必要でしょう。なお戦略上は大阪の南部もこちらの地域と一体化した方がよいかもしれません。

ということで地域戦略に、大阪府→→奈良&和歌山方面→京滋方面→→→神戸方面という優先順位をつけて考えてみたいです(京滋方面の優先度はパートナー次第で変動あり^^;)。

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市民球団って何?

考えても考えても、「これや」っていう答えがでてきません。
「市民参加」「地域密着」などの言葉をつなぎ合わせれば、「市民球団」らしいものは表現できます。で、それは何?と突っ込まれるとうまく説明できません。やはり、誤解は承知の上で、具体的な定義をしてみないことには始まらないような気がします。

まず「市民」。広辞苑によると
1.市の住民。都市の住民。
2.国政に参与する地位にある国民。公民。広く、公共性の形成に自律的、自発的に参加する人々。
3.ブルジョアの訳語。(こんなんあり?)
1の「市の住民」は「大阪市に住民票をおいている人」というイメージですが、大阪市民球団の「市民」は1ではなく、2の後半の「広く、公共性の形成に自律的、自発的に参加する人々」の部分でしょう。ここをもう少し掘り下げてみます。再び広辞苑に頼ると(^^;
・公共性:広く社会一般に利害や正義を有する性質
これまたややこしい。。。「利害」って何?「正義」って何?
・利害:利益と損害
・正義:正しいみちすじ。justice!社会全体の幸福を保証する秩序を実現し維持すること。
ん~なんで「利益」だけじゃなくて「利害」なんでしょう?ちなみに「公共心」を調べてみると、
・公共心:公共の利益を図る心。公共に尽くす精神。
これはわかりやすい(^^)。ついでに「公共財」は?
・公共財:その便益を多くの個人が同時に享受でき、しかも対価の支払者だけに限定できないような財やサービス。公園・消防・警察など。
さすがに、大阪ドームが公共財とは書いていません(^^;
とりあえず先に進むと。。。
・自律:自分で自分の行為を規制すること。外部からの制御から脱して自身の立てた規範に従って行動すること。
・自発:自ら進んで行うこと。
「自律的」の方は、してはいけないことをぐっとこらえて行動するというイメージ、「自発的」の方は、自らの意思で積極的に活動(いきいきと行動すること)するというイメージが感じられます。
それでは、これらをつなぎ合わせてみます。
「市民」とは、「広く社会一般で、お互いに利害関係を持ちながらもみんなが幸福になれるよう、我慢すべきところは我慢しつつ、自ら進んで活動しようとする人々」である(by広辞苑)。
それでは「市民参加」は?というと、「市民」の意味の中に「参加」が入っているので、ほとんど同じ意味合いになりそうです。

この辺で、プロ野球球団としての「大阪市民球団」の「市民」にブレークダウンしてみます。まず「みんなが幸福」っていうのはどういう状態でしょうか?例えば、球団が勝ち続ける状況は、「その球団を応援している人々」にとっては幸福ですが、リーグ戦であることを考えると、その分、負けている球団があるわけですから、広く社会一般が幸福とはいえません。この辺が、「利害関係」とか「我慢すべき」に絡んできそうです。「勝つ喜び」を分かち合える状況。これが「みんなが順番に幸福になれる」一つの状況かと思います。しかし、それだけではモノ足りません。
「利害」「みんな」「我慢」という言葉から想像できるのは、「個人」ではなく「集団」、それも単なる集まりではなく、「みんなが幸福になれる」という目的意識を持った「コミュニティ(共同体)」。そのコミュニティの活動として考えられるのは、「スポーツ(特に野球)をやる・みる・考える活動」。で、こういったコミュニティの形成を演出するのは球団そのものよりNPO法人が適しているでしょう。そして「自発的な参加」の具体的な行動の第一歩はNPO法人の会員になること。もちろん、この役割を担うNPO法人は球団によってつくられたものでは不十分です。その点、大阪市民球団は、NPO法人が起点となって球団を創っていこうとしているのですから、市民球団の理想型と言えるのではないでしょうか。

以上より。。。「市民球団」の一つの定義
「スポーツ(特に野球)をやる・みる・考える活動を行うNPO法人の会員により形成されたコミュニティに支えられた球団」

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2005年6月25日 (土)

お久しぶり。。。

夢球団設立連絡会の設立総会に出たりして、しばらくblogの更新を怠ってしまいました。。。
情報を提供するには、鮮度・内容・継続性が問われるというのに、いけませんね(^^;
最近の当blogに対する検索キーワードを見てると、「大阪ドーム」と「藤井寺球場」というかつての近鉄バファローズの本拠地球場に関するモノが際だって多いです。しかし、その話題性が、「経営破綻に伴う特定調停」と「閉鎖、取り壊し」というのは何とも寂しい限りです。藤井寺球場の方はもう無理かもしれませんが、せめて大阪ドームは再生させたいと願っています。もちろん、大阪市民球団の力で。。。

ということで、またボチボチと市民球団について考えていきたいと思います。

ところで、当blogは、「週刊!ブログランキング くつろぐ」の「スポーツ:野球」に登録しているんですね。。。(忘れてました^^;)「週刊!ブログランキング くつろぐ」をクリックしていただくと、ランキングが上がるしくみになっております。ご協力をお願いします。

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2005年6月15日 (水)

大阪ドームはどうなっているのか?

大阪ドームの不動産鑑定結果が98億8千万円とでたらしい。これは、大阪市が大阪ドームシティー(大阪市が21%出資の第三セクター)から大阪ドームを買い取る価格の参考とされるようです。大阪ドームの特定調停では、これまでにこの買い取り価格が決まっていなかったため、100億円、150億円、200億円の3本立てで再建計画を立てていました。結局、その最安値に落ち着きそうだということです。これに反発しているのが銀行などの金融機関。なぜ反発するのか。。。それは再建計画の複雑な仕組みに隠されています。

まず大阪ドームは総事業費696億円(うち建設費498億円)で平成9年に開業しました。この金額自体は他のドーム球場と比べてべらぼうに高いというわけでもありません。ただ、ほとんど同じ時期にできた神戸グリーンスタジアム(建設費60億円)との差は歴然。ドームにすることで10倍の費用がかかるんですね。そのドームのメリットはイベントが天候に左右されないこととと、多目的に利用できるということ。しかし、その多目的という部分は既に毀損しています。まずは、地盤が軟弱なため、ロックコンサートで観客がジャンプすると近隣に震度3程度の揺れを発生させるという点。これにより、ロックコンサートは大阪ドームで開催できないことになりました。そのあおりを受け、GLAYのドームツアーが大阪ドームでできなくなってしまいました。そこに、また設備更新の不備のニュース。

---共同通信からの引用---
プロ野球オリックス・バファローズの本拠地大阪ドーム(大阪市)が「世界初」として導入した天井部分を上下に動かすシステム「スーパーリング」が、制御装置の部品生産中止で、昨年8月から動かせなくなっていることが14日、分かった。
開業から7年余りで売り物の装置が機能しなくなったことについて、ドームを所有・運営する大阪市第三セクターの大阪シティドームは「(維持・管理について)見通しに甘い面があったことは否定できない」(総務部)としている。
「スーパーリング」は巨大な輪を組み合わせ、地上72~36メートルの間で上下動させる仕組み。野球の試合などでは高く、コンサートでは音響効果を向上させるため低く設定する。
---引用終わり---

見通しが甘いですまされることなのか???
9月に予定されている「B'z LIVE-GYM 2005」は天井が上がりっぱなしの音響効果の悪い状態で行われるわけです。コンサートで1日ドームを借り切ると1400万円。観客動員力のある超一流のアーチストしか使えないでしょう。部品がないから...では超一流に対して失礼というものです。
今の大阪ドームに100億円もだすんなら、青空球場を造れ!といいたくなるところですが、じゃあ、大阪ドームは廃墟とするのか。。。困ったモノです。

話は戻って、大阪ドームの買い取り価格。これは大阪市が「税金」を使って大阪シティドームに支払う金額ですが、この「税金」が原資のお金はその全額が建設資金を融資した17の金融機関に返済されます。現在の融資残高は約410億円。ほとんど返していないんですね(^^;)それもそのはず、15年度決算にして17億円の当期損失。。。利益を上げていないから返せるわけがありません。そこで、特定調停で破綻処理をして、金融機関に債権放棄をしてもらいましょうというわけですが、所有権を三セク→大阪市へ移転させる名目で税金を引き出し、その税金は全部あげるから残りはなかったことにして。。。これが特定調停の骨子ですね。だから銀行は買い取り価格が高い方がいいわけです。今回の不動産鑑定は「大阪ドームは将来どれだけの収益を挙げられるか(収益還元法)」という観点で見積もられました。当然、設備の状況も細かくチェックされたんでしょう。その過程で去年の8月に発覚した「スーパーリング」の不備が今頃露呈したんですね。で、銀行側は「建設にかかった費用と経年劣化の度合いなどを考えて算定すべき(積算法)」と反論しているようです。どちらも不動産価格の見積もり方法として一般に認められている方法ですが、要は税金の支出を抑えたい大阪市と返済額を少しでも増やしたい金融機関の綱引きというわけです。もっとも固定資産の評価額は211億円とのことなので、100億円との見積もりが安いというのにも一理はあります。

ところで、大阪ドームシティーの債務はそれだけではありません。大阪市に30億円、大阪市開発公社と大阪市農協であわせて70億円。他の金融機関の分は建設資金の融資でしたが、こちらは運転資金のつなぎ融資。要するに自転車操業だったわけですね。この合計100億円分は抵当権が設定されていないか、されていても順位が低いので、20年間の再建計画の中では返済されませんが、債権放棄もされず、塩漬けにされます。で、20年後以降に少しずつ返していきましょうという扱い(いわゆる劣後償還)になってます。20年後以降の大阪ドームに100億円返せる力は残っているでしょうか???

金融機関への返済は、大阪市の捻出した税金を全額当てると書きましたが、一括返済ではありません。30億円だけ、運転資金として残しておくため、30億円を除いた分を一括で返済し、30億円は再建期間中(20年)の利益から分割で返すことになってます。なぜ、30億円の運転資金が必要なのか?それは、ビスタルームの保証債務があるからです。ビスタルームは96の部屋があり、保証金1億円、年間利用料1000万円で企業などに利用してもらっており、今年の3月時点で57部屋で契約が結ばれていました。この保証金は解約時に全額返還されるというゴルフ会員権みたいなシステムになっているわけです。で、このビスタルームを契約すると、野球でもコンサートでも何でも見れるわけですが、ロックコンサートはできない、大阪近鉄バファローズは消滅した。。。ということで大阪ドームへの来場価値が下がったと考える顧客の解約が殺到すると、保証金が払えなくなって再度破綻してしまうので、保証金の返還に備えた予備の資金を確保しておくことが必要なわけです。なお、大阪市議会ではこのビスタルームの部分だけホテルに転売して、一般の顧客に利用してもらいながら少しでも収益を上げようという提案もされています。こういうアイデアはどんどん実行していくべきですね。

まぁ結局のところ、再建期間中に30億円の利益を上げて金融機関に返却するという「再建計画」は、「大阪ドームの利用用途の見直しや設備更新などによる抜本的な収益改善策」に基づくモノではなく、金融機関への返済方法に基づくモノということになるわけです。こういうのを一般に「杜撰」といいますが。。。その「再建計画」の中核を担うのがメインの利用用途であるプロ野球の興行。大阪ドームシティとオリックスバファローズは3年契約を結んでいて、今年は34試合、来年以降は少しずつ増やしていくという内容(逆に減った場合には違約金を支払う)になっているようです。4年目以降は、「大阪ドームの特定調停とオリックスの責任」で書きましたが「大阪ドームを単独本拠地にする」との「口約束」があるにすぎません。いまのところ、この大阪ドームの再建はこの「口約束」にかかっているんですね。ところで、近鉄が使っていた頃は、年間使用料6億円(他に警備費などで4億円)、今はその半分なので3億円(その他の分は不明)。この減収分はどうするのかと思ったら、再建計画で考慮されていました。所有者が大阪市へ移転すると、大阪シティドームは大阪市へ賃料を払わなくてはいけません。これが年間4億1500万円。この賃料について最初の3年間、半額免除とするよう要請されています。なぜ3年なのか?その3年に限り、オリックスがダブル本拠地にするからでしょう。

大阪ドームの所有権を大阪市に移すことの意味は、前述したように、建設資金を収益で返済する予定だったのが計画倒れとなったため、税金で返済することになったからです。ところが、そうでなくても財政が火の車の大阪市。大阪ドームを買い取る余裕があるのか、という批判も当然あるんですね。その批判は「大阪ドームに公共性はあるのか」という形でなされています。大阪市民球団の本拠地なら公共性はあるかもしれませんが、オリックスの本拠地としての大阪ドームに公共性なんてないでしょう。また、何ら有効なソフトを提供できず、さらには世界初という鳴り物入りの設備を見通しの甘さで使い物にならなくしてしまった大阪シティドームにも管理者としての資質があるわけがありません。そこで、「指定管理者制度による大阪市民球団&大阪ドーム一括経営案」を考えては見ましたが、「20年間での30億円の返済」「20年後に残る100億円の返済」「約4億円の賃料」「多目的といいながらいくつかの目的に使えない」「これから徐々に始まってくる設備の老朽化」を覚悟の上で手を挙げる企業はあるのでしょうか?(手を挙げるだけなら一人いますが。。。堀江さん!?)

かのイチローが仰木監督に助言した「大阪ドームはたこ焼きドームに改称したら?」くらいのことではもの足りないくらいの抜本的な見直しが求められています。

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2005年6月14日 (火)

指定管理者制度による大阪市民球団&大阪ドーム一括経営案

大阪ドームの経営形態について、前に現状の第三セクターとした上で収益構造の見直しを図っていくという方法を一つの現実的な案として考えてみました。今回は、指定管理者制度による大阪市民球団&大阪ドーム一括経営案を考えてみます。基本的なスキームは「大阪市民球団のスキームの提案」をベースにしています。

1.大阪市民球団&大阪ドームの経営母体

・経営に関与する企業4社とオーナーズ・クラブ(市民出資者)の共同出資による民間会社とする。

・大阪ドームの運営に関して大阪市より指定管理者制度の適用を受ける。

・大阪市民球団事業部、大阪ドーム事業部、CS事業部の3事業部制とする。

・CS事業部は大阪ドーム(野球以外の興行も含む)と大阪市民球団を資源として、顧客満足(CS)を徹底追求した企画・運営を担当する。

・CS事業部とオーナーズ・クラブは定期的な会合を開き、意見交換を行う。

・法人営業部は3事業部にまたがる横断的な組織とし、企業サポーターのニーズにこたえる。→企業サポーターは、資金援助の見返りに、大阪ドームへの広告掲載権、選手単位の広告掲載権、ホームゲームの開催日ごとのイベント開催権、球団ロゴの利用権、オフィシャルグッズの販売権などを得る。

2.NPO総合スポーツクラブ(仮称:大阪夢民(ムーミン)スポーツクラブ)

・仮称の意図:大阪市民球団(夢球団)を核とした市民のためのスポーツクラブ

・活動は、「やる・みる・考える」の3本立て

・会員は3つの活動を自由に選択できる。・・・野球に興味のない人も仲間に引き入れる。

・やる活動:大阪夢民タウン内のスポーツ施設の利用、野球教室、総合運動会、他のNPOとの連携(環境NPOと連携した球場美化運動とか)

・みる活動:メインは大阪ドームでの大阪市民球団の応援(観戦)

・考える活動:イベント企画、各種講演会、広報誌の発行

3.ホームタウン(仮称:大阪夢民(ムーミン)タウン)

・行政(大阪市)によって大阪ドームとミナミのエリアを含む地域を「スポーツ活性化地域」として指定する。・・・市民球団が勝手にホームタウンを定義するのではなく、行政の指定によりある程度の強制力をもたせる。

・大阪夢民スポーツクラブの活動エリアを原則として大阪夢民タウンに限定する。・・・地域密着の範囲を確定させる。

・大阪夢民タウン内の商店、飲食店はホームタウンサポーターと位置づける。・・・スポーツを媒体としてミナミ周辺の地域経済を活性化させる。

4.大阪市の役割

・大阪ドームの所有と指定管理者制度の利用・・・経営マネジメントへの余計な口出しは無用!?

・大阪市の全職員が一市民として大阪夢民スポーツクラブへ会員として参加・・・特定の営利企業の会員ではないところがポイント。大阪ドームの再建にも寄与するし。

・スポーツ活性化地域の指定・・・指定するだけでよろしい(^^)

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全体の収支構造は、もうちょっと整理してみないとわかりません。大阪市民球団&大阪ドームの経営を一本化することで相乗効果が期待できそうですが、その分リスクも大きくなります。そのリスクを負える複数の企業が名乗りをあげてくれるか?が最大のポイントです。

大阪ドームにこだわらない新球場建設案なども考えてみたいのですが、行政(大阪市)が「大阪ドームは大阪になくてはならない公共施設」と位置づけて経営再建しようとしている現実を考えると難しい気もします。行政が何を求めていて、行政には何を期待するのか?を見極めることが重要と考えます。

企業の広告媒体としての球団運営からの脱却も同じく重要なテーマですが、それにまったく頼らない市民球団というもの無理な話です。私の構想では、経営に参加する大企業、スポンサー支援をしてくれる中小企業、地元の商店・飲食店の3つの階層に分けて関与の仕方を変えていますが、支援と見返りをバランスよく組み合わせるのが難しいです。基本的に支援の方が大きくなってしまいがちですが、企業が社会的意義をどの程度感じてくれるものでしょうか?

プロ野球のみではなく、スポーツを通じた市民の交流の場として、ホームタウンに根ざした総合スポーツクラブを構想の中心におきました。仙台、札幌、福岡、広島などで「市民球団」を考える場合、地域に根ざした唯一の球団ということで、プロ野球を前面に出しても成功しそうですが、関西ではなんといっても「阪神タイガース」がいますから、他の地方と同じ手法を用いても、阪神の厚い壁に跳ね返されるばかりでしょう。そこで、スポーツを媒体とした地域の活性化の軸に大阪市民球団を位置づけるという戦略にしてみました。まだ負けるかなぁ~・・・

考えるべき関係者が増えてきたので、文章のみで図示しないとわかりづらくなってきました。。。

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2005年6月13日 (月)

あれから一年。。。

朝日新聞6月11日朝刊
「あれから1年 プロ野球界は変わったか」と題して行われたオーナーとの対談記事の一節。登場しているのは、オリックスオーナーの宮内義彦氏と讀賣オーナーの滝鼻卓雄氏。ここでは、宮内氏の発言を引用してみます。

---朝日新聞の引用---

-昨年の近鉄との統合では、ファンの期待を見誤ったのでは。
宮内義彦氏
「そうは思わない。あの騒動は顧客が少なかったから起こった。言うならば、買う人が少ないから製品ラインをカットすると、「あのメーカーはけしからん」と言うような話はいっぱいある。事業が縮小するときに反応があるのはやむをえない。近鉄が統合に手を挙げたのも観客が少なかったから。統合反対署名が140万人分を超えたそうだが、一方で当時の近鉄の試合は客席ががら空きだった。パ・リーグの球団は支出と収入があまりにも見合わない。支出を抑えたいが、選手年俸の高騰は抑えられない。となると、マーケットを縮小するしかない。ただ、ファンがあのように反発したことは、プロ野球の活力を示したということで、ありがたく教訓とさせていただきたい。」

---引用終わり---

これがNPBの最高議決機関であるオーナー会議の議長の生のコメントです。夢も希望もないコメントですが、逆に長い目で見れば、夢も希望も持てるのではないかと感じました。去年のオーナー会議の議長が渡辺恒雄氏。で今年が宮内氏。もう堕ちるところまで堕ちたと考えれば、あとは上昇するのみでしょう。

昨年、大阪近鉄バファローズが消滅への第一歩をしるした6月13日に改めて大阪近鉄バファローズの生まれ変わりとしての大阪市民球団を誕生させたいと誓います。

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2005年6月 8日 (水)

アンケートの多変量解析によるマーケティングリサーチ

6月4・5日に藤井寺市民フェスタが行われ、参加してきました。藤井寺球場の見納めということもあり、讀賣新聞の発表では5日の日曜日は57,500人もの人出があったそうです。警察発表の予測では5万人ということでしたので、予測的中といったところでしょうか。

 

藤井寺市民フェスタでは、夢球団設立連絡会の活動の一つとして大阪市民球団に関するアンケートを行い、348名もの方に協力していただきました。ご協力いただいた方(...でこのblogにたどりついた方^^;)、ありがとうございました。

 

アンケートでは、大阪市民球団への関心度や、市民球団の形態(NPB、新しいプロリーグ、社会人野球)、本拠地の希望、好きなチームカラー、どのチームのファンか、試合観戦の頻度、年齢、性別、住所といった基本的な属性などが質問項目として挙げられていました。

 

アンケートの質問ごとに結果を集計していくと、「藤井寺市民フェスタに来た人」の市民球団に対する考えや野球への関心度、基本属性の分布状況がざっくりとわかります。ただ、この結果は「藤井寺市民フェスタに来た人」の平均像を表しているものなので、マーケティングに使うには少々モノ足りません。

 

そこで、例えば、藤井寺市に住んでて野球への関心度が低い人(例えば試合観戦が少ない人)のグループを「近所のお祭り目当てで来場したライトな野球ファン」、逆に藤井寺市以外に住んでて野球への関心度が高い人のグループを「遠方の藤井寺球場に別れを告げに来たディープな野球(近鉄?)ファン」と定義して、グループごとにアンケートの集計をやり直します。定義については、かなりこじつけ的な部分もあると思いますが、この辺はセンスの問題!?

で、各グループの集計結果と全体の平均的な集計結果とを比較して、極端に違う結果がでたところ(ここがポイント!)をそのグループの特性として抽出していきます。

こうして、いろいろなグループの特性を調べていくと、例えば、「ライトな野球ファンは讀賣ファンが多く、また大阪市民球団への関心度が高い。」とか、「阪神ファンは大阪市民球団のNPBへの参入を希望しない人が多い。」といったことがわかる。。。かもしれません。

そこで、「ライトな野球ファンに讀賣以上の露出や密着感を与えて市民球団に引き込もう」とか「阪神ファンは阪神の存在に満足していてつけ込む隙がないから相手にするのはやめよう」といった顧客の特性に応じた広告宣伝や事業展開の立案を効果的に行うことができるようになるというのが、多変量解析によるマーケティングリサーチの利用方法です(私の理解の範囲では^^;)。

もちろん、本格的な多変量解析をやるとなると、変数間の関係を式で表してうんぬん。。。とややこしいことをやる必要があるのですが、上のような単純な方法(偽多変量解析^^;)でも「いろいろな傾向」は読みとれると思います。他にも回答項目間の相関をとるとか、年齢層ごとの結果を比べ「年齢が上がるほど藤井寺球場への愛着が高い」といった傾向を見るとか、いろいろな分析方法があります。

 

で、ある程度、予想された結果が出た場合は、「やっぱりそうか」でおしまいです。それでも予想が正しかったという確認ができたというのが成果になります。問題は予想外の結果(ここがアンケートの真の成果!)が出たときにどう判断するかです。例えば、「阪神ファンでも結構NPBへの参入を希望する人が多い。」という結果がでた場合、「阪神ファン→大阪市民球団ファンへの移行」を考えているのか、「あくまでも阪神ファンが主だが大阪市民球団もみてみたい」という程度なのかを見極めることが重要です。そこで、該当するアンケート用紙を取り出して、「この人はどういう人か?」「どういう思考経路でこんな回答をしたのか?」というのをつらつらと考えるわけです。

 

あの2日間、夢球団設立連絡会のブースの周りに渦巻いていた様々な人の様々な想いをアンケートの分析を通して顕在化していければいいなぁ~と思います。

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2005年6月 3日 (金)

経営の風土学 佐伯勇の生涯

ふらりと古本屋に入ったら表題の本を見つけました。藤井寺球場の歴史の最期を飾る藤井寺市民フェスタの前に引き合わせてくれたのでしょうか。佐伯勇氏と言えば、近鉄「中興の祖」にして、近鉄パールス設立時の初代オーナー。藤井寺球場へも通ったことでしょう。

ところで、本書は、経営書というより、佐伯氏の経営哲学の風土、いいかえれば佐伯氏の人となりが伺える一冊です。著者の神崎宣武氏は民俗学の研究者で近鉄パールス以来の大の近鉄ファン。本書も、千葉茂監督時代の新生近鉄バファローの春のキャンプで見かけた佐伯オーナーがグラウンドを去るときに帽子を右手でつまんで高々と揚げた様子が記憶に鮮やかだったと言う話に始まります。ただし、球団の話は最初だけで、もっぱら経営者としての佐伯氏の横顔、裏顔を紹介している本です。

まず、目にとまったのが、JR以外の私鉄最長路線を誇る近鉄の歴史が合併の歴史だったという点。ある程度はわかっていましたが、改めて並べ立てられると、球団統合もその延長だったのかと思えてしまいます。しかし、佐伯氏が存命だったら、球団統合にYESと言ったでしょうか。。。

大軌~近鉄の歴史

明治43年 奈良軌道創立、同年、大阪電気軌道(通称、大軌)に改称
大正11年 大阪電気軌道が天理軽便鉄道、生駒鋼索鉄道と合併
大正13年 大阪電気軌道が城東電気鉄道と合併
大正13年 大阪電気軌道が東大阪土地建物と合併
昭和3年 大阪電気軌道が長谷鉄道と合併
昭和3年 大阪電気軌道が大軌土地と合併
昭和4年 大阪電気軌道が伊賀電気鉄道と合併
昭和4年 大阪電気軌道が吉野鉄道と合併

昭和2年 姉妹会社の●参宮急行電鉄創立
昭和11年 参宮急行電鉄が●伊勢電気鉄道と合併
昭和15年 参宮急行電鉄が関西急行鉄道と合併
昭和15年 参宮急行電鉄が養老電鉄と合併

昭和16年 大阪電気鉄道が●参宮急行電鉄と合併し、関西急行鉄道と改称
昭和18年 関西急行鉄道が●大阪鉄道と合併
昭和19年 関西急行鉄道が信貴山急行電鉄など3社と合併
昭和19年 関西急行鉄道が●南海鉄道と合併し、近畿日本鉄道と改称
昭和22年 近畿日本鉄道から南海鉄道が分離
昭和38年 近畿日本鉄道が●奈良電気鉄道と合併
昭和39年 近畿日本鉄道が信貴生駒電鉄と合併
昭和40年 近畿日本鉄道が三重電気鉄道と合併
昭和61年 近畿日本鉄道が東大阪生駒電鉄と合併

これら多くの合併のうち、経営上、大きな意味のあった合併(●)は次に示すものです。
伊勢神宮への参拝電車である参宮急行電鉄を姉妹会社として創立(後に合併)したこと、その参宮急行電鉄が伊勢電気鉄道と合併し名古屋進出を果たしたこと、関西急行鉄道時代に大阪鉄道と合併し、阿部野橋-橿原神宮駅間、古市-河内長野間、道明寺-柏原間などの路線を獲得したこと、さらに戦時輸送確保のため企業統制令により南海鉄道と合併(後に分離)し近畿日本鉄道と改称(近畿日本鉄道のHPの会社概要によれば、この時点が近畿日本鉄道の会社設立となっています)したこと、奈良電気鉄道と合併し、京都進出を果たしたこと。

奈良のローカル線からスタートした近鉄にとって、特に悲願だったのが、名古屋と京都への進出。そこには大きな苦労もあったようです。

名古屋への進出を果たしてからしばらくは鉄道軌道の幅の違いから直通運転ができなかったため、いつの日か軌間拡幅工事(ゲージ統一)を行う必要がありました。そこに、昭和34年9月26日(9.26と言えば...)伊勢湾台風が来襲し、名古屋方面の路線を中心に大打撃を受けました。ちょうど、名古屋では揖斐・長良川鉄橋(987m)と木曽川鉄橋(861m)という2つの大型鉄橋の掛替工事(工事費23億円)が終わったばかりの時点での台風被害(被害額25億円)。社内に暗い雰囲気が漂う中で佐伯社長の決断は「いまここで、ゲージ統一の計画を実行しよう」でした。その時の重役会議でのセリフ(抜粋)。
「どうせ電車が止まってるのやから、全線の復旧工事は、一気に広軌にしてやるべし。儂はそう決めた。だから、その方法を考えてくれ。やらんと言う必要はない。どうすればやれるかっちゅう方法を考えろ。一週間、知恵をしぼって考えろ。」
この時点で復旧方法は決めていたが、独断で決めることなく、案を出させた上で、最後は自分で決めたということのようです。佐伯社長の経営信条は「独裁はするが独断はしない」。結局、鉄道の営業中なら夜間工事となり長期間かかったものが、災害でストップした時に一気に仕上げたため、軌間拡幅工事はわずか9日で終了。車両本体のゲージもあわせて拡幅し、大阪-名古屋間の直通特急が開通したことで、台風被害の損害を大きく上回る収益を確保することができたとのこと。


この当時、経理局主計課にいて予算のやりくりをしたのが山口昌紀(現:近畿日本鉄道社長)。また伊勢湾台風の来襲時に海外出張をしていた佐伯社長に同行していたのが田代和(昨年まで大阪近鉄バファローズのオーナー)。随分と苦労したことでしょう。

そして京都への進出を果たすこととなった奈良電気鉄道との合併も苦労話として挙げられています。当時、京都-西大寺間を運行していた奈良電気鉄道の経営が破綻。それぞれ1/3の大株主で、相互乗り入れを行っていた近鉄と京阪のどちらが吸収合併するかで交渉は難航。調停案として丹波橋を境に北は京阪、南は近鉄という案もでたが、佐伯社長は「レールは1本で2つに分けることはできん」と拒否。その間、秘かに奈良電気鉄道の沿線に居住する個人株主から株を買い取り、過半数の株を取得して、結局、近鉄が吸収合併し、京阪所有の奈良電気鉄道株も買い取ることで決着。

この奈良電気鉄道の個人株主からの株の買い取りを担当したのが経理課員の山口昌紀。その後、山口は佐伯社長の秘書を長年勤め上げ、平成15年6月、近畿日本鉄道の社長に就任。そのちょうど1年後にした大仕事が、故佐伯オーナーが立ち上げた近鉄パールス→近鉄バファローズ→大阪近鉄バファローズの息の根を止める球団統合でした。

ところで、佐伯勇氏は関西の私鉄産業が発展する原型をつくった阪急の小林一三氏に畏敬の念を抱いていたようです。佐伯氏の「文化は経済が支える」という考えも、遊園地、OSK、球団を所有していったのもその影響とか。秘書室長だったころの上山善紀氏に「小林さんのやり方に倣ってたら間違いないんや」と漏らしたことがあったそうです。

だからって、オリックスへの球団譲渡まで倣ってしまうことはないのに。。。

平成元年10月5日に永眠した佐伯勇氏に昨年の5月17日に亡くなった鈴木貴久氏。改めて両名のご冥福をお祈りしつつ、藤井寺球場の最期を見取りにいきたいと思います。

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2005年6月 1日 (水)

大阪ドームの経営形態は第三セクターかPFIか

大阪ドームは地方自治体と民間企業の共同出資法人である株式会社大阪シティドームが経営を行うという第三セクター方式で管理・運営されています。が。。。経営破綻で現在特定調停中ということは前にコメントしました。

ところで、第三セクターに似た経営形態として、PFIというのがあります。両者に対し、様々な定義があるようですが、一般的な考え方の例を次に示します。
※参考文献:第三セクターとPFI 役割分担と正しい評価 宮本康夫(著)

第三セクター
官主導で公共性が高く収益性が低い事業に対し、民間の活力(資金力や人材)を活用するため、官と民の共同出資法人(株式会社)で管理運営する。一般に赤字資質の事業に適しており、三セク企業の目的は、公共貢献(事業に公共性があることが原則)と収支改良(民間活力の利用による赤字低減→官の負担低減→税金支出の低減)である。

PFI
民間出資で特定目的会社(SPC)を設立し、基本的に企画・設計・施工・管理・運営を一貫して行う。あくまで公共性のある事業が対象であるが、具体的な事業は民主導(多くのリスクが民間へ移転)で行われ、官は特定目的会社と契約を結び、それをチェックするという立場である。一般に黒字資質の事業に適しており、特定目的会社の目的は利益追求である。

で、大阪ドームの経営形態は第三セクターとPFIのどちらがよいのでしょうか?

まず、第三セクターで失敗した原因を考えてみます。

・立地場所が悪い。他の候補地としてあげられていた天王寺の方がよかった。
・施設の設計を多目的用としたため、プロ野球の利用に対し犠牲とした部分が多い。
・観客動員の見通しが甘かった。プロ野球で最低3万人がギリギリの採算ライン。
・初期費用(建設コスト)が高い。結局利用しなかった設備などもあるらしい。
・ランニングコストも高そう。

ん~大阪近鉄バファローズの観客動員の低さも一因ですが、それ以上に計画の初期段階(立地~設計)から失敗していたのでは?と思えてしまいます。これでは管理運営段階で三セク企業に優秀な人材を投入しても経営破綻してしまうのは目に見えています。じゃあ、最初からPFIにしておけばよかったでしょうか?確かに立地・設計を含め民主導の事業としていれば、もっとまともな経営ができたでしょう。しかし!PFI法が成立したのが平成11年で平成9年開業の大阪ドームに間に合わなかったんですね。。。残念(^^;
近畿日本鉄道が近鉄球団を「昨年のうちに」手放さなければならなかった理由の一つが、大阪ドームの特定調停(再建計画で大阪ドームの長期利用を義務つけられるのを避けるため)が去年申請されたという点にありますから、この大阪ドームでPFIを活用できなかった(法律ができてないため、検討する余地もなかった)というのはかえすがえすも残念です。

で、肝心なのは、今後の話です。大阪ドームの今後についてオリックスが責任を持たなければならないことは既にコメントしましたが、実はそれ以上に責任を持たなければならないのが近畿日本鉄道です(これも前にコメントしたかな^^;)。
三セク企業の株式会社大阪ドームシティの筆頭株主は大阪市で出資金は20億円。他に大阪府も出資してます。民間企業で多いのは、近畿日本鉄道や大阪ガスの6億円など。近畿日本鉄道の責任は、球団譲渡ではなく球団統合としたため、ダブルフランチャイズとなり、大阪ドームでのプロ野球興行が減少し、先行きが不透明となったこと。もちろん、共同出資者として、経営破綻の責任を応分に負う必要もあるでしょう。

それはさておき、今後の経営形態は第三セクターとPFIのどちらがよいか?という話に戻ります。
まず第三セクターとPFIの選択を行う一つの基準として事業が赤字資質か黒字資質かというものがあります。大阪ドームの場合、事業の初期段階での失敗があり、それをリカバリーする(別の場所に立て直す?)のも事実上無理ですから、今後も赤字資質の事業であると認めざるを得ません。となると、第三セクターのままがよろしいということになります。

また現状は第三セクターとなっている事業を途中からPFIに変えることは可能か?という論点もあります。これについては大阪市議会でも議論されており、結論として、法的に可能であるという見解が示されています(おそらく実例はゼロかあっても小規模なものしかないと思います)。じゃあ、PFIに変えるメリットは何かあるでしょうか?やはり、今さら、無理に経営形態を変えるより、収益構造の見直しに力を注いだ方がよい気がします。

で、収益構造の見直しについて考えてみます。

1.大阪市民球団の興行権を大阪ドームが買い取る。
昨年の球団統合時に同じことをオリックスが大阪ドームに要請し、断られました。これは、オリックスバファローズじゃあダメなんですね。その理由は、試合数が少ない、長期的な見通しが不透明、人気がない、大阪ドームシティにプロ野球興行権を活用するノウハウがない。でもそのアイデアは大阪市民球団でもらうことにします。そのメリットは。。。大阪市民球団のスキームと絡めて、もう少し整理してみます。

2.大阪ドームの命名権を近畿日本鉄道に与える。
球場名を大阪近鉄ドームとすることで、数億円の安定した収入を確保する。
近畿日本鉄道とした理由は。。。
・準公益企業である。
・昨年まで大阪ドームを本拠地とした球団を保有していたため名称に違和感がなく、ファンの支持を得やすい。
・オリックスバファローズ球団から出資を引き上げる(現在の予定は3年後)ことにより、大阪ドームの経営再建に寄与する機会を失うため、その機会を命名権買収という形で与えることにより、社会的責任を果たしてもらう。

3.出資企業を追加する。
第三者割当増資によりIT企業やアミューズメント企業(セガとかナムコあたり)に経営参加してもらい、大阪ドームの利用形態の見直しを図る。

今日はここまで(^^;

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ユニフォームの広告

以蔵さんより、ユニフォームの広告についての意見を頂きました。あまり深く考えていなかったところなので、少し考察してみたいと思います。

---以蔵さんのコメントの引用---

野球チームのユニフォームは同一意匠が原則です(何処かの規約に必ずあるはずです。スパイクとグローブとバットやリストバンドや手袋には適用外)。それに従えば各選手の肩とヘルメットの広告も同じでなくてはいけません。広告を胸に貼るのがOKかどうかはNPBの規程で許されてるかどうかは要調査ですが、これもありでしょう。年間を通して同一意匠の規程はないですから、毎試合広告を変える事を提案しました。

---引用終わり---

まず、野球協約の記載事項について確認してみます。

野球協約第167条(ユニホームの標識)
試合に着用するユニホームには、統制された背番号を用い、胸章および腕章は、所属連盟会長により承認されたもの以外の文字または標識を用いてはならない。

広告ロゴについては、実行委員会での申し合わせ事項として、セリーグの公式HPに次のような記載があります。

・広告ロゴ貼付はヘルメット、ユニホームともに1箇所のみ。
・広告ロゴの大きさの制限有り。
・広告ロゴ貼付は所属連盟への事前届け出が必要。
・ビジター時の広告ロゴ貼付はセリーグは×、パリーグは○。
・シーズン中のユニホームの意匠の変更は事前に届けていれば○。

まず、野球協約を見ると、当然ながらユニフォーム(野球協約ではユニホーム^^;)の同一意匠について記載がありますが、ここに書かれているのは、背番号、胸章、腕章についてであり、広告ロゴについての記載はありません。広告ロゴについては、実行委員会の申し合わせがありますが、そこには全員が同じ広告ロゴという制限はありません。選手ごとに違う広告ロゴというのは前例がないでしょうから審議の対象になりそうですが、少なくとも規定でダメということはなさそうです。また試合ごとに広告ロゴを変えるというのは、事前に(シーズン開始前にということでしょうね)届けていればよさそうです。胸に広告ロゴを貼るというのは微妙。。。申し合わせ事項にあるのは、ヘルメット、ユニホームともに1箇所のみという記載のみであり、ユニのどこなら○、どこなら×とは書いてません。ただユニ袖と胸の両方というのは明らかに×。

で、多数の企業の広告ロゴを使いわける場合、選手ごとに変えるのと、試合ごとに変えるのとどちらがよいでしょうか?

選手ごとに変えるメリットは、企業×選手のサポート関係が明確になり、広告ロゴ以外にもCM起用とか、何らかのイベント出演とかで統一イメージが図れるという点。年間を通して広告効果があるという点。年間を通して同じユニフォームを着用できるという点(広告ロゴを毎試合取り替えるのって結構大変そう!?)。

試合ごとに変えるメリットは、露出効果が大きい点、広告ロゴを含めたユニフォームの統一が図れる点。

いずれにしても、年間を通じて全選手で同じ広告ロゴを用いる場合に比べて、広告効果は減少します。また、選手ごとに変える場合には、選手の活躍度、投手と野手の露出効果の違いという格差が生じますし、試合ごとに変える場合には、曜日や対戦相手、優勝がかかった試合と消化試合といった格差が生じます。これらの格差(=広告効果)をどうやってコストに換算し、各企業に分担させるかというところが難しいですね。

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