交流戦を終えて、今後のために
交流戦を終えて、あちこちでアンケートやら、総括やらがなされています。大方の意見をまとめると、次の2つのタイプの意見に集約されそうです。
タイプA:興味深い対戦カードもあり、新鮮みがあってよかった。また来年も実施して欲しい。ただ続けて1ヶ月半は長い。時期を分けるとか、試合数を減らすとかマンネリ化を防ぐ工夫が必要。
タイプB:人気の讀賣・阪神戦を組めたパリーグにとっては得。選手の露出度も増えた。一方で、その人気カードが減となったセリーグ4球団にとっては損。
まぁどちらも、やる前から分かり切った結果であって、「予想」で述べるならまだしも、これを持って「総括」とまとめるのは芸がなさすぎます。ということで、もうちょっと違う角度から考えてみましょう。
タイプAのように、多くの人が概ね好感を抱いている交流戦が今までなぜ実施されなかったのか?それは、タイプBにあるように、セリーグ4球団が損をするからです。交流戦をやるかどうかを決めるのは実行委員会とオーナー会議で3/4(=9/12)の賛成を得る必要があります。損をするとわかっている4/12が絶対反対を唱える限り、交流戦は永遠に実現される可能性はなかったわけです。その交流戦がなぜ実現されることになったのか?
まず讀賣・阪神という対戦相手に富をもたらす人気カードを組めないパリーグ全体が経営難に陥り、リーグ自体の運営が困難となったため、2組の合併により球団数を縮減した上でセリーグに統合するという経営改善策が秘密裏に練られ、先発隊として近鉄・オリックスの統合が発表されました。その後の結果はご承知の通り、統合+新規参入でセパ12球団体制が維持されることになったわけですが、そのままでは「パリーグの運営が困難」という状況に変化がないため、交流戦を実施してパリーグを助けようということになったわけです。そうなると、今度は困るのがセリーグの4球団。そのうち本拠地での観客動員力のある中日を除く広島、横浜、ヤクルトの3球団にとっては深刻な影響がでてくるわけです。
6月27日の日経新聞朝刊に、千葉ロッテマリーンズの重光オーナー代行のインタビュー記事が載っています。パリーグの経営難の事情とか、昨年の再編劇を振り返っての話題が語られているのですが、その最後のあたりに意味深なコメントが載っています。
---6月27日の日経新聞朝刊より引用---
今季はマリーンズの収支も改善されるはずだ。問題はセの球団かもしれない。球界としてもっと早く経営状況を把握し、対策を立てるべきだった。この状態で二年も三年も持つことはあり得ず、早晩、再編第二幕はあるだろう。
---引用終わり---
額面通りにとれば、近くセリーグの球団の統合が発表されるだろうということですね。だって二年持つことはあり得ないと断言していますから。とにかく、交流戦に対するファンの支持がある以上、今度は交流戦が既得権になるわけです。で、交流戦をやればやるほど、セの3球団の経営は悪化していき、耐えられなくなっていきます。もともと経営努力やファンサービスに関してはパリーグの方が上だったというのは、重光氏も述べていますが、讀賣・阪神頼みの殿様商売から抜け出すのは容易ではありません。そこでセリーグで2組合併させて1リーグ化にすれば、パリーグの球団は持ち直すわけですね。楽天・ソフトバンクという優良(かな?)な買い手もいなくなり、球団合併のルールもできた今は、昨年より話を進めやすくなったわけです。もちろんファンの声を無視するというのは従来通り(^^;と考えて。そもそも交流戦の試合数を同一リーグの対戦数と同じところまで増やしていったのが1リーグ制です。「交流戦もいいものでしょう?」というアピールは1リーグ化の抵抗感を引き下げる効果がありそうです。ところで、セの3球団で2組合併では数が合いません。もう1球団は人気最低のオリックスか親会社が危機的状況にある西武でしょう。
6月25日の朝日新聞朝刊で、交流戦が終わったのを受けてのアンケート特集があり、応援している球団をたずねているところがあります。
3310人に聞いて、阪神718人、讀賣298人(まぁ讀賣新聞の調査なら逆かもしれませんが^^;)、ソフトバンク179人、東北楽天162人、中日142人、横浜129人、広島113人、ヤクルト103人、千葉ロッテ102人、北海道日本ハム96人、西武95人、オリックス23人。
3つの新球団の明暗がくっきり分かれています。この手の調査はあちこちでやっていて、1位・2位の順位と、3位から11位までは調査によって変動していますが、オリックスのダントツ最下位というのは定番になっています。それはオールスターのファン投票もしかり。「新球団」にしてこれでは、もはや存在価値がありません。
とまぁこんなワケで、広島+オリックス(瀬戸内連合!?)、ヤクルト+横浜(フジサンケイグループ!?)という組合せがまことしやかにうわさされているわけですね。残りの西武にはインボイスという買い手候補がいますので、余りはでない。。。
しかし、これは縮小均衡論という経営論理からたどりついた改善策であって、要はババが昨年までのパリーグからセリーグへ移った状況にすぎません。
ところで、同じ日の朝日新聞のアンケートでは、「今年のプロ野球は面白くなりましたか?」の問いがあり、「はい」が58%、「いいえ」が21%となってます。「はい」の理由のほとんどが「交流戦」、興味深のは「いいえ」の理由で、「試合がつまらない:121人」「特定球団への偏重:81人」「サッカーなどの方が好き:78人」「魅力ある選手がいない:75人」「MLBの方が面白い:70人」「買収、不祥事などで嫌気:57人」「試合時間が長い:37人」。。。
昨年、球界再編に批判的な意見を出し続けた朝日新聞の読者にして、「買収、不祥事などで嫌気」を理由にプロ野球がつまらなくなったという人が3310人中57人(1.7%)しかいません。嫌いな理由のほとんどが、「つまらない」に集約されるものであり、その最大の要因がスター選手のMLBへの流出にある(だから日本に魅力ある選手がいない)というのは明白です。
交流戦は新鮮だからこそ受けたのであって、1リーグ化が理想というわけではありません。「買収、不祥事などで嫌気」が少ないのは、昨年の再編劇が認められたのではなく、「東北楽天」という新規参入が免罪符となり、「交流戦」と見かけ上は活発化した「ファンサービス」で一時的にしのいる状況にすぎません。これを好機とばかりに、昨年、ファンと選手の反対で押し返した球団数削減・1リーグ化を再度試みようとすれば、その時こそ、プロ野球が崩壊する時でしょう。
じゃあどうすればいいのか?プロ野球を「つまらなく」している元凶を取り除く必要があります。一つはショウもない経営者。ファンが評価した場合、果たして何人残れるのでしょうか?特に、50年ぶりの球団統合という話題性がありながら、3310人中23人(0.7%)の支持しか得られていないケースなど、なぜトップが経営責任をとらないのか?不思議な現象です。常識的には考えられません。その人がオーナー会議の議長をやっているのですから、プロ野球の先行きが暗いのは当たり前。それと、大リーグへのスター選手の流出。これをくい止めるのか?、流出しても面白くする仕掛けを考えるのか?いずれにしろ、早急に対策を実施しなくてはいけません。くどいようですが、球団数削減・1リーグ化がその対策とはとても思えません。
「なんかオモロイことがないかなぁ?」
大阪市民球団を、その問いに答えられるような球団に育て上げていくというのが私の望みです。
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