無料招待日(大阪市民デー)に無料招待券を配布する暴挙
大阪ドームにおいて、6月27日(月)のオリックス×東北楽天戦での大阪府民デーに続き、7月4日(月) にオリックス×西武戦で大阪市民デーが実施されました。それぞれ、大阪府民や大阪市民が無料で招待されるというイベントです。このイベント自体は大阪近鉄バファローズの頃から行われていたモノですが、無料招待ということで、「無料招待券の罠」にはまらないよう注意が必要です。
ところで大阪市民デーでは、昨年までと異なり、住所・氏名などの個人情報を記載したモノを提出させ、また翌日の無料招待券を2枚もプレゼントしたそうです。これはどういう意味があるでしょうか?
このサービスを実施した側の狙いは次のようなモノでしょう。
・無料とはいえ、球場へ足を運んだ人に「翌日限定」の無料招待券を配布することで、2日続けて来場してもらい、その後、リピーターになってもらいたい。
・2枚配ることで、普段は来場しない知人や家族を同伴してもらい、野球の楽しみを多くの人に理解してもらいたい。
・交流戦あけの中だるみの時期に1人でも多く来場してもらいたい。
・個人情報を入手することで、1度は来場した人に、今後、効果的なダイレクトメールを送ることができる。
確かに、何もしないよりは観客の数は増えたのでしょう。しかし、本来、サービスというモノは、試合をエキサイティングにするしかけや、試合以外の要素に付加価値をつけることにより、観客に「有料で観戦する価値がある」と思わせるモノであるべきです。無料来場者に無料招待券を配り、わずか9日間のウチ、3試合も無料で観戦できてしまう状況は、まさに「無料招待券の罠」にどっぷりとつかってしまったと言わざるをえません。しかも、その対象は大阪市民ですから、概ね30分~1時間程度で大阪ドームへ通える優良顧客です。この優良顧客に無料観戦癖を蔓延させてしまっては、もうこれ以上の固定客は望めません。年間チケットを購入している優良顧客も来年の再購入をためらうでしょう。このような無料観戦者は球団の経営に寄与しているのでしょうか?
ところで今年から、観客数は実数発表に変更されました。
この試みの真の狙いは、「数字を明確にすることで不透明性を拭い、ファンの野球に対する視界をクリアにする狙いがある」と言われていますが、その発表方法を見ると「統一性がないため横並びで比較できない」という、何ともお粗末な状況です。
ところでオリックスの場合を見ると、チケット半券と年間指定席(の未来場分)の合計が観客数として発表されています。ということは、観客数20,000人といっても、年間指定席を持ちながら来なかった人が5,000人、無料招待券の入場者が10,000人、有料入場者が5,000人ということもあり得るわけです。この場合、試合に有料の価値を見いだしている人は5,000人ということになります。
このように、興行として意味のある観客数は5,000人なのに発表は20,000人というのは、「粉飾決算」に類する行為と考えられます。つまり、本当は経営が苦しい、つまり「無料招待券の罠」にはまり、将来の収益が期待できない状況であるにもかかわらず、表向きは経営が健全であるというような発表をしているという状況です。「粉飾決算」が罪になるのは、投資家が投資先の企業の経営状況がいいものと信じ込んで投資を続けていったら突然破綻し、投資した資金を回収できなくなるということが起こりうるからです。逆に経営状況が悪いところに投資するのは、「ハイリスクハイリターン」を覚悟の上ですから、突然破綻してもやむを得ないで済まされるわけですね。
今回、オリックス及び大阪ドームシティは大阪市民デーが無料招待であることは大々的に公表していましたが、その来場者に無料招待券を2枚配布したという事実は公表されたのを確認できませんでした。実際の来場者がblog等で公表してはじめて知ることができたわけです。このように、公表分以外にも秘密裏に無料招待券をばらまいているということは、通年でその実数がどの程度なのか、見当もつきません。また、高額な年間指定券を購入しながら来場しないのがどの程度なのかも知ることができません。しかし、観客数の発表だけみると平日にして20,000人ということで、「それなりに入っている」という印象を持ってしまいます。この「粉飾決算もどき」によって来年、年間指定席を購入した人(実際、高額な席は、ほとんどが企業)は、日々発表されていた観客数は虚像であって、「オリックスの試合」は高額な投資をするに見合うモノではなかった。。。と愕然とするわけです。
無料招待券のバラマキで「試合という商品の価値」を低下させ、観客数の発表で「粉飾決算もどき」の虚像を示す。。。これはオリックスバファローズを真剣に応援しているファンに対しても「屋上にかかった梯子をはずす」ような行為と言えるでしょう。
ファンの存在を無視して誕生した統合球団は、今も崩壊への連鎖が脈々と進行していると言わざるをえません。このような経営センスの悪さは、それを反面教師として学ぶことができるという点にしか価値を見いだすことができません。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
紅の牛さんコンニチワ。
HP「僕らの大阪・・・」のコメント見ました。本当にそのとおりだと思います。
私は去年A新聞社のN記者の球界再編に関する講演会に参加しました。M内が球団合併を推し進めた一番の原因は「1リーグ」にして、莫大なG戦の放送権料(今では価格が暴落中!)を獲得し球団の価値を高め、球団を高く売りさばくです。正にオリ本社の企業再生と同じ方法です。
結果的にはM内の計画と全く逆ですが。
N記者もM内がオーナーでいる限り、Bsの将来はお先真っ暗だと発言してました。
失われたもの、かつ笑顔を取り戻すためにそしてBu、BWファンが心から応援できるチーム(大阪市民球団・神戸新球団)を誕生させたいです!
投稿: 池島 | 2005年7月 9日 (土) 14時37分
池島さん、毎度、コメントをいただきありがとうございます。
A新聞のN氏は、昨年もスポーツ欄のコラムで一貫して経営サイド&NPBの仕事の進め方を批判してましたね。
>莫大なG戦の放送権料
もう、これも頼れなくなってきましたが、今度は、放送権料の価値が下がり、交流戦で対戦が減るセリーグのチームの方が危なくなってきました。困ったモノですね。
Bsのオーナーを批判すると、Bsファンを傷つけることになってしまうのかもしれませんが、何かをやろうとするときには、まず現状を分析して、何が悪いのか、で、どうすればよいのかと考えていかなければいけません。現状で特に悪いところがなければ、何もする必要がないんですが、Bsの経営は悪いところだらけです。
まぁなんとか頑張っていきましょう。
投稿: 紅の牛 | 2005年7月10日 (日) 22時20分