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2005年11月 3日 (木)

大阪市民球団のガバナンス

47thさんのふぉーりん・あとにーの憂鬱「コントロールとキャッシュ・フローの分離雑考(イントロ)」、磯崎さんのisologue「タイガース上場(等)と多様なガバナンスの可能性(その2)」よりトラックバックを頂き、球団株上場に関連して株式公開(IPO)やガバナンスについて非常にわかりやすい解説(素人には難しい用語なんかも多いですが^^;)をしていただきました。このblog(市民球団を考える)は、阪神タイガースの上場ではなく、大阪市民球団の設立が最大のテーマですので、両blogからお知恵を拝借しつつ、大阪市民球団のガバナンスについて考察してみたいと思います。

まず、大阪市民球団を未公開企業とし、出資企業を4社とする場合。
企業の出資比率(普通株式)を20%×3社+30%(球団オーナーを出す会社、以下、幹事企業)、市民出資が残りの10%、市民出資分は議決権を普通株式の5倍に優先配分する種類株式とすると、企業の議決権は20/140×100=14.3%×3社、幹事企業の議決権は30/140=21.4%、市民出資者の議決権は50/140×100=35.7%となります。
目標出資額を100億円と設定すると、企業の出資額は20億円×3社、幹事企業で30億円、市民出資分で10億円。市民出資分については、1口10,000円で1人最高100口まで購入可とすれば、10,000円×10万人or10万円×1万人or100万円×1,000人といったイメージで個人出資者を集めればよいということになります。
市民出資者の議決権については、個別にカウントしていく方式(以下、個別方式)と一体としてカウントしていく方式(以下、一体方式)がありそうです・・・この辺は、法律に基づいてのコメントではなく、素人的発想ですが(^^;
ここで、個別方式では球団株主=市民出資者、一体方式では球団株主=ファンクラブのホールディング名義と仮定してみます。この場合、意見が二分される問題(企業が2対2、市民出資者が49対51)で過半数を確保するためのキャスティングボードを握るのは、個別方式では幹事会社、一体方式では市民出資者(の多数決で勝った側)ということになります。また野球協約第28条の「球団は発行済み株式数、および株主すべての名称、住所、所有株式の割合をコミッショナーに届けなければならない」、「株主に変更があった場合はその都度届け出る」に照らし合わせると、個別方式は適用が難しく、一体方式は市民出資者の情報が届け出の対象外となるので適用可能と言えそうです。もっとも、この条項自体、村上ファンドの影響を受けて改正(改悪?)される可能性大ですが。。。これらを考えると、一体方式の方が実現性が高く、また市民の声(但し多数決の論理なので少数意見は無視されがち)が経営に反映されやすいということでしょうか。
ただ市民出資者といっても、基本は野球ファンであり、経営とか人事の細かいところまで関与する(議決権を有する)ことを望むのか?と考えると、ん~と考えてしまいます。

>47thさん
>公開会社では、「無議決権投資家」として想定されるのは、分散した株主層で、情報収集・意思決定のコストを考えると会社経営に関心を持たない方が合理的という「集合行為問題」を抱えた人たちになります。

球団職員になるような場合は別として、市民出資者として経営に参画するレベルとしては、重要な決定事項には議決権を有し、一般的な事項では意見を言う機会を与えられるといった当りが妥当な線ではないでしょうか。そうすると、種類株式における議決権の設定は、「重要な事項では5倍、一般事項ではゼロ」となりそうです(こんなのありかな???)。

>磯崎さん
>前述の私のタイガース公開に向けた資本政策案は、むしろファンの発言力は高くなるし、それを全体のガバナンスの構造に前向きに反映させよう、ということで、発想が全く逆のものです。

私は「ファンの発言力」を経営に取り込むのには賛成なんですが、必要以上に高い比率で経営に反映させることはどうかな?と思っています。「ファンの望み」と「経営のあるべき姿」は時として反目することがありますし、「ファンの発言力」といっても出資者に限定されるわけですから。重要なことは、球団統合のような重大事項をファンの声を全く無視して、ファンに説明することもなく強行するという愚劣な行為は二度とおこしてはならない、ということです。横浜FCのファンや大阪近鉄バファローズ&オリックスブルーウェーブのファンはそのことが身にしみているわけですね。あとは球団側がファンのニーズを汲み取った経営(今年の千葉ロッテのように)をしてもらえばいいわけで、その圧力として市民出資者がお目付役的存在(この微妙な立場を種類株式の設定により味付けするのが腕の見せ所^^;)になれればよいのではと思います。

次に大阪市民球団を上場する場合。
100億円程度の出資金を集めるとして、磯崎さんの阪神タイガース上場案(時価総額410億円)の1/4モデルで考えると、普通株式は20万円×5万株=100億円、市民出資者(ファンクラブ)は種類株式で20万円×2,500株=1万円×5万人=5億円。種類株式の議決権を10倍とすると、市民出資者(ファンクラブ)の議決権が2.5万/7.5万×100=33.3%になります。問題は、普通株式5万株のうち、出資企業がどの程度引き受けるかということになります。主たる出資企業を安定株主と位置づけ、3社×3,000株+4,000株(幹事会社)とすると、市民出資者とあわせた議決権が3.8万/7.5万=50.7%となり、過半数を制しての敵対的買収の可能性がなくなります。ただ筆頭株主が4,000株(出資金8億円)で、普通株式の流動分が5万-1.3万=3.7万株という状況は不安定な気もします。安定株主の出資比率を超える株主の出現を防ぐには、例えば3社×9,000株+1.4万株(幹事会社)とすればよいですが、流動分が9,000株しか残らないため、上場する意味が見いだせません(と言えるかな?)。
上場する目的、意味はなんや?というのをもう少し整理しないと、大阪市民球団を上場するメリットがわからないというのが現状です。

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