球団数増加に対する5つの視点
NPBへの新規参入により球団数を増加するということを考える場合、プレーオフ制度から見た新規参入待望論でも考察したように、4球団増の16球団体制とするのが一つの理想型と言えるでしょう。昨年の球界再編は10球団または8球団の1リーグ制移行が取り上げられ(今年もくすぶってはいますが^^;)、球団側は賛成多数、ファンと選手会は反対と立場により意見が二分されました。では、球団数増加の場合、どういう対立軸が出てくるのでしょうか?
1.ファンの視点
東北楽天の誕生で仙台の野球ファンはおおいに盛り上がっています。しかし、東北地方以外の野球ファンにはあまり関心がないかもしれません。球団数増加は、増加した球団のファンとなりうる人にとっては大きなプラス、それ以外は大きな影響なしといったところでしょうか。それと球団拡大時は目新しさを楽しむこともできますね。まぁこれは最初だけですが。。。
2.選手の視点
プロを目指す若者にとって、球団数が増えることは朗報でしょう。まぁ一部の有力選手にとっては希望球団に行ける確率が低くなるとも言えますが。あとは全体として一軍の試合の出場機会も増えることになります。戦力が分散すると大記録が生まれやすくなるとも言われますね。また有力選手を48人とすると、12球団なら平均4人、16球団なら平均3人となり、有力選手への年俸の配分を多めにすることも可能となります(球団の経営状況に変化がなければという条件付きですが)。球団拡大時にエキスパンションドラフトをやるとなると。。。これは嫌われるかもしれませんね。包括すれば、どちらかといえばプラスといった当りでしょうか。
3.球団経営の視点(既存球団)
既存球団にとっては、大リーグに有力選手をとられ続けている上に、球団拡大時にエキスパンションドラフトで選手を引き抜かれるのは辛いところです。有力選手への年俸負担減というより、球団の魅力低下による収入減の方が大きいというのが現状でしょうか。対戦相手として新規参入球団が出てくるというのは、話題つくりに成功すればプラス、経営は讀賣戦のTV放映権頼みというセリーグ球団にとっては交流戦と同様、「そりゃ困る」かな。まぁいつまでも讀賣戦頼みのビジネスモデルが通用しないということは覚悟しているんでしょうけど。
4.球団経営の視点(新規参入球団:地方都市)
プロ野球空白地帯の地方都市に新規参入して経営していけるのか。その答えは東北楽天の初年度からの黒字経営で光明が差してきたとも言えますが、仙台より都市の規模が小さくなるほど経営は厳しくなります。新規参入を目指している松山や金沢ではどうでしょうか?Jリーグのクラブは地方都市でも十分に成立していますが、一般に週2日で平日+土日のJリーグと週6日で毎週、平日に4日も試合をするプロ野球は同列に扱えません。平日の仕事帰りをターゲットにした集客能力について、プロ野球の方がより問われることになります。仙台よりも小さな規模の地方都市でプロ野球の興行を成功させるには平日のホームゲームは大都市の球場と併用にするといったフランチャイズ政策なんかも考える必要がありそうです。
5.球団経営の視点(新規参入球団:大都市)
京都などの例外もありますが、大都市では概ね既存球団が進出しています。大阪の場合、大阪のみを本拠地とする球団は消滅してしまったので空白地帯と言えなくもありませんが、関西の場合は阪神タイガースという存在感の極めて大きな球団があります。大都市への新規参入は市場のパイは大きいが、地方の空白地帯への新規参入のように市場を占有することが難しいという点で、4の場合と全く異なる視点で経営ビジョンを立てる必要がありますね。
こうしてみると、対立軸というより、創意工夫で乗り越えられる(かな^^;)課題が横たわっているというくらいの感じに思えます。新潟アルビレックスの成功、東北楽天ゴールデンイーグルスの初年度からの黒字経営。ダメだと思ってやらなければ何もできません。何でダメなのか、ということを考えることも大事ですが、それよりも、どうすればできるのかという前向きな発想で考えていきたいと思います。
ところで新規参入を目指すには、単独ではなく複数で共同歩調をとることが望まれます。松山、金沢、大阪での新規参入を共同で目指していこうという趣旨の下記フォーラムに期待したいと思います。
「第二回野球好きフォーラム」
~ 私達の町のプロ野球球団の実現に向けて ~
2005年11月19日(土)松山市にて
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コメント
いつもわかりやすい文章をありがとうございます。
> 関西の場合は阪神タイガースという存在感の極めて大きな球団があります。
これは確かに大きなボトルネックですが、昨年、楽天が一旦は関西地方での
新規参入を発表しているので、不可能ではないと思います。
一方、
> (今年もくすぶってはいますが^^;)
という球団削減の動きは、今日のオーナー会議に注目ですね。
投稿: 遍路牛 | 2005年11月 4日 (金) 11時04分
>SEABLOGスポーツさん
TBありがとうございます。
また松山のイベントを取り上げていただきありがとうございます(^^)
>遍路牛さん
いつもコメントありがとうございます。
>球団削減の動きは、今日のオーナー会議に注目ですね。
ん~まだくすぶってますね。被告人が議長やってるんだからまとまるモノもまとまりませんね。。。
投稿: 紅の牛 | 2005年11月 5日 (土) 02時33分