2005年11月 6日 (日)

企業がプロ野球に出資する意味は何か?

企業が赤字覚悟でプロ野球に出資する意味は何でしょうか?

1.球団名に企業名をつけることによる広告効果
通常、企業は犯罪や事故、不祥事といったマイナス要素は別として、企業名を露出させたいと考えており、大企業や新興企業などは多額の宣伝広告費を使っています。球団名というのは、試合のあるたびにマスコミに取り上げられますから、広告効果は抜群です。昨年、近鉄はそこに目をつけて球団の命名権売却を模索しましたがつぶされてしまいました。この時の算定価格が年間36億円。一方で球場の方の命名権売却は認められていてインボイスやフルキャストといった新興企業の知名度が一気に高まりました。ライブドアやUSENに至っては、球団を買いたいというだけで知名度を上げましたが。。。現在、企業名が球団名に全く登場しないのは横浜だけですね。横浜ベイスターズの筆頭株主がTBSだったということは、今回の騒動の前まで案外知られていなかったのではないでしょうか。

2.広告宣伝費としての赤字補填による節税効果
球団の赤字を親会社が補填した場合、広告宣伝費として認められる金額は親会社が損金として処理で着るため節税効果があります。詳しくは「国税庁長官通達と企業に頼るプロ野球」にまとめてあります。

3.親会社の本業とのシナジー効果
讀賣はジャイアンツを新聞の販促に利用しています。少々泥臭いですが、これもシナジー効果というんでしょうか?(^^;。阪神は甲子園の観客を阪神電車で運び、キャラクターグッズを阪神百貨店で売りさばくという最も古典的なシナジー効果を得ています。古典的というのは、今は亡き近鉄、阪急、南海等の私鉄会社が皆同じ戦略だったということですね。短絡的に後者を負け組とは呼びたくないですが。。。IT企業にとっては、プロ野球をコンテンツとして顧客をネットに誘い込むことができれば、本業とのシナジー効果が生まれそうです。どう収益に結びつけていくかは腕の見せ所ですが、今のところは広告宣伝効果と相まってネットサービス全体のページビューを押し上げているといったところでしょうか。

この辺が主だったところでしょう。どれも資本を提供している出資者と球団経営が密接に絡んでいます。現行の野球協約は、こういう企業の目的を前提として構成されていると言っても過言ではないでしょう。野球協約を全面的に見直すなら、出資する企業の側もその意味を考え直さなくてはいけません。根本的なところはそのままで、条文のみを見直そうというなら、小手先の改革に終わってしまうことは必定です。じゃあ上の1~3の他に、どういう意味があるのでしょうか?そもそも既存球団に対する主たる出資企業の目的が1~3に凝縮されているので、ここでは大阪市民球団に出資する意味は何か?という観点で考えてみます。

4.企業メセナとしてのスポーツ支援
企業メセナとは、一般に企業が芸術や文化を支援することを指しているようです。また、その目的も「企業のイメージ戦略」的なものから「芸術や文化を振興し利益を社会全体に還元する」ものへと変質しているようです。昨年、「プロ野球は公共的文化財」だと言って球団統合に反対したファンや選手に対し、経営難を理由に撤退・統合するのは当然とばかりに球団統合を強行したオーナーやNPBの幹部たちは、村上ファンドや楽天の資本力を背景にした経営スタイルを見せつけられると今度は手のひらを返したかのように「プロ野球は公共的文化財」と主張しはじめています。1社で支えきれないなら複数企業で支え、利益がでたら社会全体、特に地域や応援してくれたファンに還元する。やはりそういう方向性を目指すべきではないでしょうか。もちろん、全球団が足並みを揃える必要もありません。既に利益を出している球団や赤字は本業の収益でいくらでも挽回できるという企業だってあるでしょう。しかし、それができない球団は犠牲になるというシステムではなく、多様な経営スタイルを受け入れ、全ての球団が生き残れるシステムを目指すべきだと思います。またここで、スポーツ支援としたのは、プロ野球に限らず、複数のスポーツにまたがって少額の支援を行い、野球だけでない、スポーツという範疇を文化ととらえることが、より望ましいという意味合いです。種別の異なるスポーツなら二重支配でも三重支配でも許されるでしょうし。

5.出資企業の一般社員に対する士気高揚と一体感の醸成
これは既存球団にも当てはまるんでしょうけどコストに換算するのが難しい項目であり、費用対効果を問われると無視されてしまいがちです。しかし、複数企業の出資なら出資額も抑えられ、一方で我社が出資している球団という価値観は1の球団名に企業名がついている時よりは落ちるもののそれなりに存在し、費用対効果は低いところでうまくバランスするのではないでしょうか。

6.複数の出資企業を仮想グループと見立てた顧客の囲い込み
上記の1~3のうち、3の本業とのシナジー効果については否定するつもりはありません。しかし、プロ野球という一つの軸よりも、多様な業界の企業間で連携し、プロ野球を媒体として多軸のサービスを提供することで顧客を囲い込むという戦略の方がより多数の顧客を取り込めるのではないでしょうか。

大阪市民球団の場合、今のところは単独で過半数を超えない複数企業の出資という考え方(大阪市民球団のガバナンス)なので、球団名に企業名をつけるということはない(出資企業が交代でつけるという考え方もありますが^^;)とはいえ、1の広告宣伝的な効果は不要ということではありません。そこでアイデア(止まりですが^^;)として、選手単位や本拠地の試合単位でスポンサーとなってもらい広告宣伝効果を得ようということを考えてみました。
まとめとして、複数企業の出資というスタイルで1~3をメインと考えると企業にとって出資のメリットを見いだしにくく、4~6をメインと考えると、単独出資の場合より少額の出資となることとあわせて出資をしようという動機付けになるのではないかと思います。

※なお、大阪市民球団(夢球団)の活動に関する公式HP(夢球団設立連絡会)はこちらになります。

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オーナー会議の続編:楽天問題の今後

「統治能力をなくしたオーナー会議」の続編として、改めて楽天によるTBSに対する経営統合の提案について考えてみます。楽天としてはTBSとの経営統合に成功すれば、本業の「ネット」と「放送」の融合を目指すというのが目的です。先日のオーナー会議の席で、三木谷オーナーは、「楽天と楽天球団は別法人。横浜に影響を及ぼすことはない。なぜ楽天だけを問題にするのか」と発言していました。本業と球団経営は別物という意味合いなんでしょうけど、楽天の中で楽天球団は中核事業の一つですから、当然、TBSを通じた放送で楽天球団を積極的に取り上げたいという要望が出てくるはずです。その時、そもそもTBSの保有している横浜より露出度を高めるのはダメ、といったTBS・横浜側と「利害関係※野球協約第183条のただし書きに登場する用語」が衝突する可能性もあります。単に八百長とか不公正なトレードのみが懸案事項ということではないんですね。もちろん、楽天としては、TBSの株取得が野球協約違反となることは百も承知のことだったのでしょう。だから、横浜ベイスターズをUSENに売却することで(USEN側とのみ)話をつけ、二重保有の状態を解消するというシナリオを描き、球界の院政気取りの渡邊恒雄氏に事前に相談していたんですね。しかし、おそらくは三木谷オーナーの予想を超えるTBSの拒否反応で、経営統合も横浜売却も否定されてしまい、窮地に陥っているというのが今の状況なんでしょう。三木谷オーナーは、また、オーナー会議で、野球協約第183条の例外規定が適用されているフジテレビ→ヤクルト(20%)とフジの子会社ニッポン放送→横浜(30.8%)の球団株保有と役員派遣が認められているのになぜ楽天がダメなのか、異議を唱えています。フジテレビとニッポン放送が野球協約違反かどうかの論点は、両社が野球協約第183条の「事実上支配権を有するとみなされる株主」に当たるかどうかという点です。出資比率は両社とも1/3未満ですから重要事項の拒否権もなく、役員を派遣しているといっても多数ではないでしょう。したがって「経営に関与している」とは言えますが、「事実上支配権を有する」とは言えないでしょう。だからフジテレビとニッポン放送の件は野球協約に適合していると認められてきたわけです。それが先日のオーナー会議では、「コミッショナーが文書で善処を要望する」というワケのわからない処置が施されることになりました。しかも、この処置は野球協約第186条によるコミッショナーの指令ではなく、何の強制力もないとのこと。。。明確に協約違反の楽天問題は先送りして、協約適合と判断された過去の事例に形式的な文書を出す、もう迷走以外の何ものでもありません。
さて、そのオーナー会議の議長を務めた宮内オーナーの発言。
「野球が親会社の経営戦略に波及していいのか。最終的に子会社のことで親会社がM&Aをやめるのか、という選択になることも考えられる。」
これはつまり、楽天が野球協約違反と認定された場合は、コミッショナーにより、「楽天が楽天イーグルスを売却する」「TBSが横浜ベイスターズを売却する」「楽天イーグルスと横浜ベイスターズを統合させる」「楽天がTBS株を全株売却する」のいずれかを速やかに実施しなさいという指令を出すことになるが、それは(社会常識として?)おかしいだろうという発言です。NPBに加盟している球団は野球協約を守るということが前提であり、その最高意志決定機関であるオーナー会議の議長が「協約違反の行為を責めるのはおかしい」と言っているわけで、普通に考えれば「あんた(宮内オーナー)の言ってることがおかしい」と言われても仕方がありません。宮内オーナーは、「楽天のTBS株取得が野球協約違反になるとすれば、それは野球協約の方がおかしいと考えるべきだから、楽天に対する処分は保留として野球協約第183条の見直しを早急に行いましょう。」と言うべきだったんですね。上の宮内オーナーの発言そのものは、今回の問題の本質的な部分として、もっと議論すべきことだったんでしょうけど、昨年の球団統合にしろ、今回の議長裁きにしろ、この人にはセンスがない!だからバッシングされるんですね。
ここでは、宮内発言をもう少し掘り下げてみます。まず「野球が親会社の経営戦略に波及していいのか。」そういう考えを持っているんなら、親会社のリストラに巻き込まれた大阪近鉄バファローズはどうなのか?オリックスにしろ、楽天にしろ、球団経営は親会社の経営戦略の一つでしょう。経営戦略を考える時、プロ野球の球団を保有しているというのは与条件として意識しているはずであり、無関係だと言うんなら経営者として失格です。次に「最終的に子会社のことで親会社がM&Aをやめるのか。」こちらが、より言いたかったことなんでしょうね。何しろオリックスはM&Aで成長している企業ですから。しかし、オリックスが阪神電車の株を買い占めるのと京阪電鉄の株を買い占めるのとでは、全く意味が異なってきます。オリックスが村上ファンドから阪神電鉄株の譲渡を受けたら、マスコミは一斉に「オリックス・阪神の統合か?」と騒ぎ立てるでしょう。阪神球団の保有が本意でないならば、やはり「子会社のオリックス球団のことで親会社のオリックスが阪神電鉄のM&Aを行わない。」という選択をせざるを得ないでしょう。
宮内発言を取り入れるべく野球協約を改正するんなら、資本と球団経営を分離させる方向で考えるべきではないでしょうか。大阪市民球団では出資者を小口分散させるという発想なので、そのスキームを考える時、どうしても資本と球団経営の関係がネックになってきます。それには、まず「企業がプロ野球に出資する意味は何か?」というあたりから考えていく必要がありそうです。
前回の「統治能力をなくしたオーナー会議」でのコメントは、くしくもオーナー会議における讀賣の滝鼻オーナーの発言に最も近かったようです。ただ、それは「ルールとして野球協約は守るべし」というコンプライアンスの観点で一致したというだけであり、野球協約を含め今後の球界をどうすべきかという観点で讀賣サイドの考えと一致しているとは思いません。
大阪市民球団の設立によって球界に新風を吹き込み、企業サイドと野球ファンである市民、そして主役の選手たちが共存共栄できる球界改革を模索していきたいと思います。とえらそうなことを言いながらあまりに微力ですが(^^;

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2005年11月 5日 (土)

統治能力をなくしたオーナー会議

野球協約第183条に明確に違反している楽天に対する処置がオーナー会議で先送りされました。先送りを申し入れたのは議長を務めるオリックス宮内オーナー。オリックス自身も村上ファンドを通じた阪神タイガースへの二重保有を指摘されているため、楽天を「黒」と決めつけると、オリックスも「黒っぽい灰色ではないか?」と責められるのを嫌ったのでしょうか?それとも先送りして時間稼ぎをしている間に球界再編をもくろんでいるのでしょうか?

●野球協約第183条(他球団の株式保有)
 球団、オーナー、球団の株式の過半数を有する株主、または過半数に達していなくても、事実上支配権を有するとみなされる株主、球団の役職員および監督、コーチ、選手は直接間接を問わず他の球団の株式、または他の球団の支配権を有するとみなされる会社の株式を所有することはできない。
 ただし、オーナー、球団の株式の過半数を有する株主、または過半数に達していなくても、事実上支配権を有するとみなされる株主による他の球団の間接所有については、他の球団との利害関係が客観的に認められないと実行委員会およびオーナー会議が判断した場合は、この限りではない。また、コミッショナー事務局および両連盟の役職員は、いずれの球団の株式も所有することはできない。

楽天は「球団の株式の過半数を有する株主」なので、「他の球団の支配権を有するとみなされる会社」であるTBSの「株式を所有することはできない。」・・・あまりにも明確な野球協約違反です。TBSじゃなくてフジテレビなら問題なしとなったんでしょう。フジテレビはヤクルトの株を持っているとはいえ20%ですから。楽天がTBSを支配するか否か、経営統合をするか否かは野球協約上は関係ありません。楽天がTBSの株式を所有した時点で違反行為になっているわけです。楽天は「ただし。。。」の部分を適用できないかと主張していますが、この場合の論点は、「他の球団との利害関係が客観的に認められないと実行委員会およびオーナー会議が判断した」か否か。実行委員会では11球団が「黒」といったわけですから、もうこの時点で「ただし。。。」は適用できません。「実行委員会およびオーナー会議」の両方で理解を得られてはじめて「ただし。。。」が適用されるわけですから。またオーナー会議においても「黒」が多数意見だったのですから、野球協約第186条によってコミッショナーの指令が下されるというのがルールに沿った処置だったわけです。現行の野球協約がいい悪いは別の議論であって、宮内オーナーの先送りの申し入れはコミッショナーに対する越権行為。コミッショナーの方はやるべき職務を放棄した。これが今回のオーナー会議の実態ですね。あきれるばかりです。球団統合はごり押しし、都合の悪いことは先送り。宮内オーナーに議長を務める資格はありません。コミッショナーの方はいわずもがな。。。存在自体が悪です。

●野球協約第186条(違反または不履行)
株式所有または金銭上の利害関係の禁止条項に違反した時は、コミッショナーにより違反事実の解消を指令され、かつ情状により適当な制裁が科される。監督、コーチ、選手はコミッショナーの裁決を履行するまで、すべての野球活動が停止される。

オリックスの場合は、「球団の株式の過半数を有する株主」であり、村上ファンドに出資しているわけですから、論点は「村上ファンドが阪神球団の支配権を有するとみなされる会社」であるか否か。こちらは微妙です。オリックスはファンドの運用先まで関知していないと主張していますが、問題視されているのは「ファンド」への投資ではなく、MACアセットマネジメントの「株式を45%保有」している点。オリックスの弁明は議論のすり替えです。村上ファンドの方は「支配」が目的ではなく「投資」が目的といっていますが、既に阪神電鉄の筆頭株主として球団株上場を提案しているわけですから、「支配権(もどき?)を行使しつつ投資効果を上げよう」という行動をとっているとみれるでしょう。したがって、村上ファンドの阪神電鉄に対する持ち株比率が過半数を超えた時点でオリックスは「黒」。
現在は「黒っぽい灰色」といったところでしょう。それとオリックスは球団株上場に賛成しています。これが球界再編をもくろんでいるという状況証拠。。。かな!?

今回の二重保有についての野球協約上の論点は「他の球団との利害関係が客観的に認められない」と「他の球団の支配権を有するとみなされる会社」の二つ。これについて当事者及び各球団の意見を聞いた上でコミッショナーが断を下す。それができないならオーナー会議なんて開く意味はなかったわけです。

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2005年11月 3日 (木)

大阪市民球団のガバナンス

47thさんのふぉーりん・あとにーの憂鬱「コントロールとキャッシュ・フローの分離雑考(イントロ)」、磯崎さんのisologue「タイガース上場(等)と多様なガバナンスの可能性(その2)」よりトラックバックを頂き、球団株上場に関連して株式公開(IPO)やガバナンスについて非常にわかりやすい解説(素人には難しい用語なんかも多いですが^^;)をしていただきました。このblog(市民球団を考える)は、阪神タイガースの上場ではなく、大阪市民球団の設立が最大のテーマですので、両blogからお知恵を拝借しつつ、大阪市民球団のガバナンスについて考察してみたいと思います。

まず、大阪市民球団を未公開企業とし、出資企業を4社とする場合。
企業の出資比率(普通株式)を20%×3社+30%(球団オーナーを出す会社、以下、幹事企業)、市民出資が残りの10%、市民出資分は議決権を普通株式の5倍に優先配分する種類株式とすると、企業の議決権は20/140×100=14.3%×3社、幹事企業の議決権は30/140=21.4%、市民出資者の議決権は50/140×100=35.7%となります。
目標出資額を100億円と設定すると、企業の出資額は20億円×3社、幹事企業で30億円、市民出資分で10億円。市民出資分については、1口10,000円で1人最高100口まで購入可とすれば、10,000円×10万人or10万円×1万人or100万円×1,000人といったイメージで個人出資者を集めればよいということになります。
市民出資者の議決権については、個別にカウントしていく方式(以下、個別方式)と一体としてカウントしていく方式(以下、一体方式)がありそうです・・・この辺は、法律に基づいてのコメントではなく、素人的発想ですが(^^;
ここで、個別方式では球団株主=市民出資者、一体方式では球団株主=ファンクラブのホールディング名義と仮定してみます。この場合、意見が二分される問題(企業が2対2、市民出資者が49対51)で過半数を確保するためのキャスティングボードを握るのは、個別方式では幹事会社、一体方式では市民出資者(の多数決で勝った側)ということになります。また野球協約第28条の「球団は発行済み株式数、および株主すべての名称、住所、所有株式の割合をコミッショナーに届けなければならない」、「株主に変更があった場合はその都度届け出る」に照らし合わせると、個別方式は適用が難しく、一体方式は市民出資者の情報が届け出の対象外となるので適用可能と言えそうです。もっとも、この条項自体、村上ファンドの影響を受けて改正(改悪?)される可能性大ですが。。。これらを考えると、一体方式の方が実現性が高く、また市民の声(但し多数決の論理なので少数意見は無視されがち)が経営に反映されやすいということでしょうか。
ただ市民出資者といっても、基本は野球ファンであり、経営とか人事の細かいところまで関与する(議決権を有する)ことを望むのか?と考えると、ん~と考えてしまいます。

>47thさん
>公開会社では、「無議決権投資家」として想定されるのは、分散した株主層で、情報収集・意思決定のコストを考えると会社経営に関心を持たない方が合理的という「集合行為問題」を抱えた人たちになります。

球団職員になるような場合は別として、市民出資者として経営に参画するレベルとしては、重要な決定事項には議決権を有し、一般的な事項では意見を言う機会を与えられるといった当りが妥当な線ではないでしょうか。そうすると、種類株式における議決権の設定は、「重要な事項では5倍、一般事項ではゼロ」となりそうです(こんなのありかな???)。

>磯崎さん
>前述の私のタイガース公開に向けた資本政策案は、むしろファンの発言力は高くなるし、それを全体のガバナンスの構造に前向きに反映させよう、ということで、発想が全く逆のものです。

私は「ファンの発言力」を経営に取り込むのには賛成なんですが、必要以上に高い比率で経営に反映させることはどうかな?と思っています。「ファンの望み」と「経営のあるべき姿」は時として反目することがありますし、「ファンの発言力」といっても出資者に限定されるわけですから。重要なことは、球団統合のような重大事項をファンの声を全く無視して、ファンに説明することもなく強行するという愚劣な行為は二度とおこしてはならない、ということです。横浜FCのファンや大阪近鉄バファローズ&オリックスブルーウェーブのファンはそのことが身にしみているわけですね。あとは球団側がファンのニーズを汲み取った経営(今年の千葉ロッテのように)をしてもらえばいいわけで、その圧力として市民出資者がお目付役的存在(この微妙な立場を種類株式の設定により味付けするのが腕の見せ所^^;)になれればよいのではと思います。

次に大阪市民球団を上場する場合。
100億円程度の出資金を集めるとして、磯崎さんの阪神タイガース上場案(時価総額410億円)の1/4モデルで考えると、普通株式は20万円×5万株=100億円、市民出資者(ファンクラブ)は種類株式で20万円×2,500株=1万円×5万人=5億円。種類株式の議決権を10倍とすると、市民出資者(ファンクラブ)の議決権が2.5万/7.5万×100=33.3%になります。問題は、普通株式5万株のうち、出資企業がどの程度引き受けるかということになります。主たる出資企業を安定株主と位置づけ、3社×3,000株+4,000株(幹事会社)とすると、市民出資者とあわせた議決権が3.8万/7.5万=50.7%となり、過半数を制しての敵対的買収の可能性がなくなります。ただ筆頭株主が4,000株(出資金8億円)で、普通株式の流動分が5万-1.3万=3.7万株という状況は不安定な気もします。安定株主の出資比率を超える株主の出現を防ぐには、例えば3社×9,000株+1.4万株(幹事会社)とすればよいですが、流動分が9,000株しか残らないため、上場する意味が見いだせません(と言えるかな?)。
上場する目的、意味はなんや?というのをもう少し整理しないと、大阪市民球団を上場するメリットがわからないというのが現状です。

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2005年10月16日 (日)

市民球団は既存球団とどう違うのか?

球団経営という観点で市民球団を考えるとき、市民球団と既存球団の違いは次の2点に集約できるかと思います。
・市民が球団経営に参加している。
・複数企業の出資に支えられている。
後者の複数企業の出資というのは、既存球団の約半数で既に実現しています。具体的に見ると。。。

・オリックスバファローズ:オリックス80%、近畿日本鉄道20%(今後2年以内の早い時期に撤退との前提)
・北海道日本ハムファイターズ:日本ハム74%、北海道新聞社5%、札幌ドーム5%JR北海道2%、北海銀行2%、北海道電力2%、サッポロビール2%、他4団体で各2%
・福岡ソフトバンクホークス:ソフトバンク98%、その他2%
・広島東洋カープ:マツダ34%、松田オーナー20%、松田家の系列会社など7団体または個人で46%
・ヤクルトスワローズ:ヤクルト80%、フジテレビ20%
・横浜ベイスターズ:TBS51.5%、ニッポン放送30.8%BS-i17.7%
・中日ドラゴンズ:中日新聞92.5%、愛知県7.5%

ただ、複数企業の出資といっても、これらの球団と市民球団として考えているスキームはまったく異なります。既存球団では、複数企業の出資をしている場合でも概ね筆頭株主の出資比率が50%を超えており、球団名や球団オーナーも筆頭株主の企業から、という図式になっています。広島は市民球団を標榜していますが、球団名にはマツダの旧社名である東洋を名乗り、経営自体は不特定多数の市民というよりオーナーである松田家に依存しています。ここで考えている市民球団への複数企業の出資というのは、例えば4社×20%というように、特定の一企業が50%超の出資をして支配権を得るというスキームは想定していません。また広島における松田家のような出資企業と密接に関連した資産家による集中支配ではなく、少なくとも1000人以上に小口分散された市民も出資を行い球団経営に参加するというのが特徴になっています。

最近、阪神球団の上場が話題になっていますが、このblogで掲げている市民球団構想では上場はできません。例えば東証では上位10社の出資比率が75%を超えた場合は上場廃止になってしまいますので、4社×20%の安定株主に経営に参加してもらおうと思ったら上場できないんですね。また、市民に出資者になってもらう場合、できるだけ長期的に保有してもらい、長い目で球団を育てて欲しいという狙いがありますので、上場して日々株主が入れ替わるという状況は想定していません。増資により上場すれば、多くの資金を得ることができますが、それは上場した年だけであり、時間がたてば立つほど、M&Aの標的にされるリスクの方が膨らむばかりです。上場のデメリットは、球団側が株主を選べないということであり、八百長うんぬんもそういう悪い株主を入口で排除できないということから言われている話です。じゃあ、株主になる人を制限する規則をつくろう。。。ということになりそうですが、それなら上場しなければいいということになります。しかし、最初だけとはいえ、球団が多額の資金を得るというのは魅力的です。何か資本市場の機能を使って資金を集めるということは考える必要がありそうです。

ところで、ここからが重要なところですが、複数企業が出資していても、その出資比率を抑え、過半数を確保している企業がない場合、球団の経営責任はいったい誰が負うのか?というのが、この市民球団構想の要となる問題です。例えば北海道日本ハムの場合、東京を本拠地としていたときは日本ハム1社で100%出資していましたが、北海道への移転に伴い、地元の10社から計26%の出資を受けるスキームを採用しました。この日本ハム以外の10社は「経営責任はあくまでも日本ハムが負う」という前提で地元球団の出資を引き受けたようです。前に市民球団のオーナーは各出資企業から候補者を立ててもらい、個人出資者の選挙により選出するとしましたが、出資比率が50%未満の横並び(例えば20%)の数社の中から1社オーナー企業を出すというのは、経済原則から行くとどうしても不合理です。不合理なスキームというのは運用していくと必ずひずみが出てしまうものです。これは5%とか10%くらいのオーナー企業出資枠というのを用意しておいて、オーナー選挙に勝った企業がその出資枠を引き受けるということで解決できそう(かな?)です。オーナー企業が交代した場合には、その出資枠に相当する株式を新オーナー企業へ譲渡するわけですね。

このスキームの鍵は、「オーナー企業になるのはメリットがある」かどうかです。そのためには、企業が球団の出資者になるメリットは何かというところから考えていく必要がありそうです。思いつくところは挙げていますが、どうもまだ既存の枠にとらわれすぎている感じもします。IT企業なんかは、球団をコンテンツとして商売で儲けようという発想で、それはそれでいいんですが、そこには市民球団のスキームは不要な気もします。まぁ東北楽天にしろ、ソフトバンクにしろ、地元密着はうたっていますが、オーナー経営者は独裁者であり、市民球団という雰囲気ではないですね。

個人出資者が経営に参加するのはオーナー選挙への参加と球団経営に関して意見を言う場を設定してもらえるという2点です。個人出資者の出資比率は今のところ20%と考えていますが、株式会社における重要事項の決定に対し拒否権を持てるという点で1/3超の例えば35%くらいにするということでもよいかもしれません。重要事項とはもちろん他球団との合併などを含むわけです。この1000人くらいの個人株主は、「村上流のモノ言う株主」であり、球団の価値向上に向けてコメントを出し、オーナーの選挙権をちらつかせながら経営を監視するということですね。当たり前のことですが、1000人の個人株主=球団運営会社の社員ではありません。経営に参加といっても、日々業務をこなしていくというのではなく、外から監視して必要に応じ意見を言い、何かしらの権限(オーナーの選挙権と重要事項の拒否権)を持つというのが、私の考える市民球団における市民の経営参加のスタイルです(今のところは^^;)。

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2005年10月15日 (土)

阪神タイガース球団株の上場問題を4つの座標軸で考える

仕事の忙しさもあり(^^; 長期にわたり静観している間に、プロ野球界を取り巻く騒動が想定の範囲を大きく超えようとしています。一つ一つの出来事をどう考えればよいのでしょうか。マスコミの報道は、事実は事実として受け止め、一方で必要以上にとらわれず、本質を見極めたいものです。ということで、今回は、阪神タイガース球団株の上場問題について考えてみたいと思います。この問題については、立場によって考え方の方向性が様々ですので、村上氏、ナベツネ氏、NPBの幹部、ファンという4つの座標軸に分けて考えてみます。

まず、主役の村上氏。この人の座標軸はいたって単純。すべての発想が、「投資家から預かった資金(ファンドマネー)を運用して利益を上げる」ということを判断基準にしています。したがって、球団株の上場を提案した理由も、「それによって村上ファンドの運用益が向上する」ということに尽きるわけです。ファンが経営に参加できるとか、球団経営が透明化されるといったことは、あくまで付随的な側面であり、「それを言うことで世論を味方にできる」から強調しているのであって、マイナス面は覆い隠されているため、球団株の上場によって阪神タイガースがどうなるのかという本質はこの人の話を聞いただけではわかりません。上場するというのは、日常的に球団の株が市場で売買されるということであり、ファンが球団の株を取得するというのは、市場の取引の一形態に過ぎないわけです。したがって、市民球団の理念の一つとして、一市民に過ぎないファンが株主となって球団の経営に参加するということを考えるとき、上場するという選択肢はきわめて非効率です。多くの場合、個人で株式を取得する目的は、配当を得る、売買の差額によりキャピタルゲインを得る、株主優待サービスを得るというメリットを期待するものであり、楽天→TBSやライブドア→ニッポン放送のように巨額の資金を投入する場合は別として、個人株主が経営に参加するという仕組みにはなっていません。もちろん、阪神球団の株が上場されたら、多くのファンが株を買うでしょう。でも、その人たちは短期間で売りとばすでしょうか?ファン心理からいえば、棺おけまで持っていきたいところでしょう。株というのは需要と供給のバランスで価格が決定します。確実に買う人がいる銘柄。。。ファンドマネーを預かる村上氏にとってはまさに宝の山です。阪神タイガースの球団株を上場するということは、村上氏の座標軸で考えると、「阪神ファンの財布の金を搾取し村上ファンドの投資家にプレゼントする」ということに過ぎません。上場によって阪神ファンが経営に参加できるなんて戯言にだまされてはいけません。もう一つ、球団経営の透明化。これは、上場がきっかけになるかもしれないといった程度のことでしょう。そもそも透明化って何?と思いませんか。。。球団の収支を包み隠さず公表する。たったこれだけのことです。村上氏の主張が正論というより、単にプロ野球界のシステムがなってない、それだけのことでしょう。まぁ毒には毒を、という意味で村上ファンドという劇薬を球界に処方するのも悪いことじゃないかもしれませんが。

次にナベツネ氏の座標軸。この人の座標軸は、権力志向と讀賣の繁栄といったところでしょうか。この人は球界に対する権力の濫用に、しばしば野球協約を利用しています。この野球協約というものは法律でもなんでもなく、ナベツネ氏の思惑で球界を牛耳るための道具に過ぎません。それは昨年の球団統合~球界再編騒動で嫌というほど思いさらされました。上場はいかんというのも、その根拠は野球協約。一見、筋が通っているようですが、野球協約そのものの筋が通っていないのですから話がややこしいわけです。ところで、この人が讀賣巨人軍のためにと思って行動すればする程、讀賣が没落していくということを本人は気づいているのか、いないのか?気づいていないなら。。。なんて幸せな人なんだろうと思ってしまいます。それと「プロ野球の球団株を上場したら八百長の温床になるのは何故?」。。。クイズ問題としては面白いかもしれません。まぁこういうアクの強い人がいるということは、悪いことばかりでもなく、使いようによってはプラス面に作用することもあるんでしょう。ただ、彼を使いこなすには、相当の器量と野球協約の理解が必要です。

そしてNPBの幹部の座標軸。誰かといえば、根来コミッショナーに小池パ会長、豊蔵セ会長の3人です。彼らの真の座標軸は意外と知られていないように思います。表面的には無責任で役立たずといった評価をしがちですが、そんなことはありません。彼らはナベツネ氏の座標軸に乗って、ナベツネ氏の思惑通りに動く黒子です。それは、昨年の騒動があったときの動き方を見れば明らかです。根来コミッショナーは「権限がないから何もできない」という無責任体質のコメントのみが一人歩きしていますが、たとえば近鉄の球団命名権売却の話は就任早々に即断で却下していますし、選手会のストの際にも影でそれに対抗する文書をばらまいていました。根来コミッショナーの座標軸は、「ナベツネ氏に都合の悪いことは、権限がないから何もできないとし、都合のいいことは権限をフルに使って行動する」と考えるべきです。小池パ会長は当事者能力ゼロ。主体的に物事を考えることは一切しません。昨年の騒動の中では、ナベツネ氏の思惑をうけ、ロッテ×ダイエーの合併容認をパの他球団に強要し、ダイエー球団を恫喝したという行動のみが目立っただけです。豊蔵セ会長は、役人のトップに上り詰める才人でありながら、天下り天国を繰り返しているうちに人間性を失ったロボットとなり、これまたナベツネ氏の操り人形として職務を遂行しているに過ぎません。昨年は「合併問題で特別委員会は開催できない」という「判断を遅らせる」ことで選手会との交渉を先延ばしにすることがあんたの仕事だとナベツネ氏に吹き込まれたのでしょう。結果として、彼はその職務を全うしました。要するにNPBの幹部の座標軸はナベツネ氏の座標軸に連動している。これが基本形です。阪神の上場問題をNPBの幹部に預けるということは、ナベツネ氏に預けるというのと一緒。ナベツネ氏も「根来コミッショナーが任せるべきだ」って言ってるでしょう。それは「俺の思い通りにさせろ」ってことに他なりません。こんなんで、ファンに愛されるプロ野球界なんて創造できるわけがありません。

最後にファンの座標軸。これはいろんな方向性があるっていうのが最重要なことです。ファンと一口に言ってもたくさんの人間がいるんです。だから座標軸も様々。これが基本形です。だから、「ファンのために球団株を上場する」というのは、あるファンにとっては正論であり、またあるファンにとっては暴論になるわけです。ただ、より多くのファンが望むことは何か、と考えることは、よいアプローチと言えるでしょう。ですから、「上場すべきかどうかファンに問うべき」という村上氏の主張はまっとうなことかもしれません(もちろん、その真意は別ですが)。

ということで、阪神タイガース球団株の上場問題について、4つの座標軸を考えてみました。結局、わかったようで、よくわからない(^^; 状況ですが、私の考えとしては「球団株の上場には反対」に集約されます。私の考えていた市民球団のスキームでも、オーナーズ・クラブという名の個人株主を想定していましたが、それは球団の経営になにがしかの責任と情熱を持った1,000人限定という想定であって、球団株を上場して、日常的に株主が入れ替わるということはまったく考えていませんでした。まぁ阪神タイガースの球団株を上場することにやる価値を見出すとすれば、小泉流の「NPBをぶっ潰す」という破壊効果にあるのでしょう。しかし、それは、昨年、「資本の論理で合併するなどとんでもない。55年の球団の歴史と文化を守るべき」という主張をしていたことを180度ひっくり返し、村上ファンドという100%資本の論理で行動する輩に追随することになるわけで、それはそれで、やりきれない思いも残ってしまいます。

千葉ロッテマリーンズ(たぶん!?)と阪神タイガースの日本シリーズがかすんでしまいそうな最近の動き。プロ野球界を取り巻く座標軸は腐ったものばかり。。。と嘆くばかりではいけないと思いつつ、ため息でしかプロ野球界を見つめられないこの頃です。

それにしても、久しぶりにコメントしました~

blogやってますなんて、言えませんね(^^;

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2005年7月 7日 (木)

無料招待日(大阪市民デー)に無料招待券を配布する暴挙

大阪ドームにおいて、6月27日(月)のオリックス×東北楽天戦での大阪府民デーに続き、7月4日(月) にオリックス×西武戦で大阪市民デーが実施されました。それぞれ、大阪府民や大阪市民が無料で招待されるというイベントです。このイベント自体は大阪近鉄バファローズの頃から行われていたモノですが、無料招待ということで、「無料招待券の罠」にはまらないよう注意が必要です。

ところで大阪市民デーでは、昨年までと異なり、住所・氏名などの個人情報を記載したモノを提出させ、また翌日の無料招待券を2枚もプレゼントしたそうです。これはどういう意味があるでしょうか?

このサービスを実施した側の狙いは次のようなモノでしょう。
・無料とはいえ、球場へ足を運んだ人に「翌日限定」の無料招待券を配布することで、2日続けて来場してもらい、その後、リピーターになってもらいたい。
・2枚配ることで、普段は来場しない知人や家族を同伴してもらい、野球の楽しみを多くの人に理解してもらいたい。
・交流戦あけの中だるみの時期に1人でも多く来場してもらいたい。
・個人情報を入手することで、1度は来場した人に、今後、効果的なダイレクトメールを送ることができる。

確かに、何もしないよりは観客の数は増えたのでしょう。しかし、本来、サービスというモノは、試合をエキサイティングにするしかけや、試合以外の要素に付加価値をつけることにより、観客に「有料で観戦する価値がある」と思わせるモノであるべきです。無料来場者に無料招待券を配り、わずか9日間のウチ、3試合も無料で観戦できてしまう状況は、まさに「無料招待券の罠」にどっぷりとつかってしまったと言わざるをえません。しかも、その対象は大阪市民ですから、概ね30分~1時間程度で大阪ドームへ通える優良顧客です。この優良顧客に無料観戦癖を蔓延させてしまっては、もうこれ以上の固定客は望めません。年間チケットを購入している優良顧客も来年の再購入をためらうでしょう。このような無料観戦者は球団の経営に寄与しているのでしょうか?

ところで今年から、観客数は実数発表に変更されました。

この試みの真の狙いは、「数字を明確にすることで不透明性を拭い、ファンの野球に対する視界をクリアにする狙いがある」と言われていますが、その発表方法を見ると「統一性がないため横並びで比較できない」という、何ともお粗末な状況です。

ところでオリックスの場合を見ると、チケット半券と年間指定席(の未来場分)の合計が観客数として発表されています。ということは、観客数20,000人といっても、年間指定席を持ちながら来なかった人が5,000人、無料招待券の入場者が10,000人、有料入場者が5,000人ということもあり得るわけです。この場合、試合に有料の価値を見いだしている人は5,000人ということになります。
このように、興行として意味のある観客数は5,000人なのに発表は20,000人というのは、「粉飾決算」に類する行為と考えられます。つまり、本当は経営が苦しい、つまり「無料招待券の罠」にはまり、将来の収益が期待できない状況であるにもかかわらず、表向きは経営が健全であるというような発表をしているという状況です。「粉飾決算」が罪になるのは、投資家が投資先の企業の経営状況がいいものと信じ込んで投資を続けていったら突然破綻し、投資した資金を回収できなくなるということが起こりうるからです。逆に経営状況が悪いところに投資するのは、「ハイリスクハイリターン」を覚悟の上ですから、突然破綻してもやむを得ないで済まされるわけですね。

今回、オリックス及び大阪ドームシティは大阪市民デーが無料招待であることは大々的に公表していましたが、その来場者に無料招待券を2枚配布したという事実は公表されたのを確認できませんでした。実際の来場者がblog等で公表してはじめて知ることができたわけです。このように、公表分以外にも秘密裏に無料招待券をばらまいているということは、通年でその実数がどの程度なのか、見当もつきません。また、高額な年間指定券を購入しながら来場しないのがどの程度なのかも知ることができません。しかし、観客数の発表だけみると平日にして20,000人ということで、「それなりに入っている」という印象を持ってしまいます。この「粉飾決算もどき」によって来年、年間指定席を購入した人(実際、高額な席は、ほとんどが企業)は、日々発表されていた観客数は虚像であって、「オリックスの試合」は高額な投資をするに見合うモノではなかった。。。と愕然とするわけです。

無料招待券のバラマキで「試合という商品の価値」を低下させ、観客数の発表で「粉飾決算もどき」の虚像を示す。。。これはオリックスバファローズを真剣に応援しているファンに対しても「屋上にかかった梯子をはずす」ような行為と言えるでしょう。

ファンの存在を無視して誕生した統合球団は、今も崩壊への連鎖が脈々と進行していると言わざるをえません。このような経営センスの悪さは、それを反面教師として学ぶことができるという点にしか価値を見いだすことができません。

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2005年7月 5日 (火)

無料招待券の罠

無料というのは一種独特な響きがあります。思わず「何?」と気になります。後で無駄なモノとわかっても、「無料だから」ということで納得してしまいます。実際、世の中には無料サービスがあふれています。具体的にどんな無料サービスがあるでしょうか?

1.携帯電話の無料機器
2.試食、試飲、新製品の無料配布
3.デパートなどでの無料イベント:アンパンマンショー
4.アパマン情報、ホットペッパー
5.無料メール、無料HP、無料BLOG
6.ポケットティッシュの配布:消費者金融の宣伝

ところで無料といっても、そのサービスを提供するために必ず、何らかのコストがかかっています。そのコストは誰が負担しているのでしょうか?
1~3は、無料といいながら、その後に続く有料部分のサービスや商品を購入してもらうのが目的です。まぁ3はデパートでの買い物ということで、無料サービスそのものとは直結しませんが。。。
4~6は、無料サービスに広告宣伝的な要素を付加していて、その一次的なコストは広告主が負担していますが、最終的には、その無料サービスの受け手がその広告に掲載された有料サービスや商品を購入することによってコストを回収するという仕組みです。

まぁ結局のところ、完全に無料のモノというのはないわけで、ほとんどの場合が、無料サービスの受け手がそのコストを負担する仕組みになっているんですね。ただ、1のように無料サービスの受け手とコストの負担者が1対1に対応するモノから、6のようにコストの負担者がごく一部の有料サービスの利用者に偏ってしまうモノまでいろいろな形態があるということです。

と。。。前置きが長くなってしまいましたが、プロ野球の試合での無料招待券はどのような性格のモノでしょうか?ここで極端な例として、正規料金での観客動員力が1万人という球団が、無料招待券を継続的、無差別的に配布しまくって、観客動員力が2万人になった場合を考えてみます。

まずメリットは。。。
・上の2のように、プロ野球をほとんど見たことのない人が無料招待券で観戦することにより、その良さを知り、次回から有料で観戦する、といった可能性があります。
・上の3のように、無料招待券で観戦しつつ、グッズや飲食にお金を使ってくれる可能性があります。
・上の5のように、試合を開催することにコストはかかりますが、観客動員が増加することによるコストの上昇はわずかです。5も設備やシステム化が完成すればユーザー増によるコスト増の比率は逓減していきますので。。。
・大阪ドームの広告主にとって、観客動員が増えることは広告効果が倍増することになります。
まぁ無料サービスを行う追加コストが安く、有料サービスの利用もある程度期待できるという点がメリットとなるのでしょう。あとは広告効果。また、選手にとっても、観客にとっても、観客の多い方がやりがいや見応えがある(ような気もします^^;)。

ではデメリットは何でしょうか?
・上の3の無料イベントのように、イベントそのもの(プロ野球の試合)の価値が下がります。
デメリットとしてはこの一点が最重要でしょう。そして、この事例のように、継続的、無差別的に配布しまくると、やがて有料チケットを購入する観客が減り、固定客が無料招待券を探し求めるようになります。こうなったらもう致命的です。一般的に無料だから来るという観客は、正規料金で入る観客と動機が異なります。平均化すれば、観戦に対する興味がかなり低い集団であり、応援の度合いや途中退出の比率も異なるでしょう。無料招待券の観客が増えると、観客全体の試合への期待度や関心度が低下し、球場全体の雰囲気が醒めたモノへと変質していきそうです。また年間指定席のようなサービスの価値をも激減させてしまいますので、安定した収益を確保することが難しくなります。

プロ野球の試合の価値が下がるということは、選手にとっても深刻です。よくヒーローインタビューの締めくくりに「応援ありがとうございました。明日もまた応援に来てください!」というセリフが聞かれますが、これは、選手の年俸(の一部)が観客の入場料によって支払われているという関係があってはじめて成り立つセリフです。プロ野球の「プロ」というのは、「野球」を見せる(魅せる)ことによって収益を稼ぐ事業なのですから、無料招待券の配布(タダ券のバラマキ)というのは、本来の目的を損なっているわけです。これはもうプロ野球選手のプライドをズタズタに引き裂くモノなんです。「俺たちの試合はデパートのアンパンマンショーと同じタダかよぉ~」という叫びが聞こえてきそうです。

もちろん、無料招待券を使って観客動員を増やすことによるメリットもいろいろとあります。でもそれは本道ではありません。誰を対象として、どのような効果を目指すのか、その効果はどうやって確認するのか、コストの回収はどうやって行うのか。。。きちんとした営業戦略を立てて、マーケティングリサーチを行い、限定的、効果的に使ってはじめて無料招待券配布のメリットが享受できるんですね。

結局、無為無策で無料招待券の配布(タダ券のバラマキ)に頼って観客動員力を維持しているようなチームはプロ野球の球団と呼ぶにはふさわしくないということです。そのようなチームがないことを願いますが。。。大阪市民球団ではより効果的な無料招待券の使い方を考えたいモノです。

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2005年6月26日 (日)

大阪市民球団の地域密着はどこで?

「地域」というのは広辞苑によれば、「区切られた土地」。やはり、ある程度、ここからここまで、と区切ってやらないと具体像が浮かんできません。大阪市民球団に関わる市民はどの程度の広がりも持った地域で考えればよいでしょうか?

まず、本拠地(とする予定?)の大阪ドームへのアクセス時間を考えてみます。大阪ドーム前千代崎から乗り換え時間を含む主要駅(JR)までの時間(新幹線・特急は使わない)は、京都:60分、三宮:63分、大津:70分、奈良:61分、和歌山98分。平日ナイターのアクセス可能圏を考えると、1時間半を超える和歌山が限界ギリギリで、それ以外は十分に圏内であると言えるでしょう。そこで、乗り換えを含む鉄道乗車時間がほぼ1時間半の地域を「大阪ドーム圏」と名付けてみます。具体的には、京都・三宮・奈良から30分以内、それに和歌山を含む関西の主要都市がほとんど含まれる広域な地域になります。要はこの範囲に居住する「市民」を固定客として取り込むことが最重要と考えられるわけですね。

次に市民の活動範囲を考えてみます。これは日常的な活動という意味ではなく、大阪市民球団を支えるNPO法人の「スポーツ(特に野球)をやる・みる・考える活動」を行っていく範囲です。一つの候補は、対象とする市民が居住している地域である「大阪ドーム圏」とする考え、もう一つの候補は大阪市民球団の保護地域となる大阪府に限定する考え。どちらにしても一長一短ありそうです。

ここで、今はなき福岡ダイエーホークスの戦略を取り上げてみます。それは、「福岡限定の市民球団ではなく、九州全域を対象とした地元球団を目指そう」というものです。「市民球団」という言葉のイメージを、狭い地域をテリトリーとした球団としてとらえていたのでしょう。まぁ「地元」が九州全域を示すというのは議論の余地がありますが、とにかく九州全域をテリトリーにしようというのが福岡ダイエーホークスの方針だったわけです。具体的には、ドラフトで九州出身選手を積極的にとる、ファームの試合を九州各地でやる、主力選手が自主トレとか野球教室開催を九州各地でやるといった方策で九州各地にファン層を拡大していき、その戦略は見事に当たりました。

九州におけるホークス球団の敵は全国区の讀賣でした(福岡では西鉄を引き継いだ西武でしたが^^;)。でも讀賣はキャンプで宮崎に来てるけど、普段は九州に来ないわけだから、ホークス球団のやる気次第でファンを奪うことは十分に可能だったわけです。一方で、大阪市民球団の敵は阪神。こちらは、関西を本拠地としている球団であり、同じように平日ナイターのアクセス可能圏として「甲子園圏」というのを考えると、「大阪ドーム圏」とは、和歌山方面と奈良方面を除いて、かなり広い範囲でラップしてしまうんですね。要はこのラップする範囲が阪神との競合範囲になってしまいます。また阪神の場合、地域密着と言うより、今や讀賣をしのぐ勢いの全国区の人気を獲得していますから、「甲子園圏」の外でも競争力があるというやっかいな存在です。したがって、大阪市民球団では、阪神の存在、そして甲子園と大阪ドームの位置関係を十分に考慮して地域戦略を立てていく必要があります。

大阪市民球団の地域戦略(「大阪の地における市民球団」でも考えましたが)は、「大阪ドーム圏」を神戸方面・京滋方面・大阪府・奈良&和歌山方面の4つの地域に分けて考えるのがよいのではないでしょうか。
・神戸方面
これは間に甲子園を挟むワケですから、頑張らない方が賢明。甲子園をまたいで阪神と勝負するなんて、まともな経営者なら想像もしないでしょう。神戸に本拠地をおいて広域連携するなら、四国方面や岡山方面へ延びていくべき。広島?それは遠すぎます。色を考えたって赤と青は相容れないのはもうわかってるはずなんですが。。。ちょっと脱線しました(^^;
・京滋方面
プロ野球の未開拓地。よそもんを受け付けない難しい土地柄ですが、パートナーを見つけて乗り込んでいけばチャンスはありそう?パートナーの力量次第というか、既に地域密着しているパートナーがつくことが必須条件。
・大阪府
阪神は大阪府の球団じゃない!それを全国のプロ野球ファンに知らしめるのが大阪市民球団の存在意義と言えるのではないでしょうか。そのためにはホームタウンと呼べる拠点つくりからはじめる必要があると考えます。当然のことですが、ここが対阪神の主戦場。ここをとらなければ話になりません。あらゆる知恵と多くの資金を投入して、少なくとも阪神と拮抗する人気・支持を得る必要があります。阪神に勝つのは無理かもしれません。でも最低限ライバルと認識してもらわなければいけません。そのためには様々な対立軸を用意し、「阪神との違い」を演出していくのがよいかと思います。キーポイントは行政の支援(大阪府と大阪市が頼りにならないのは重々承知の上ですが^^;)。球団を直接支援してもらうのは無理でしょうから、もうすぐ大阪市の所有物となる大阪ドームと、球団を支援するNPOを行政が支援するというスキームがよいと思います。で、願わくば、大阪ドームの指定管理者に球団の運営会社がなる。。。
・奈良&和歌山方面
地理的な優位性を活かさない手はありません。人口は少ないとはいえ、元近鉄ファン、元南海ファンがウヨウヨといるわけですから、徹底的な地域密着で阪神ファンを一掃してしまいましょう。資金の投入というよりふれあい重視(あえて言えば選手を含めた人の投入)のローラー作戦が必要でしょう。なお戦略上は大阪の南部もこちらの地域と一体化した方がよいかもしれません。

ということで地域戦略に、大阪府→→奈良&和歌山方面→京滋方面→→→神戸方面という優先順位をつけて考えてみたいです(京滋方面の優先度はパートナー次第で変動あり^^;)。

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2005年6月15日 (水)

大阪ドームはどうなっているのか?

大阪ドームの不動産鑑定結果が98億8千万円とでたらしい。これは、大阪市が大阪ドームシティー(大阪市が21%出資の第三セクター)から大阪ドームを買い取る価格の参考とされるようです。大阪ドームの特定調停では、これまでにこの買い取り価格が決まっていなかったため、100億円、150億円、200億円の3本立てで再建計画を立てていました。結局、その最安値に落ち着きそうだということです。これに反発しているのが銀行などの金融機関。なぜ反発するのか。。。それは再建計画の複雑な仕組みに隠されています。

まず大阪ドームは総事業費696億円(うち建設費498億円)で平成9年に開業しました。この金額自体は他のドーム球場と比べてべらぼうに高いというわけでもありません。ただ、ほとんど同じ時期にできた神戸グリーンスタジアム(建設費60億円)との差は歴然。ドームにすることで10倍の費用がかかるんですね。そのドームのメリットはイベントが天候に左右されないこととと、多目的に利用できるということ。しかし、その多目的という部分は既に毀損しています。まずは、地盤が軟弱なため、ロックコンサートで観客がジャンプすると近隣に震度3程度の揺れを発生させるという点。これにより、ロックコンサートは大阪ドームで開催できないことになりました。そのあおりを受け、GLAYのドームツアーが大阪ドームでできなくなってしまいました。そこに、また設備更新の不備のニュース。

---共同通信からの引用---
プロ野球オリックス・バファローズの本拠地大阪ドーム(大阪市)が「世界初」として導入した天井部分を上下に動かすシステム「スーパーリング」が、制御装置の部品生産中止で、昨年8月から動かせなくなっていることが14日、分かった。
開業から7年余りで売り物の装置が機能しなくなったことについて、ドームを所有・運営する大阪市第三セクターの大阪シティドームは「(維持・管理について)見通しに甘い面があったことは否定できない」(総務部)としている。
「スーパーリング」は巨大な輪を組み合わせ、地上72~36メートルの間で上下動させる仕組み。野球の試合などでは高く、コンサートでは音響効果を向上させるため低く設定する。
---引用終わり---

見通しが甘いですまされることなのか???
9月に予定されている「B'z LIVE-GYM 2005」は天井が上がりっぱなしの音響効果の悪い状態で行われるわけです。コンサートで1日ドームを借り切ると1400万円。観客動員力のある超一流のアーチストしか使えないでしょう。部品がないから...では超一流に対して失礼というものです。
今の大阪ドームに100億円もだすんなら、青空球場を造れ!といいたくなるところですが、じゃあ、大阪ドームは廃墟とするのか。。。困ったモノです。

話は戻って、大阪ドームの買い取り価格。これは大阪市が「税金」を使って大阪シティドームに支払う金額ですが、この「税金」が原資のお金はその全額が建設資金を融資した17の金融機関に返済されます。現在の融資残高は約410億円。ほとんど返していないんですね(^^;)それもそのはず、15年度決算にして17億円の当期損失。。。利益を上げていないから返せるわけがありません。そこで、特定調停で破綻処理をして、金融機関に債権放棄をしてもらいましょうというわけですが、所有権を三セク→大阪市へ移転させる名目で税金を引き出し、その税金は全部あげるから残りはなかったことにして。。。これが特定調停の骨子ですね。だから銀行は買い取り価格が高い方がいいわけです。今回の不動産鑑定は「大阪ドームは将来どれだけの収益を挙げられるか(収益還元法)」という観点で見積もられました。当然、設備の状況も細かくチェックされたんでしょう。その過程で去年の8月に発覚した「スーパーリング」の不備が今頃露呈したんですね。で、銀行側は「建設にかかった費用と経年劣化の度合いなどを考えて算定すべき(積算法)」と反論しているようです。どちらも不動産価格の見積もり方法として一般に認められている方法ですが、要は税金の支出を抑えたい大阪市と返済額を少しでも増やしたい金融機関の綱引きというわけです。もっとも固定資産の評価額は211億円とのことなので、100億円との見積もりが安いというのにも一理はあります。

ところで、大阪ドームシティーの債務はそれだけではありません。大阪市に30億円、大阪市開発公社と大阪市農協であわせて70億円。他の金融機関の分は建設資金の融資でしたが、こちらは運転資金のつなぎ融資。要するに自転車操業だったわけですね。この合計100億円分は抵当権が設定されていないか、されていても順位が低いので、20年間の再建計画の中では返済されませんが、債権放棄もされず、塩漬けにされます。で、20年後以降に少しずつ返していきましょうという扱い(いわゆる劣後償還)になってます。20年後以降の大阪ドームに100億円返せる力は残っているでしょうか???

金融機関への返済は、大阪市の捻出した税金を全額当てると書きましたが、一括返済ではありません。30億円だけ、運転資金として残しておくため、30億円を除いた分を一括で返済し、30億円は再建期間中(20年)の利益から分割で返すことになってます。なぜ、30億円の運転資金が必要なのか?それは、ビスタルームの保証債務があるからです。ビスタルームは96の部屋があり、保証金1億円、年間利用料1000万円で企業などに利用してもらっており、今年の3月時点で57部屋で契約が結ばれていました。この保証金は解約時に全額返還されるというゴルフ会員権みたいなシステムになっているわけです。で、このビスタルームを契約すると、野球でもコンサートでも何でも見れるわけですが、ロックコンサートはできない、大阪近鉄バファローズは消滅した。。。ということで大阪ドームへの来場価値が下がったと考える顧客の解約が殺到すると、保証金が払えなくなって再度破綻してしまうので、保証金の返還に備えた予備の資金を確保しておくことが必要なわけです。なお、大阪市議会ではこのビスタルームの部分だけホテルに転売して、一般の顧客に利用してもらいながら少しでも収益を上げようという提案もされています。こういうアイデアはどんどん実行していくべきですね。

まぁ結局のところ、再建期間中に30億円の利益を上げて金融機関に返却するという「再建計画」は、「大阪ドームの利用用途の見直しや設備更新などによる抜本的な収益改善策」に基づくモノではなく、金融機関への返済方法に基づくモノということになるわけです。こういうのを一般に「杜撰」といいますが。。。その「再建計画」の中核を担うのがメインの利用用途であるプロ野球の興行。大阪ドームシティとオリックスバファローズは3年契約を結んでいて、今年は34試合、来年以降は少しずつ増やしていくという内容(逆に減った場合には違約金を支払う)になっているようです。4年目以降は、「大阪ドームの特定調停とオリックスの責任」で書きましたが「大阪ドームを単独本拠地にする」との「口約束」があるにすぎません。いまのところ、この大阪ドームの再建はこの「口約束」にかかっているんですね。ところで、近鉄が使っていた頃は、年間使用料6億円(他に警備費などで4億円)、今はその半分なので3億円(その他の分は不明)。この減収分はどうするのかと思ったら、再建計画で考慮されていました。所有者が大阪市へ移転すると、大阪シティドームは大阪市へ賃料を払わなくてはいけません。これが年間4億1500万円。この賃料について最初の3年間、半額免除とするよう要請されています。なぜ3年なのか?その3年に限り、オリックスがダブル本拠地にするからでしょう。

大阪ドームの所有権を大阪市に移すことの意味は、前述したように、建設資金を収益で返済する予定だったのが計画倒れとなったため、税金で返済することになったからです。ところが、そうでなくても財政が火の車の大阪市。大阪ドームを買い取る余裕があるのか、という批判も当然あるんですね。その批判は「大阪ドームに公共性はあるのか」という形でなされています。大阪市民球団の本拠地なら公共性はあるかもしれませんが、オリックスの本拠地としての大阪ドームに公共性なんてないでしょう。また、何ら有効なソフトを提供できず、さらには世界初という鳴り物入りの設備を見通しの甘さで使い物にならなくしてしまった大阪シティドームにも管理者としての資質があるわけがありません。そこで、「指定管理者制度による大阪市民球団&大阪ドーム一括経営案」を考えては見ましたが、「20年間での30億円の返済」「20年後に残る100億円の返済」「約4億円の賃料」「多目的といいながらいくつかの目的に使えない」「これから徐々に始まってくる設備の老朽化」を覚悟の上で手を挙げる企業はあるのでしょうか?(手を挙げるだけなら一人いますが。。。堀江さん!?)

かのイチローが仰木監督に助言した「大阪ドームはたこ焼きドームに改称したら?」くらいのことではもの足りないくらいの抜本的な見直しが求められています。

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