2005年12月 3日 (土)

ポストシーズンの国際化への道しるべ

プレーオフ→日本シリーズ→アジアシリーズ。
確かに流れとしては順当なんですが、アジア地域のグローバル化という観点で考えると、工夫の余地もありそうです。そこで、ポストシーズンの国際化をにらんだ段階的な改革案を考えてみました。

1.プレーオフの参加球団数を4(セパ各2)とする。
2.球団数を16まで増加し、セパとも2地区制とする。
 →各地区のシーズン優勝チームがプレーオフに進出
3.アジアシリーズと一体化する。
4.ワールドシリーズと一体化する。

1.はシーズン1・2位とか、交流戦と絡めるとか、いろいろ方法はありますが、いずれにしろアドバンテージの付け方が難しく、なかなかすっきりした形にならないと思います。ただ、パリーグのみの3球団という現行のプレーオフはあまりにもいびつなので見直すことが必要でしょう。
2.はプレーオフ制度から見た新規参入待望論で書きました。
3.は次のように考えています。
・参加球団:日本4(各地区優勝球団)、韓国2、台湾1、中国1
 →8球団のトーナメント勝ち残り
・プレーオフ第1ステージ(韓台中の各本拠地で開催)
 日本対韓台中の組合せ、3戦先勝
・プレーオフ第2ステージ(日本の4球団の本拠地で開催)
 勝者同士、4戦先勝
・アジアシリーズ(進出球団の本拠地で開催)
 決勝戦、4戦先勝
4.は3.のプレーオフ→アジアシリーズの日程を大リーグのポストシーズンの日程と一致させ、アジアシリーズ&ワールドシリーズの終了直後にアジアチャンピオンが米国に乗り込んで世界一を決める試合を行うというものです。

ここで、3.のアジアシリーズとの一体化について、考えてみます。まず、このアイデアでは日本シリーズがなくなり、地区優勝からいきなりアジアシリーズのプレーオフに入るため、日本一を決めるという過程がありません。アジアを軸としたグローバル化といえば格好いいですが、唯一近鉄球団のみがなしえなかった日本一という栄冠を封印したいという想いもあったりします(^^;。
韓台中にとっては、日本の参加球団数が全体の半分ということに抵抗があるかもしれませんが、第1ステージで日本を迎えての本拠地開催ができるというメリットもあります。日本ではなく、目の前で行われている試合で日本を倒せば第2ステージに進めるわけですから、野球で日本に追いつき追い越せということで盛り上がるのではないでしょうか。
第2ステージは日本で開催としていますが、第1ステージで必ず日本の4球団が勝ち残るとは限りません。それでも興行の準備上、日本の4球団の本拠地で実施することにします。つまり、セで讀賣、阪神が地区優勝して第1ステージで讀賣が韓国の球団に破れたら、第2ステージは韓国の球団が東京ドームを本拠地として阪神と7回戦(4戦先勝)を戦うということになるわけです。今年の千葉ロッテがアジアシリーズで手を抜いたとは言いません。しかし、この方法だと、実力が上とはいえ、敵地に乗り込んでの試合で、しかも負ければ本拠地を敵に譲り渡さなくてはいけないわけですから、超本気モードとなるのは間違いありません。
そして最後のアジアシリーズは純粋なホーム&アウエー方式。当面は日本同士の可能性が高いですが、いずれ日韓、日台、日中の国際シリーズとなる可能性もあります。そして、その先に4.のワールドシリーズチャンピオンとの決戦が控えているとなれば、日本にとっても大きな目標が生まれてきます。
WBCも悪いとは言いませんが、シーズンから続くポストシーズンの国際化こそが、NPBそしてアジア地域の野球の発展に欠かせないと考えています。

ところで、韓国、台湾、中国のポストシーズンはこんな感じです。
●韓国
 8球団1リーグ制:1シーズン133試合
 ポストシーズン
  準プレーオフ 3位×4位        2勝先勝
  プレーオフ  2位×準プレーオフの勝者 3勝先勝
  韓国シリーズ 1位×プレーオフの勝者  4勝先勝
●台湾
 6球団1リーグ制:前後期各50試合
 ポストシーズン 前後期とも同球団が優勝の場合
  プレーオフ  年間勝率2位×年間勝率3位  3戦先勝
  台湾シリーズ 前後期1位×プレーオフの勝者 4戦先勝
 ポストシーズン 前後期の優勝が異なる場合(A、B)
  プレーオフ  A、Bの勝率下位×A、B以外の勝率1位
  台湾シリーズ A、Bの勝率上位×プレーオフの勝者
●中国
 6球団1リーグ制:1シーズン30試合
 ポストシーズン
  チャンピオンシップシリーズ 1位×2位 3戦先勝

どこも苦労してますね~

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2005年11月 4日 (金)

球団数増加に対する5つの視点

NPBへの新規参入により球団数を増加するということを考える場合、プレーオフ制度から見た新規参入待望論でも考察したように、4球団増の16球団体制とするのが一つの理想型と言えるでしょう。昨年の球界再編は10球団または8球団の1リーグ制移行が取り上げられ(今年もくすぶってはいますが^^;)、球団側は賛成多数、ファンと選手会は反対と立場により意見が二分されました。では、球団数増加の場合、どういう対立軸が出てくるのでしょうか?

1.ファンの視点
東北楽天の誕生で仙台の野球ファンはおおいに盛り上がっています。しかし、東北地方以外の野球ファンにはあまり関心がないかもしれません。球団数増加は、増加した球団のファンとなりうる人にとっては大きなプラス、それ以外は大きな影響なしといったところでしょうか。それと球団拡大時は目新しさを楽しむこともできますね。まぁこれは最初だけですが。。。

2.選手の視点
プロを目指す若者にとって、球団数が増えることは朗報でしょう。まぁ一部の有力選手にとっては希望球団に行ける確率が低くなるとも言えますが。あとは全体として一軍の試合の出場機会も増えることになります。戦力が分散すると大記録が生まれやすくなるとも言われますね。また有力選手を48人とすると、12球団なら平均4人、16球団なら平均3人となり、有力選手への年俸の配分を多めにすることも可能となります(球団の経営状況に変化がなければという条件付きですが)。球団拡大時にエキスパンションドラフトをやるとなると。。。これは嫌われるかもしれませんね。包括すれば、どちらかといえばプラスといった当りでしょうか。

3.球団経営の視点(既存球団)
既存球団にとっては、大リーグに有力選手をとられ続けている上に、球団拡大時にエキスパンションドラフトで選手を引き抜かれるのは辛いところです。有力選手への年俸負担減というより、球団の魅力低下による収入減の方が大きいというのが現状でしょうか。対戦相手として新規参入球団が出てくるというのは、話題つくりに成功すればプラス、経営は讀賣戦のTV放映権頼みというセリーグ球団にとっては交流戦と同様、「そりゃ困る」かな。まぁいつまでも讀賣戦頼みのビジネスモデルが通用しないということは覚悟しているんでしょうけど。

4.球団経営の視点(新規参入球団:地方都市)
プロ野球空白地帯の地方都市に新規参入して経営していけるのか。その答えは東北楽天の初年度からの黒字経営で光明が差してきたとも言えますが、仙台より都市の規模が小さくなるほど経営は厳しくなります。新規参入を目指している松山や金沢ではどうでしょうか?Jリーグのクラブは地方都市でも十分に成立していますが、一般に週2日で平日+土日のJリーグと週6日で毎週、平日に4日も試合をするプロ野球は同列に扱えません。平日の仕事帰りをターゲットにした集客能力について、プロ野球の方がより問われることになります。仙台よりも小さな規模の地方都市でプロ野球の興行を成功させるには平日のホームゲームは大都市の球場と併用にするといったフランチャイズ政策なんかも考える必要がありそうです。

5.球団経営の視点(新規参入球団:大都市)
京都などの例外もありますが、大都市では概ね既存球団が進出しています。大阪の場合、大阪のみを本拠地とする球団は消滅してしまったので空白地帯と言えなくもありませんが、関西の場合は阪神タイガースという存在感の極めて大きな球団があります。大都市への新規参入は市場のパイは大きいが、地方の空白地帯への新規参入のように市場を占有することが難しいという点で、4の場合と全く異なる視点で経営ビジョンを立てる必要がありますね。

こうしてみると、対立軸というより、創意工夫で乗り越えられる(かな^^;)課題が横たわっているというくらいの感じに思えます。新潟アルビレックスの成功、東北楽天ゴールデンイーグルスの初年度からの黒字経営。ダメだと思ってやらなければ何もできません。何でダメなのか、ということを考えることも大事ですが、それよりも、どうすればできるのかという前向きな発想で考えていきたいと思います。

ところで新規参入を目指すには、単独ではなく複数で共同歩調をとることが望まれます。松山、金沢、大阪での新規参入を共同で目指していこうという趣旨の下記フォーラムに期待したいと思います。

「第二回野球好きフォーラム」
~ 私達の町のプロ野球球団の実現に向けて ~

2005年11月19日(土)松山市にて

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プレーオフ制度から見た新規参入待望論

今年は千葉ロッテマリーンズの年でした。交流戦の優勝にはじまり、プレーオフ、日本シリーズ、そして11/10からはじまるアジアシリーズへも進出します。ところで千葉ロッテはシーズンの順位が2位でした。結局、2年連続でパリーグの2位チームが日本シリーズを制したわけですね。プレーオフについては、もちろんメリットもありますが、一方であれこれと注文がついてます。その問題点は次の2点に集約できるでしょう。
・上位3チームが進出できるためシーズン中の試合の価値が低下する。
・パリーグのみの3球団による実施のため日程上の不均衡が生じる。
まず1点目。ポストシーズンの短期決戦に3/6、つまり全体の1/2が出場できるというのは、ファンとしてはありがたいかもしれませんが、今年の西武のようにシーズンで負け越したチームが日本一になる可能性があるという点が納得できません。しかし、プレーオフを実施しないと日本シリーズへ進めるのは1/6のため、何年もポストシーズンへ進めない球団が出てきます。パリーグの場合、昨年までの55年間で日本シリーズに出場したのは、前身のチームを含み、北海道日本ハム2回、大阪近鉄4回、千葉ロッテ4回(今年で5回目)、オリックス12回、福岡ダイエー13回、西武20回でした。セリーグの方は、讀賣の30回がダントツで、残りの5球団は3~6回の範囲です。ファンとしての最大の楽しみは勝者のみに与えられるシーズン優勝→ポストシーズンの間の興奮です。しかし、12球団中8球団のファンは、その興奮を10年に1回程度以下(55年間で6回以下)しか味わえなかったんですね。この数字に昔のパリーグのプレーオフはカウントしてませんが、当時のように前後期制としたり、6球団を東西に分けてのプレーオフとすると、2/6→1/3がポストシーズンに進めることになります。この場合、ポストシーズンへの出場権利は優勝チームに限られますので、シーズン中の試合の価値も担保されます。しかし、1/3というのもまだちょっと甘い(^^;。大リーグの場合、アリーグ西地区が4球団と最小でアリーグ全体だとワイルドカードも含め4/14→1/3.5がポストシーズンへ進める比率です。ナリーグは4/16→1/4。大リーグにならえというわけではありませんが、希少価値とファンの楽しみの両者を満足させるのはポストシーズンへの進出比率が1/4がベストではないかと思います。それには4球団増やしてセパ8球団とし東西に分ける。これしかありません。いや。。。これだと二宮清純氏がかねてより主張していた案そのものになってしまいますので、東西にはこだわらず球団の特徴に応じた分け方にするのもよいかと思います。例えばソフトバンク、楽天、オリックスにライブドアを新規参入させてパリーグのハリーグ(渡邉恒雄氏命名)とするとか。いずれにしろ、これならどのチームのファンも10年に1回以上は優勝の美酒とポストシーズンの興奮が味わえる可能性が高まるわけですし、NPBはこういう制度設計を目指すべきと考えます。

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2005年10月23日 (日)

市民球団のチャンス!?

野球協約第27条によれば、球団は資本金は1億円以上の日本国国法による株式会社でなければならないとされています。この条項には但し書きがあり、1980年1月1日現在の既存球団は、この資金に関する制限から除外されるとなっています。で、この既存球団の一つが阪神タイガースなわけです。阪神球団の資本金は4800万円。1980年に制定されたこの条項に対する既存不適格な状態を25年間放置してきた末に、球団株を上場しろと責められているわけですね。
上場するには、既存の株式を放出する場合と増資する場合がありますが、阪神球団の場合は少額資本ですので増資になるのでしょう。しかし、増資後の資本金を含めた具体的な方策が明示されていないため、実は上場によるメリット・デメリットを正確に判断できない状況にあります。
報道によれば、球団の持株会社をつくり、その持株会社の方を上場させて阪神電鉄の株主に割り当て、引き受けない株主の分をファンに割り当てるという案がありました。その持株会社の経営は誰がやるのでしょうか?球団があり、その持株会社があり、その持株会社の株主構成が阪神電鉄と阪神電鉄の株主とファン。。。阪神電鉄の株主は阪神電鉄と球団の持株会社への二重投資を強いられるわけで、ファンの持株比率も「阪神電鉄の株主で割当を引き受けない分」と非計画的。またこのような株主構成でどの程度の流動性が保たれるのか。そもそも、球団会社に100%出資している阪神電鉄が事業持株会社といえる存在なのであって、その間に純粋持株会社(自ら事業を営まず支配のみを目的とする持株会社)をかませることにどんな意味があるのでしょうか?持株会社をつくって上場するというなら、その持株会社
の役割を明確に説明しないと絵に描いた餅に終わってしまいます。
上場後の資本金についても1億円とするなら増資額はわずかに5200万円。有力な外人選手の一人も雇えない金額です。資本金を10億円に増資したとしても、毎年10億円入ってくるわけではありません。逆に株主に配当を出さなければいけないことが負担になるでしょう。また資本金10億円のうち、阪神電鉄の持株比率をどうするのか?過半数割れとするなら、球団経営の責任は誰が持つのか?
球団を経営したいとは思っていないといいながら上場すべきであるという提案。信を問うならもう少し上場後の具体像を説明して欲しいと思います。しかし、村上氏の座標軸は阪神球団の将来像ではなく、阪神電鉄株に投資した1000億円にどのくらいの利益を載せて回収できるかの一点。考えられる選択肢は3つ。市場で高値で売り抜けるか、阪神電鉄に高値で買い戻させるか、球団経営に興味を持つ第三者に売り渡すか。。。もちろん、そうやって利益をあげるのが本業のお仕事なのだから、何も悪いことはしていません。ただプロ野球が「文化的公共財」であることを念頭におく必要があるということですね。その村上ファンドへの出資比率45%の株主がオリックス。讀賣の清武代表は実行委員会でここを問題視しました。まぁナベツネ氏がTVの取材で「そうするとオリックスと阪神はキャピタル(資本)が一緒だよな」と吠えたことを翻訳して実行委員会に持ち込んだんですね。球団の保有会社が投資ファンドへ出資したら、その投資ファンドが別の球団を持つ会社の株を大量保有した。これだけなら投資ファンドは一時的に株式を保有して利益を上げるのが目的なので、特段問題もなさそうですが、目的が別なら話は別。そう、近鉄を吸収しても経営は上向かないから今度は阪神というオリックスの意図をつぶすためのけん制球かもしれません。しかし、この指摘は大阪市民球団にとってはタナからぼた餅!?
オリックスは球団を手放せということになれば、大阪市民球団が手を挙げるまたとないチャンスということになります。
市民球団が危ないと言ったり、チャンスと言ったり。。。私も頭が混乱してきました(^^;

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市民球団が危ない

今、野球協約の抜本的な改正が行われようとしていますが、阪神タイガースの球団株上場問題を受けて、「上場は悪」という一方的な認識の中で協約改悪の方向へ進むことが危惧されます。私も村上氏の言うところの球団株上場には今のところ反対ですが、資金調達の方法を多様化するとか、ファンが株を持つということ自体には賛成です。
ところで、この問題に対する豊蔵セリーグ会長の御意見は「悪質株主の介入が懸念される。ただ利益(追求)だけで持たれても、文化的公共財の位置づけからも困る。」また小池パリーグ会長の御意見は「球界、球団は普通の企業とは違って、文化的公共財。ファンあってのプロ野球でどう判断するか。」
そこまで「プロ野球は文化的公共財」というなら、なぜ昨年、球団統合を身を挺して止めなかったのか。昨年はナベツネ氏が賛成した、今年はナベツネ氏が反対している。それだけの理由で、当事者意識もなく、親会社の経営問題に口を出せないと言ったり、資本の論理を球界に持ち込まれても困ると言ったり、主張が180度転換するというのは情けないというか、あきれるというか。球団株上場という提案をどうにか活かす方法はないかということをもう少し考えてから発言したらどうなのか。それと、突然、錦の御旗に祭りあげられた「文化的公共財」の文言。この定義をしっかりとしてもらいたい。親会社の経営状況が思わしくない時は、球団の歴史と文化を守るための措置をとり、長年球団を支えてきたファンの支持を失わないようにするのがNPBとしてやるべきことでしょう。
さて、上場について話を戻します。
一般企業の場合、事業を拡大するのに資金調達をしたいというケースがままありますが、プロ野球チームの興行で求められる資金調達の用途は何でしょうか?単なる戦力補強のための上場というなら「金で選手を集める競争」が助長されるだけで、球界がいい方向へ向かうという保証はどこにもありません。一方で、新球場建設(広島の場合)や球場改築(楽天の場合)の資金調達の手段として一時的に株式を上場し、公募増資を行うというのは、広島版樽募金を資本市場で行うものであり、そのような可能性までも閉ざしてしまうのはどうかと思います。悪質な株主対策としては、種類株式の導入なども考えられます。種類株式とは、利息の配当などの財産の分配や議決権について内容の異なる株式のことをいいます。この制度を活用すれば、例えば「新球場建設資金募集」という目的に添った種類株式の設定が可能となります。議決権を制限すれば買い占めても乗っ取りはできないことになりますし、配当を抑え球場でのサービスに特化した株主優待を与えれば八百長の心配も減り、ファンや地元を中心とした球団のための投資という位置づけで資金調達ができるのではないでしょうか。新球場での経営が順調で投資資金が回収されたら球団が株を買いとったっていいんですし。
またファンが球団の株を持ち、何らかのかたちで(ゆるやかに)経営に参画してもらうということも悪いことではないと思います。というか。。。その考え自体が大阪市民球団の骨子になります。村上氏の球団株上場の提案は、大阪市民球団にとっても構想を実現させる一つの方法の提案ということになります。ただ、ファンが球団株を持ち経営に参画するという目的において、ファン以外の株主も多数混ざってくる上場という手段が?なのであり、なにわっちさんのコメントにあった「ファン出資のホールディング名義で3分の1」とか、横浜FCで実行されているクラブ会員への種類株式の発行など、実効性のある方法はいくらでもあるはずです。横浜FCの場合、法人は普通株式、個人は種類株式という割当で、種類株式に一定の議決権を与えています。それぞれ、クラブメンバー限定の発行であり、上場という手段に比べ悪質な株主が混ざるという懸念は極めて小さいといえるでしょう。
現状の野球協約の第28条をみると、「球団は発行済み株式数、および株主すべての名称、住所、所有株式の割合をコミッショナーに届けなければならない」とあります。また「株主に変更があった場合はその都度届け出る」ともあります。これが、日々刻々と株主が変動する上場を難しくしている一つの理由となっていますが、NPBが球団株主の適性を判断できない仕組みはダメだから、多数の個人株主がいる状態はダメだという方向で野球協約を改正しようとなると、場合によっては市民球団のような仕組みは門前払いということになりかねません。
楽天のTBS株取得について、「楽天は球界参入時に協約順守を誓約しているのに」いうコメントがたびたび言われています。この誓約書については「野球協約第36条の9(誓約書)」で詳しく書きましたが、楽天のようなケースに加え、「既存の野球協約に守られたプロ野球の経営のあり方を根底から見直したい」という前向きな意見さえも封じ込める道具として使われかねません。
チーム名に企業名を冠し、国税庁長官通達に基づく節税対策として企業に利用され、経営状況が悪くなればファンの存在を省みずポイ捨てされてきたプロ野球の実態。その仕組みがオリックスにはじまり、ライブドア、楽天、ソフトバンク、村上ファンドという資本の論理で動くマネー論者たちにかき回され、それを指をくわえてみているだけのNPB。大阪市民球団の構想は、ファン不在のこのような状況を何とかしなければ、という動きでありたいと思っていますが、既存球団と新興勢力の「抗争」の果てに「構想」をつぶされないようしなければいけませんね。

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2005年7月10日 (日)

2リーグ制誕生の秘話

2リーグから1リーグへ。。。
表面化こそしていないものの、水面下で未だくすぶりつつけている構想です。ところで、日本のプロ野球は発足当時、Jリーグと同じ1リーグ制(ただし2部リーグとの入替戦はなし)でした。それが、どのような経緯で2リーグ制となったのでしょうか。
1949年、当時8球団1リーグ制だったプロ野球を正力オーナーが10球団に増加したいとする構想を発表しました。まず毎日新聞に働きかけ加盟申請させた後、さらなる新規参入を募集しました。すると当時のプロ野球人気を反映し、近畿日本鉄道をはじめ、加盟申請が合計で5社も殺到し、紆余曲折を経て、2リーグ制が誕生しました。紆余曲折というのは、急激な球団増加は過当競争を生むという反対派の讀賣・中日勢がセリーグを結成し、新規参入を増やし活性化させるべきという賛成派の東急・大映・南海・阪急勢がパリーグを結成するというセパ分裂がいきさつだったからです。この時、当初賛成派だった阪神は分裂直前に反対派に鞍替えして人気球団の讀賣と同一リーグに残る道を選び、近鉄は南海・阪急という関西私鉄のよしみでパリーグに入りました。
近鉄対阪神。オープン戦では毎年観られる組合せですが、公式戦(日本シリーズ)ではとうとう実現することなく終わってしまいました。「交流戦と日本シリーズの組合せ」で書いたとおり、55年間で日本シリーズに出場したのはともに4回ですから、もともと滅多に見れるモノではなかったんですが。。。
結局、この二リーグ分裂時の阪神・近鉄の思惑の違いが、マスコミの力を利用し全国展開を図るセリーグと関西の私鉄球団を核としたローカル展開のパリーグというビジネスモデルの違いとともに、相交わることのない55年の歴史を刻み、球団の繁栄と消滅という岐路を生んでしまいました。
阪神の選択を「裏切り者」とみるか「賢い選択」とみるか、意見の分かれるところでしょう。しかし、確実に勝者とは言えそうです。じゃあ敗者には何も残らないのでしょうか?
大阪市民球団の設立は敗者の残骸が復活を賭けた戦いであるとも言えるでしょう。

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2005年6月28日 (火)

交流戦を終えて、今後のために

交流戦を終えて、あちこちでアンケートやら、総括やらがなされています。大方の意見をまとめると、次の2つのタイプの意見に集約されそうです。

タイプA:興味深い対戦カードもあり、新鮮みがあってよかった。また来年も実施して欲しい。ただ続けて1ヶ月半は長い。時期を分けるとか、試合数を減らすとかマンネリ化を防ぐ工夫が必要。
タイプB:人気の讀賣・阪神戦を組めたパリーグにとっては得。選手の露出度も増えた。一方で、その人気カードが減となったセリーグ4球団にとっては損。

まぁどちらも、やる前から分かり切った結果であって、「予想」で述べるならまだしも、これを持って「総括」とまとめるのは芸がなさすぎます。ということで、もうちょっと違う角度から考えてみましょう。
タイプAのように、多くの人が概ね好感を抱いている交流戦が今までなぜ実施されなかったのか?それは、タイプBにあるように、セリーグ4球団が損をするからです。交流戦をやるかどうかを決めるのは実行委員会とオーナー会議で3/4(=9/12)の賛成を得る必要があります。損をするとわかっている4/12が絶対反対を唱える限り、交流戦は永遠に実現される可能性はなかったわけです。その交流戦がなぜ実現されることになったのか?
まず讀賣・阪神という対戦相手に富をもたらす人気カードを組めないパリーグ全体が経営難に陥り、リーグ自体の運営が困難となったため、2組の合併により球団数を縮減した上でセリーグに統合するという経営改善策が秘密裏に練られ、先発隊として近鉄・オリックスの統合が発表されました。その後の結果はご承知の通り、統合+新規参入でセパ12球団体制が維持されることになったわけですが、そのままでは「パリーグの運営が困難」という状況に変化がないため、交流戦を実施してパリーグを助けようということになったわけです。そうなると、今度は困るのがセリーグの4球団。そのうち本拠地での観客動員力のある中日を除く広島、横浜、ヤクルトの3球団にとっては深刻な影響がでてくるわけです。

6月27日の日経新聞朝刊に、千葉ロッテマリーンズの重光オーナー代行のインタビュー記事が載っています。パリーグの経営難の事情とか、昨年の再編劇を振り返っての話題が語られているのですが、その最後のあたりに意味深なコメントが載っています。

---6月27日の日経新聞朝刊より引用---
今季はマリーンズの収支も改善されるはずだ。問題はセの球団かもしれない。球界としてもっと早く経営状況を把握し、対策を立てるべきだった。この状態で二年も三年も持つことはあり得ず、早晩、再編第二幕はあるだろう。
---引用終わり---

額面通りにとれば、近くセリーグの球団の統合が発表されるだろうということですね。だって二年持つことはあり得ないと断言していますから。とにかく、交流戦に対するファンの支持がある以上、今度は交流戦が既得権になるわけです。で、交流戦をやればやるほど、セの3球団の経営は悪化していき、耐えられなくなっていきます。もともと経営努力やファンサービスに関してはパリーグの方が上だったというのは、重光氏も述べていますが、讀賣・阪神頼みの殿様商売から抜け出すのは容易ではありません。そこでセリーグで2組合併させて1リーグ化にすれば、パリーグの球団は持ち直すわけですね。楽天・ソフトバンクという優良(かな?)な買い手もいなくなり、球団合併のルールもできた今は、昨年より話を進めやすくなったわけです。もちろんファンの声を無視するというのは従来通り(^^;と考えて。そもそも交流戦の試合数を同一リーグの対戦数と同じところまで増やしていったのが1リーグ制です。「交流戦もいいものでしょう?」というアピールは1リーグ化の抵抗感を引き下げる効果がありそうです。ところで、セの3球団で2組合併では数が合いません。もう1球団は人気最低のオリックスか親会社が危機的状況にある西武でしょう。
6月25日の朝日新聞朝刊で、交流戦が終わったのを受けてのアンケート特集があり、応援している球団をたずねているところがあります。
3310人に聞いて、阪神718人、讀賣298人(まぁ讀賣新聞の調査なら逆かもしれませんが^^;)、ソフトバンク179人、東北楽天162人、中日142人、横浜129人、広島113人、ヤクルト103人、千葉ロッテ102人、北海道日本ハム96人、西武95人、オリックス23人。
3つの新球団の明暗がくっきり分かれています。この手の調査はあちこちでやっていて、1位・2位の順位と、3位から11位までは調査によって変動していますが、オリックスのダントツ最下位というのは定番になっています。それはオールスターのファン投票もしかり。「新球団」にしてこれでは、もはや存在価値がありません。

とまぁこんなワケで、広島+オリックス(瀬戸内連合!?)、ヤクルト+横浜(フジサンケイグループ!?)という組合せがまことしやかにうわさされているわけですね。残りの西武にはインボイスという買い手候補がいますので、余りはでない。。。

しかし、これは縮小均衡論という経営論理からたどりついた改善策であって、要はババが昨年までのパリーグからセリーグへ移った状況にすぎません。

ところで、同じ日の朝日新聞のアンケートでは、「今年のプロ野球は面白くなりましたか?」の問いがあり、「はい」が58%、「いいえ」が21%となってます。「はい」の理由のほとんどが「交流戦」、興味深のは「いいえ」の理由で、「試合がつまらない:121人」「特定球団への偏重:81人」「サッカーなどの方が好き:78人」「魅力ある選手がいない:75人」「MLBの方が面白い:70人」「買収、不祥事などで嫌気:57人」「試合時間が長い:37人」。。。
昨年、球界再編に批判的な意見を出し続けた朝日新聞の読者にして、「買収、不祥事などで嫌気」を理由にプロ野球がつまらなくなったという人が3310人中57人(1.7%)しかいません。嫌いな理由のほとんどが、「つまらない」に集約されるものであり、その最大の要因がスター選手のMLBへの流出にある(だから日本に魅力ある選手がいない)というのは明白です。

交流戦は新鮮だからこそ受けたのであって、1リーグ化が理想というわけではありません。「買収、不祥事などで嫌気」が少ないのは、昨年の再編劇が認められたのではなく、「東北楽天」という新規参入が免罪符となり、「交流戦」と見かけ上は活発化した「ファンサービス」で一時的にしのいる状況にすぎません。これを好機とばかりに、昨年、ファンと選手の反対で押し返した球団数削減・1リーグ化を再度試みようとすれば、その時こそ、プロ野球が崩壊する時でしょう。

じゃあどうすればいいのか?プロ野球を「つまらなく」している元凶を取り除く必要があります。一つはショウもない経営者。ファンが評価した場合、果たして何人残れるのでしょうか?特に、50年ぶりの球団統合という話題性がありながら、3310人中23人(0.7%)の支持しか得られていないケースなど、なぜトップが経営責任をとらないのか?不思議な現象です。常識的には考えられません。その人がオーナー会議の議長をやっているのですから、プロ野球の先行きが暗いのは当たり前。それと、大リーグへのスター選手の流出。これをくい止めるのか?、流出しても面白くする仕掛けを考えるのか?いずれにしろ、早急に対策を実施しなくてはいけません。くどいようですが、球団数削減・1リーグ化がその対策とはとても思えません。

「なんかオモロイことがないかなぁ?」
大阪市民球団を、その問いに答えられるような球団に育て上げていくというのが私の望みです。

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2005年5月28日 (土)

交流戦と日本シリーズの組合せ

20/36。

プロ野球に2リーグ制が導入されてから昨年までの55年間(=近鉄球団の歴史)における日本シリーズの組合せの数です。つまり、36通りの組合せのうち、16通りの組合せは未だ実現していないわけです。昨年までの既存球団(身売り前のチームも含む)での日本シリーズの対戦数を具体的にみると、

         広島,横浜,ヤクルト,中日,阪神,讀賣 合計
大阪近鉄           2, 0, 1, 0, 0, 1    4     
福岡ダイエー      0, 0, 0, 1, 2,10   13
北海道日本ハム 0, 0, 0, 0, 1, 1    2
千葉ロッテ         0, 2, 0, 1, 0, 1    4
西武                 2, 1, 3, 4, 1, 9   20
オリックス          2, 0, 2, 0, 0, 8   12
合計                 6, 3, 6  6, 4,30   55

パリーグで身売り前のチームをみると、福岡ダイエーで南海、北海道日本ハムで東映、千葉ロッテで毎日→大毎、西武で西鉄、オリックスで阪急。。。のそれぞれで日本シリーズへ出ています。特に、南海ホークス、西鉄ライオンズ、阪急ブレーブスは黄金時代を築いており、多くのドラマもありました。組合せという観点では、日本シリーズへの出場10回中9回が讀賣相手で、讀賣相手の戦績が1勝8敗という南海ホークスが印象的です。その1勝を挙げたのが昭和34年で、この時、かの有名な御堂筋パレードが行われたのでした(私はまだ生まれていませんが^^;)。

ところで、対戦表を見てみると、面白いことがわかります。
西武(&西鉄)と讀賣は日本シリーズで全球団と対戦していますが、それ以外の球団は2~3球団としか対戦がありません。10回以上出場している福岡ダイエー(&南海)、オリックス(&阪急)にしても例外ではありません。一つの理由は、セリーグの優勝が讀賣に偏っているため、パの球団が讀賣以外の球団と対戦する機会が少ないということが挙げられます。讀賣と人気を分け合っている阪神にして、日本シリーズ出場はわずかに4回。近鉄×阪神の日本シリーズが行われる確率は、単純に考えると、4/55×4/55=約1/189。。。なんと189年に1回(今となっては確率ゼロですが)という計算になります。

これまで公式戦でのセパの戦いは日本シリーズしかありませんでした。これは年に1回しか行われないため、55年の年月をかけてやっと半分程度の組合せが実現したにすぎません。このセパの隔離による希少価値が日本シリーズの権威を高めていたと言えるでしょう。去年の球界再編騒動の中で、1リーグ制にして東西ブロックに分けて順位を決め日本シリーズをという意見もありましたが、それでは盛り上がらないという意見が大勢でした。

しかし、今年から交流戦を実施したため、公式戦で36通りの組合せが毎年、実現することになりました。現在、首位を走っている千葉ロッテ×阪神の組合せも、日本シリーズとなれば初顔合わせですが、既に交流戦で実現してしまったんですね。交流戦も今年、来年あたりは新鮮さがありますが、10年で60試合もしてしまうと、対戦カードの希少価値が薄れ、日本シリーズの権威が落ちてしまうのではないか。。。そこが心配です。

大阪近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの消滅と引き替えに実現した交流戦。10年たって、成功だったと言えるよう、現状に満足することなく、企画運営して欲しいとNPBに要望いたします。

また交流戦の組合せ表の中に応援したいと思えるチーム(大阪市民球団)が誕生する日を待ち望んでいます。

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2005年5月14日 (土)

合併球団と新規参入球団に対する独占禁止法

以前の野球協約には、プロ野球への新規加盟料として、譲渡を受けた場合に30億円、新規参入の場合に60億円が必要であると定められていました。この規定は、以前、政界疑惑で話題となった某社が大洋球団を買収しようとした際、その買収を妨害するために設けられた規定です。すなはち、不適切な企業に対する新規参入障壁とすることを目的として制定された規定であり、活用されることが目的ではありませんでした。結果的に、NPBは、昨年の9/25の実行委員会で、これらの加盟料に代わり、保証金25億円+野球新興協力金4億円+加入手数料1億円とすることで合意し、楽天の新規参入とソフトバンクの譲渡に適用されました。

ところで、近鉄球団とオリックス球団は、昨年の6/13(思い出したくもないですが^^;)に合併することを発表しました。ここで問題なのは、近畿日本鉄道がプロ野球という事業から撤退するための方策として、「売却」と「合併」という2つの選択肢を比較検討した時点で、「売却」には新規参入障壁を目的とした加盟料の存在があり、「合併」の場合にはその加盟料の免除が約束されていたという点です。

そこで、私は7月13日に前職が公正取引委員会の委員長である根来コミッショナーに対し、加盟料の独占禁止法(独禁法)に対する違法性を指摘した上で「球団譲渡時に発生する加盟料を10年後に返却する10億円程度の預託金のようなものに改めるべきである。」との内容を、野球協約の変更文案付きの文書で提言しました。しかし、加盟料の見直しはなされないまま、近鉄球団とオリックス球団の合併(新設合併から営業譲渡への形態変更があったため正式には統合と表現)が承認され、その承認後において、国会での議論や公正取引委員会の非公式なコメントも受けて、やっと加盟料が違法性を持っているとの認識の元、加盟料を撤廃することが話し合われたわけです。

2球団破綻→2組合併の1リーグ制への移行。これが当初の目的だったので、加盟料の見直しを早期に行っていれば、近鉄球団に加え、再生機構入りが秒読み段階のダイエー球団にも有利な売却先が出てくることが懸念されたため、見直しができなかったんですね。逆に合併球団に対する加盟料免除は議論なしの即決で決まっています。

またパリーグの小池会長はパの4球団と連名で、ダイエー球団とロッテ球団に合併を促す要望書を提出しました。セリーグの豊蔵会長はプロ野球選手会の要望した特別委員会の招集について、「招集する必要がない。」という決定を先延ばしにすることにより、選手会との対話を避け続けました。

さらにプロ野球初のストライキを受けて、合併と新規参入という打算的な解決を図った後においても、楽天に著しく不利なプロテクト制度が採用されました。これについては選手の確保について差別的な取り扱いをしているという観点で、独禁法第八条5項に禁止事項としている「事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。」に相当する行為ではないかと思っています。前述の分も含め、公正取引委員会にご意見メールを送ったんですが。。。当然のように無視されました(^^;

何を今さら!というお話ばかりですが、要するに、大阪市民球団の新規参入を審査するNPBは、適法性よりも一部オーナーの思惑に基づいた恣意性を重視する組織であるということを肝に銘じる必要があるということです。もちろん、NPB自らが組織改革、意識改革をしてもらうことが一番なのですが。

なお合併問題に関わる独占禁止法については、以前、神戸大学の泉水教授のBBS(新しい掲示板)で議論をさせていただきました。法律素人の私には理解度30%位?でしたが。。。
そのうち、大阪市民球団の新規参入と独占禁止法についても考えてみたいと思います。

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楽天vsライブドアの新規参入の審査→で、大阪市民球団は?

楽天とライブドアで争った去年の新規参入の審査結果について、NPBのHPでの公式見解について改めて確認してみました。これを大阪市民球団に当てはめて考えてみます。

1.参加申請書の妥当性と球団経営の継続性、発展性
球団会社の資本金はライブドアは1億円、楽天は4億円。野球協約第27条では最低資本金を1億円と規定しているだけですからどっちでも大差ないでしょう。ただ大阪市民球団の場合、株主が単独企業となる可能性は低いので、それが認められるかどうか。複数株主の例は統合球団(オリックス1億円に対し近畿日本鉄道が0.2億円の第三者割当増資)でも実証済みですが、数十社とか、あるいは個人も含めた株主構成の場合、責任の所在や継続性という点で指摘される可能性があります。
また長期的な収支見込みは楽天の方が悲観的で、逆に財務状況は経常利益、総資産、売上高で楽天が勝っていることを取り上げ、「より赤字に耐え得る企業体力を保持」していることを強調しています。市民球団設立準備室の構想のように、「初年度から3万人超の観客動員で黒字経営ができる」という楽観論で申請書を作成したら合格の見込みはありませんね(^^;
ところで、近畿日本鉄道の統合球団への第三者割当増資について。この第三者割当増資という制度は本来、親会社のオリックスと近畿日本鉄道が共同でプロ野球事業を運営していこうという認識の元、長期保有を前提として利用されるものであるはずです。しかし、現実は近畿日本鉄道が3年後に撤退するというのが既定路線になっています。このような金融制度の盲点をついた球団統合は野球協約に照らして違反している(長期保有を前提としているならまだしも。。。)と今でも思っています。

2.野球協約との整合性
まず、「両社とも野球協約など球界の取り決めすべてを遵守すると誓約しました。」と書かれています。その上で、「ライブドアは、参稼報酬の一部にストックオプションを付与してコストダウンする計画を示しましたが、●野球協約が改正されない●と同社のコストダウン構想にも影響を与える可能性があります。」とあり、NPBには、野球協約にない新しい発想を持っているものを排除するという性質があることが読みとれます。やはり、大阪市民球団では「野球協約第36条の9(誓約書)」でコメントしたことが懸念されます。

3.専用球場など施設と観客需要
大阪ドームは使用料が高い!そこが問題!

4.選手、コーチ陣確保の見通し
言うまでもなく最大の懸案。というより、「市民球団の戦力」などでコメントしたとおり、新規参入球団が考えるべき問題でなく、NPB及び既存球団が考えるべき問題というのが私の意見です。

5.親会社と球団の経営状況の分析
1と同じ内容のような気がしますが。。。とにかく、NPBの審査で求められているのは、どうやってプロ野球の経営をやっていくのかという点ではなく、大きな赤字になった時に耐えられるのか?という点が重視されています。ベンチャーキャピタルの発想ではなく、担保をとった銀行融資の発想です。斬新な発想で挑もうという大阪市民球団にとっては不利ですね。市民球団のスキームに対する強烈な理論武装が必要になりそうです。

6.公共財としてふさわしい企業、球団であるか
インターネット会社の場合、アダルトサイトへの関与度で判断するみたいです。市民球団ならフリーパスでしょう(^^)。いや。。。経営に関与する会社あるいは個人が多くなれば、その中の1社あるいは1人を取り上げ、「プロ野球の世界には不適切」と難癖をつけられる可能性はあります。

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