2005年11月26日 (土)

「トヨタが「プロ野球」を持たない理由」を読んで

前のエントリーのコメントにあった池島さんご推薦の本、読みました(^^)
前半は、他の書籍の受け売りとか、知っている話が多かったのですが、後半は読み応えがありました。特に中国の情報は詳しいものがほとんどないので、参考になりました。かの国は12億人もいるんですから、「ブレイクスルーするのは時間の問題か」という話もまんざらではありません。しかし、日本の企業は中国のチームに結構、出資してるんですね。プロ野球発展のため、というより、中国市場を開拓するための手段のようですが、まぁそれでアジアリーグなんかが盛り上がってくればNPBも活性化していくキッカケになるかもしれません。
あとは球団数拡大で4球団×4地区体制を目指そう、そのためには球団数拡大が必要で、複数スポンサーによる球団経営を認めさせよう、という主張も共感できますね。ただ著者に言わせると、「1リーグ16球団で4球団×4地区」がよろしいということですが、「2リーグ16球団で、4球団×2地区×2リーグ」とどう違うのか?がよくわかりません。その辺の解説が少ないんですが、4地区の優勝チームを決めて、日本一決定シリーズを4球団のトーナメントで、ということのようです。でも、「改革」は既存のものを破壊すればいいってものじゃないわけで、セパの歴史を受け継ぎつつ、進化していくというスタイルも捨てがたいんですよね。。。まぁハタ目にはどっちも同じようなもんじゃない?と見えそうですが(^^;
ところで、複数スポンサーは現在、半分以上の球団で実現しているので、「複数スポンサーによる球団経営を認める必要があるだろう」という言い回しはちょっとおかしいですね。過半数を出資する企業の存在しない状況を想定しているなら、そう明記すべきですし、それこそが市民球団構想と軌を一にするわけで、その状況での球団経営のあり方といった方向に話が展開してもらえるとありがたいお話となったのですが。。。本では瀬戸内カープが例として挙げられていますが、これは著者の考えではなく、一橋総研理事の下前雄氏の考えを披露しているにすぎません。さらに、「自球団以外の球団にも共同出資して、球団経営が軌道に乗るまで面倒を見る企業があってもいい」の下りは、今、楽天がさんざん叩かれている野球協約第183条に真っ向から違反しましょうということになりますが!?
注目すべきは、サントリーの佐治社長がプロ野球への参入に興味を示しているっていうところです。本気だとすればうれしい話です。「今のままの球界じゃダメ」ってことですが、市民球団構想にのってくれるでしょうか???。。。いや、話にのってくれるような構想をつくっていかなくてはいけませんね!
今の球界は、「企業のためのプロ野球」という軸と「ファンのためのプロ野球」という軸がうまく交わっていない。。。というよりそっぽを向いている状態なんでしょう。「企業のためであり、なおかつファンのためでもあるプロ野球」を目指すことはできないのでしょうか?本では、トヨタが中国のCBLに参入することを期待していますが、トヨタが「プロ野球」を持たない理由というのは結局、NPBには魅力がない、期待も持てないということなのか。。。今のプロ野球には魅力がないからトヨタがプロ野球を変える!という位の展開にして欲しかったですね。
その前に。。。トヨタにはF1も変えて欲しいですね。

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2005年10月26日 (水)

千葉ロッテ、認定日本一!

3試合で30対2。。。日本シリーズというのに試合になってません。このままでは暴動が起きかねません。もう4戦目をやるまでもないのでは???ここまでくると、プレーオフで盛り上がってきたチームと待ちぼうけを食らったチームの差としか言いようがありませんね。プレーオフ制度の弊害はまた後日、考えたいと思いますが。
今日の試合もニュースでしか見ていませんが、6回裏、相手のミスで二死三塁となったところで金本選手の凡退。気持ちで乗るタイプの兄ヤンがなにか気抜けしているように見えてなりません。しかし、ここから全部1点差で阪神が4連勝、という展開もありうるのが野球の面白いところ。千葉ロッテの鬼門は9回裏の小林(雅)投手でしょうか。特に4点リードで迎えたら、プレーオフの再現がないともいえません!?
それにしても阪神は、上場問題で水を差され、日本シリーズ本番はいいとこなし、兵庫で予定されていた優勝祝賀会も中止。3年で2回も優勝すべきチームじゃないってことでしょうか。
近鉄亡き後もパリーグファンということで、10.19の立て役者?ロッテに怒濤の4タテを決めてもらいたいと思っております。

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2005年10月22日 (土)

プロ野球有識者会議の「愚」

プロ野球有識者会議とやらの第3回会合が10月11日にあり、3つの具体策がコミッショナーに提示されたようです。
1.コミッショナーに最高経営責任者(CEO)に相当する実質的な権限を持たせ、その下にオーナー会議、さらにその下に実行委員会を置く。
2.コミッショナー事務局とセ、パ両連盟事務局を統合して、セ、パ両会長職は廃止する。
3.第三者による諮問会議を設置し、コミッショナーに意見を提示する。
1番目の提案は、現行の野球協約で明文化されているモノ。ただ著名な法律家である根来氏の解釈によれば「コミッショナーに権限がない」ということらしいですが、コミッショナーが根来氏である限り、CEOという肩書きを与えるだけでは何も変わらないでしょう。
2番目の提案は意味不明。1リーグ化への布石なのでしょうか?「セ、パ両会長職は廃止」とはよく言ったものですが、問題は仕組みというより人事にあることが分からないのか、言えないのか。。。
3番目の提案は、有識者会議がそうなんじゃないの?と思ってしまいます。コミッショナーの発案でつくられた有識者会議でこのような提案をコミッショナーにする。。。そのココロは?笑いをとりたいのかな???
この時期に有識者が集まって、一体何を議論しているのか。有識者会議の梶原座長は「今回の阪神と村上ファンドの問題にしても、責任を持って発言できる人がいないし、迅速な対応ができない。コミッショナーが最高の権限を持つということを明確にする必要がある」と語っています。こういう前例のないややこしい問題に一つの解決策の試案を提示するのが有識者会議の役割ではないのでしょうか。それと、座長というなら、せめて野球協約くらいは読んでもらいたい。

野球協約第186条(違反または不履行)
株式所有または金銭上の利害関係の禁止条項に違反した時は、コミッショナーにより違反事実の解消を指令され、かつ情状により適当な制裁が科される。監督、コーチ、選手はコミッショナーの裁決を履行するまで、すべての野球活動が停止される。

コミッショナーに関する規定の第8条や第9条でさんざんコミッショナーは最高の権限を持つということをうたい、さらに第186条で株式所有に関してコミッショナーに指令や制裁、裁決といった権限が与えられているのだから、誰が責任を持つべきなのかは明白。問題は「情状により適当に制裁」などといった曖昧な部分や、違反しているのかどうかを判断する手段をどう担保するのか、といった運用面を考えていくのが求められていることでしょう。もちろん、野球協約の体系がなってないから全面的に改定しましょうというのは良い提案かもしれませんが、有識者が集まっているんなら、まず現在起こっている問題に対し、現行の野球協約に照らしてどう判断すべきなのか、野球協約に足らないところがあるとすればそこはどこなのか、で、どう変えればよいのか。。。そういった具体的な議論をすべきであって、コミッショナーの発案で組織された第三者による有識者会議で「第三者による諮問会議を設置」するのが良いという提案をコミッショナーに提示するなどという寝ぼけたことをしている場合ではないのである。

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2005年10月18日 (火)

千葉ロッテ優勝!。。。おめでとう(^^)

第5戦も仕事中で見れませんでしたが、1点差で終盤の逆転勝ちというスリリングな展開で千葉ロッテがパリーグを制したようです。おめでとうございます~
最後は小林(雅)が抑えたんですね。4点差じゃなくてよかったということかな。。。
何しろ、金ヤンが踊りまくっていた頃の優勝以来31年ぶりということですから、ファンにとっては一昨年の阪神優勝に勝るとも劣らない嬉しさがあるのでしょう。阪神×千葉ロッテは交流戦の中でも最も盛り上がったカードといわれていますし、球界再編騒動はおいといて、日本シリーズを楽しみたいところではあります。しかし、やはり1年間、1試合の観戦もすることなく、応援するチームもない中で優勝チームが決まったといっても高揚感もなく、また近鉄が優勝できずに残念という悔しさもなく、寂しいことではあります。
ところでホークスは、ダイエーでもソフトバンクでもシーズン1位でありながらプレーオフという制度に泣かされてしまいました。ホームの利点はあっても、第1ステージで勝ち上がってきたチームの勢いというのも短期決戦では有利な材料なのかもしれません。福岡のファンはさぞや歯ぎしりしていることでしょう。プレーオフについては賛否両論ありますが、優勝を決める試合の対戦相手は、必ず、もう一つの優勝の可能性を持ったチームであり、また優勝を決める瞬間は、必ず、チームが勝った瞬間になるという点はプラス面だと思います。ファンにとっては応援しているチームが優勝するというのが何よりうれしいことであり、優勝が決まる瞬間は喜びが爆発する瞬間なわけです。それが試合に負けたり、試合のない日にマジック対象チームが負けることによって優勝が決まるというのでは、うれしいんだけどちょっと白けちゃうって感じですよね。。。優勝の瞬間というと、近鉄は10.19の悲劇に9.26の感激、日本シリーズの21球の悪夢など、ドラマを演出してきたわけですが、まぁファンとしては優勝をかけたプレーオフを楽しめるというのも悪いことばかりではない気がします。もちろんプレーオフ制度には改善すべき点は多々ありますが。。。
ところで、昨年、ダイエーの高木社長は、産業再生機構による再建を拒否し、最後まで自主再建を目指しました。結局、最後は産業再生機構にまかせることになり、球団も手放してしまったわけですが、この高木社長の粘りがダイエーとロッテとの球団統合を反故にし、1リーグ化を阻止した大きな要因であったとも言えます。プレーオフを戦った両チームは、高木氏に感謝すべきでしょう。
そういえば、オリックスも、もう少しでプレーオフに出場できるところだったんですよね。勝率4割台でプレーオフに出場し、あれよあれよという間に勝ち上がり、阪神との日本シリーズまでも制してしまったら、どうなっていたでしょう!?
んで、日本シリーズ制覇を決めたその日に、村上ファンドとオリックスの共同記者会見で、村上ファンドの阪神株のオリックスへの譲渡と、阪神・オリックスの球団統合が発表される。。。宮内オーナー曰く「昨年はパリーグの5・6位という弱者連合でしたが、今年は日本シリーズを戦った強者連合で関西に強いチームを創ります。これでファンは喜ぶはずです。」
・・・とまぁ冗談はさておいて、千葉ロッテ、日本シリーズもがんばれっ!

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2005年10月17日 (月)

大阪に市民球団を創るという公約!

大阪市の関市長がヤミ年金問題などの責任をとって辞任するらしい。。。それはともかくとして、市長辞任に伴う市長選挙に自らも出馬するらしい!?
小泉総理の郵政解散には見かけ上の理はあったが、この人の辞任再出馬にはどんな理があるのでしょう。。。大阪市は大阪ドームの再建を断念しました。大阪ドームの再建をつぶしたかたちのオリックスは、何を思ったかフェスティバルゲートの再生に手を挙げており、この問題に片が付いたことも市長辞任の一因だったようですが。。。
関市長の辞任に伴い、関市長の任命により助役となった大平光代氏も辞任。詳しい事情はよく分かりませんが、あまりハッピーな状況ではなさそうな感じです。

この際、「大阪に市民球団を創る!」という公約を掲げた市長候補、でないかな~

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2005年10月15日 (土)

大阪市は大阪ドームの再建もできないのか!?

お金をかけてドームを造りました。でも計画通りの集客力を確保できませんでした。借金を返すために借金を重ね、とうとう破綻しました。特定調停を申し出て、近鉄に面倒見てもらおうと思ったら、逃げられました。統合球団のオリックスに頼ろうと思ったら、3年待てといわれました。3年間、少しずつ試合数を増やして3年後には単独本拠地にするからといわれたのに、早速、来年の試合数は神戸と半々。。。との約束違反。

オリックスとの口約束を信じた大阪市が馬鹿なのか、行政との約束を平気で破るオリックスが信義に反しているのか。。。107日、とうとう、大阪市の第三セクター「大阪シティドーム」は、特定調停を断念し、会社更生法の適用を大阪地裁に申請しました。

仮に統合球団のオリックスがやってきても人気は見込めず、やってくるのはタダ券を握り締めた弁当持参の家族連ればかり。球団の未来を担うかもしれない大阪の期待の高校球児をクジで射止めたと思ったらとんだ茶番劇。オーナーが慰留した監督を説得するか、別の監督を探すのが仕事のGMが、辞めた監督に言われるままに監督になる意味不明な社内人事。阪神時代の監督の経験ってそんなに輝かしいものだったのか。。。拾い手のいない清原にすがるしかない悲しい弁舌を統合の犠牲者だった選手たちはどう思っているのでしょう?「連続最下位だったチームを仰木マジックでプレーオフ進出を争う位置まで押し上げました。」とマスコミに去年の騒動を記憶喪失にさせるようなチームの影の薄さ。こんなチームに大阪ドームの将来を託していけるのか?

いや、その前に、大阪ドームを破綻させた大阪市は、再建さえもできないのか?まぁ想像していたとはいえ、いざ現実となると、寂寥感に襲われてしまいます。

2001926日。。。あの日のチケットを財布にしまいこんだまま、かれこれ4年の月日が流れ、ボロボロになってきました。あの日が輝きの頂点だったのでしょうか。もう、あの日の輝きは戻ってこないのでしょうか。

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2005年7月 2日 (土)

今さらながら、1リーグか、2リーグか

小林至氏の著書「合併、売却、新規参入。たかが・・・されどプロ野球!」。ソフトバンクの孫オーナーは、この本を読んで、面識のない小林氏を球団に招いたとのことです。このヘッドハント?のお話は「闘争-渡辺恒雄の経営術 三宅久之」に書いてました。
ところで、小林氏の著書では「日本のプロ野球は1リーグ制にすべし」が結論になっています。小林氏の主張をまとめると。。。
・日本のプロ野球が大リーグのファームに成り下がっている。
・大リーグといっても所詮はアメリカの国内リーグ。
・大リーグチャンピオンとアジアチャンピオンでワールドチャンピオンを決めるべき。
・アジアカップは、日本4、韓国2、台湾1、中国1の8チームのトーナメントで争うのがよい。
・日本以外の国でもプロ野球は苦戦している。日本が活性化に一役立つべき。
・ポストシーズンが長ければそれだけ盛り上がる。アジア各国と交流は経済活性化にもつながる。
・このような上位リーグがあるのなら、2リーグではなく1リーグがよい。
・いずれは企業やクラブチームを編成し直して、2部、3部をつくり、入れ替え可能にすればよい。
これは、オリックスの宮内氏が提唱している球団統合→球団数削減→1リーグのシナリオとは異なります。世界戦略を考えると、欧州サッカー型の1リーグがよいという意見です。で、巻末には渡辺恒雄氏のインタビューが掲載されてます。その渡辺氏の主張は、「プロ野球は完全自由競争にすべし」。これは孫オーナーと同じ意見で、宮内氏の「戦力均衡にするため、様々な制限を設けるべし」とは正反対な意見です。まぁつまりは、渡辺氏-孫オーナー-小林氏のラインで1リーグ移行の理論武装が固まりつつあり、考え方は全く異なるが、さらなる球団統合で1リーグ移行を実現したい宮内氏と奇妙に目的が一致しているというのが現状なんだと思います。

日本のプロ野球は1リーグがいいのか、2リーグがいいのか、改めて考えてみます。
仮に12球団体制はそのままとすると。。。
2リーグならセ6+パ6で、それぞれに2軍を持ってます。
1リーグなら12球団で、それぞれ2軍でもいいですが、いずれ2部リーグにして入れ替え有りにしたいところです。そうしないと、下位同士の戦いが白けてしまいます。
1リーグにすると、独立した球団が24になり、入れ替え有りとすれば、2部リーグもそれなりの設備と選手層を持たなくてはなりません。またスポンサーも24、ホーム球場も24必要です。1球団あたりの選手数は半減し、こじんまりとしたチームが全国各地に点在するということになります。そうすると地方都市の球団が増えることになりますが、大手企業のスポンサーがそうそう見つかるとは限りません。そこでリーグの方針として地域密着戦略を掲げ、自治体の支援も仰ぎたいところです。財政基盤が弱いチームもでてきそうなので、リーグ内での所得の再分配を行い、戦力の均衡化も図りたいです。またポストシーズンが長くなると、そちらに目がいきがちで、シーズンの試合の注目度は下がりそうです。国際試合が多くなるということはこれまで以上に人材の交流も活発化しそうです。

ここまで書けばおわかりでしょうか?
小林氏の考え方で日本のプロ野球を1リーグにするというのは、Jリーグ化するということに他ならないワケです。確かにJリーグの制度設計は素晴らしいものがあります。しかし、それはゼロからプロ化を設計したものであり、55年にわたる2リーグの歴史を持つプロ野球とは前提条件が根本的に異なります。プロ野球には、もう既に全国人気型の讀賣・阪神という球団が存在し、その2球団の人気に依存する形でリーグの運営がなされている現状があるワケです。またプロ野球は連戦が可能なため、週6日開催が標準です。それに対し、サッカーは週2日開催が標準。平日ナイターを4日やってある程度の観客動員を図るには、球場周辺(1.5時間以内)がそれなりの人口集中圏でないと経営が成り立ちません。したがって、プロ野球は地方都市より都市型立地の方が向いており、政令指定都市以外の地方都市には球団をおけず、大都市圏に集中してしまうため、結果としてあまり多くの球団数をかかえておけないんですね。この「多くの球団数は難しい」というあたりは宮内氏のいう縮小均衡理論に通じる考え方になりますが。。。

小林氏の考え方は、国内で閉じているプロリーグの場合、国内チャンピオンを決めるため並列的なリーグ構成が適しており、外国のチャンピオンと戦うしくみがあれば、国内は1リーグの2部制にして入れ替え有りにするのがよいというものです。で、前者が米国の4大プロスポーツ、後者が欧州サッカーリーグがその代表とのことです。

しかし、ものごとには「古くなったらどんどん新しくしていけばいい」ものと、「古き伝統こそ大事にしなければならない」ものがあるはずです。アジアカップに大リーグとの真のワールドシリーズ。素晴らしい企画です。でもなんで1リーグじゃないとダメなのか?昨年、渡辺氏は「11球団なら2リーグ、10球団なら1リーグ」といく区分けを盛んに口にしました。1リーグがそんなにいいのなら、なぜ12球団で1リーグにすることを考えないのか?要は「目先を変える」ことを改革と称して、そこに人気回復の糸口をつかみたいのでしょう。しかし、目先を変えることの効果は一時的なモノです。それは交流戦を実施してわかったはずです。そして一度、大きな構造改革をしてしまうと、二度と元には戻りません。「大阪近鉄バファローズ」という素晴らしいチームは、どんなことをしても、もう戻ってこないんです。先日、生まれてはじめて歌舞伎を鑑賞してきました。歌舞伎は大衆娯楽です。しかし、300年以上、同じ様式を受け継いできたことで、伝統芸能の地位を築いてきたわけです。プロ野球界は、55年の歴史を持つチームを一時しのぎのために消滅解体した愚行を2度と繰り返すべきではありません。2リーグ制維持でもできる改革はいくらでもあります。私はプロ野球の1リーグ移行に断固反対の立場でいきたいと思います。

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2005年6月13日 (月)

あれから一年。。。

朝日新聞6月11日朝刊
「あれから1年 プロ野球界は変わったか」と題して行われたオーナーとの対談記事の一節。登場しているのは、オリックスオーナーの宮内義彦氏と讀賣オーナーの滝鼻卓雄氏。ここでは、宮内氏の発言を引用してみます。

---朝日新聞の引用---

-昨年の近鉄との統合では、ファンの期待を見誤ったのでは。
宮内義彦氏
「そうは思わない。あの騒動は顧客が少なかったから起こった。言うならば、買う人が少ないから製品ラインをカットすると、「あのメーカーはけしからん」と言うような話はいっぱいある。事業が縮小するときに反応があるのはやむをえない。近鉄が統合に手を挙げたのも観客が少なかったから。統合反対署名が140万人分を超えたそうだが、一方で当時の近鉄の試合は客席ががら空きだった。パ・リーグの球団は支出と収入があまりにも見合わない。支出を抑えたいが、選手年俸の高騰は抑えられない。となると、マーケットを縮小するしかない。ただ、ファンがあのように反発したことは、プロ野球の活力を示したということで、ありがたく教訓とさせていただきたい。」

---引用終わり---

これがNPBの最高議決機関であるオーナー会議の議長の生のコメントです。夢も希望もないコメントですが、逆に長い目で見れば、夢も希望も持てるのではないかと感じました。去年のオーナー会議の議長が渡辺恒雄氏。で今年が宮内氏。もう堕ちるところまで堕ちたと考えれば、あとは上昇するのみでしょう。

昨年、大阪近鉄バファローズが消滅への第一歩をしるした6月13日に改めて大阪近鉄バファローズの生まれ変わりとしての大阪市民球団を誕生させたいと誓います。

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2005年6月 3日 (金)

経営の風土学 佐伯勇の生涯

ふらりと古本屋に入ったら表題の本を見つけました。藤井寺球場の歴史の最期を飾る藤井寺市民フェスタの前に引き合わせてくれたのでしょうか。佐伯勇氏と言えば、近鉄「中興の祖」にして、近鉄パールス設立時の初代オーナー。藤井寺球場へも通ったことでしょう。

ところで、本書は、経営書というより、佐伯氏の経営哲学の風土、いいかえれば佐伯氏の人となりが伺える一冊です。著者の神崎宣武氏は民俗学の研究者で近鉄パールス以来の大の近鉄ファン。本書も、千葉茂監督時代の新生近鉄バファローの春のキャンプで見かけた佐伯オーナーがグラウンドを去るときに帽子を右手でつまんで高々と揚げた様子が記憶に鮮やかだったと言う話に始まります。ただし、球団の話は最初だけで、もっぱら経営者としての佐伯氏の横顔、裏顔を紹介している本です。

まず、目にとまったのが、JR以外の私鉄最長路線を誇る近鉄の歴史が合併の歴史だったという点。ある程度はわかっていましたが、改めて並べ立てられると、球団統合もその延長だったのかと思えてしまいます。しかし、佐伯氏が存命だったら、球団統合にYESと言ったでしょうか。。。

大軌~近鉄の歴史

明治43年 奈良軌道創立、同年、大阪電気軌道(通称、大軌)に改称
大正11年 大阪電気軌道が天理軽便鉄道、生駒鋼索鉄道と合併
大正13年 大阪電気軌道が城東電気鉄道と合併
大正13年 大阪電気軌道が東大阪土地建物と合併
昭和3年 大阪電気軌道が長谷鉄道と合併
昭和3年 大阪電気軌道が大軌土地と合併
昭和4年 大阪電気軌道が伊賀電気鉄道と合併
昭和4年 大阪電気軌道が吉野鉄道と合併

昭和2年 姉妹会社の●参宮急行電鉄創立
昭和11年 参宮急行電鉄が●伊勢電気鉄道と合併
昭和15年 参宮急行電鉄が関西急行鉄道と合併
昭和15年 参宮急行電鉄が養老電鉄と合併

昭和16年 大阪電気鉄道が●参宮急行電鉄と合併し、関西急行鉄道と改称
昭和18年 関西急行鉄道が●大阪鉄道と合併
昭和19年 関西急行鉄道が信貴山急行電鉄など3社と合併
昭和19年 関西急行鉄道が●南海鉄道と合併し、近畿日本鉄道と改称
昭和22年 近畿日本鉄道から南海鉄道が分離
昭和38年 近畿日本鉄道が●奈良電気鉄道と合併
昭和39年 近畿日本鉄道が信貴生駒電鉄と合併
昭和40年 近畿日本鉄道が三重電気鉄道と合併
昭和61年 近畿日本鉄道が東大阪生駒電鉄と合併

これら多くの合併のうち、経営上、大きな意味のあった合併(●)は次に示すものです。
伊勢神宮への参拝電車である参宮急行電鉄を姉妹会社として創立(後に合併)したこと、その参宮急行電鉄が伊勢電気鉄道と合併し名古屋進出を果たしたこと、関西急行鉄道時代に大阪鉄道と合併し、阿部野橋-橿原神宮駅間、古市-河内長野間、道明寺-柏原間などの路線を獲得したこと、さらに戦時輸送確保のため企業統制令により南海鉄道と合併(後に分離)し近畿日本鉄道と改称(近畿日本鉄道のHPの会社概要によれば、この時点が近畿日本鉄道の会社設立となっています)したこと、奈良電気鉄道と合併し、京都進出を果たしたこと。

奈良のローカル線からスタートした近鉄にとって、特に悲願だったのが、名古屋と京都への進出。そこには大きな苦労もあったようです。

名古屋への進出を果たしてからしばらくは鉄道軌道の幅の違いから直通運転ができなかったため、いつの日か軌間拡幅工事(ゲージ統一)を行う必要がありました。そこに、昭和34年9月26日(9.26と言えば...)伊勢湾台風が来襲し、名古屋方面の路線を中心に大打撃を受けました。ちょうど、名古屋では揖斐・長良川鉄橋(987m)と木曽川鉄橋(861m)という2つの大型鉄橋の掛替工事(工事費23億円)が終わったばかりの時点での台風被害(被害額25億円)。社内に暗い雰囲気が漂う中で佐伯社長の決断は「いまここで、ゲージ統一の計画を実行しよう」でした。その時の重役会議でのセリフ(抜粋)。
「どうせ電車が止まってるのやから、全線の復旧工事は、一気に広軌にしてやるべし。儂はそう決めた。だから、その方法を考えてくれ。やらんと言う必要はない。どうすればやれるかっちゅう方法を考えろ。一週間、知恵をしぼって考えろ。」
この時点で復旧方法は決めていたが、独断で決めることなく、案を出させた上で、最後は自分で決めたということのようです。佐伯社長の経営信条は「独裁はするが独断はしない」。結局、鉄道の営業中なら夜間工事となり長期間かかったものが、災害でストップした時に一気に仕上げたため、軌間拡幅工事はわずか9日で終了。車両本体のゲージもあわせて拡幅し、大阪-名古屋間の直通特急が開通したことで、台風被害の損害を大きく上回る収益を確保することができたとのこと。


この当時、経理局主計課にいて予算のやりくりをしたのが山口昌紀(現:近畿日本鉄道社長)。また伊勢湾台風の来襲時に海外出張をしていた佐伯社長に同行していたのが田代和(昨年まで大阪近鉄バファローズのオーナー)。随分と苦労したことでしょう。

そして京都への進出を果たすこととなった奈良電気鉄道との合併も苦労話として挙げられています。当時、京都-西大寺間を運行していた奈良電気鉄道の経営が破綻。それぞれ1/3の大株主で、相互乗り入れを行っていた近鉄と京阪のどちらが吸収合併するかで交渉は難航。調停案として丹波橋を境に北は京阪、南は近鉄という案もでたが、佐伯社長は「レールは1本で2つに分けることはできん」と拒否。その間、秘かに奈良電気鉄道の沿線に居住する個人株主から株を買い取り、過半数の株を取得して、結局、近鉄が吸収合併し、京阪所有の奈良電気鉄道株も買い取ることで決着。

この奈良電気鉄道の個人株主からの株の買い取りを担当したのが経理課員の山口昌紀。その後、山口は佐伯社長の秘書を長年勤め上げ、平成15年6月、近畿日本鉄道の社長に就任。そのちょうど1年後にした大仕事が、故佐伯オーナーが立ち上げた近鉄パールス→近鉄バファローズ→大阪近鉄バファローズの息の根を止める球団統合でした。

ところで、佐伯勇氏は関西の私鉄産業が発展する原型をつくった阪急の小林一三氏に畏敬の念を抱いていたようです。佐伯氏の「文化は経済が支える」という考えも、遊園地、OSK、球団を所有していったのもその影響とか。秘書室長だったころの上山善紀氏に「小林さんのやり方に倣ってたら間違いないんや」と漏らしたことがあったそうです。

だからって、オリックスへの球団譲渡まで倣ってしまうことはないのに。。。

平成元年10月5日に永眠した佐伯勇氏に昨年の5月17日に亡くなった鈴木貴久氏。改めて両名のご冥福をお祈りしつつ、藤井寺球場の最期を見取りにいきたいと思います。

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2005年5月24日 (火)

NHK 個性がプロ野球を救う「私のプロ野球改革論」

東北楽天の前(むかしむかしのことですが^^;)の新規参入球団「高橋ユニオンズ」の中心選手だった佐々木信也氏と元球団代表の坂井保之氏の対談番組(NHK教育 知るを楽しむ)がありました。
その内容と感想(・・・に続く部分)をコメントします。

ファンサービスをやるのは結構。でもサインやプレゼントだけがサービスではない。ファンが望んでいることをかなえるのがファンサービスというもの。例えば、「強いチームがいい」「健全なフェアプレーを見たい」「一生懸命や全力疾走している姿を見たい」など、グラウンドでのプレーに期待されていることをかなえるのが一番。
・・・もっともなご意見です。「強い」というのは相対的なものだから全ての球団がかなえることは無理なんですが、フェアプレーや全力疾走は気持ち一つですから是非ともお願いしたいものです。

佐々木氏「清原選手は丸刈りにピアスをしてますが、ああいうファンサービスはどう?」
坂井氏「ピアスに頼っちゃダメ。本人が存在感あるんだから素のままで自信を持って行けばいい」「ユニフォームというのは統一性を保つためのもの。茶髪やらアクセサリーやらタトゥーやらそういうので個性を出すのではなく、ある程度の統一性を持ったスタイルが望ましい。ヤンキースにはそんな選手はいない。」
・・・個性のとらえ方は人それぞれですが、やはり格好よりプレースタイルに個性を持って欲しいですね。野茂投手のトルネードとか。

佐々木氏「楽天は弱い。コミッショナー権限でエキスパンションドラフトをやったらいいのでは?」
坂井氏「各球団ともライバルに塩を送ることはしたくないはず。選手だって行きたいとは思わないだろう。3年かけて強いチームにしていけばいい。楽天は資本力もあるし、球場整備など設備投資もしてるんだからできるはず。寄せ集めの混成チームでは呼吸があわない。」
・・・球団統合と新規参入で球団数が変わらないのに中身をシャッフルしたことがそもそもの誤り。新規参入の時点では寄せ集めにならざるを得ないわけだから、そこにエキスパンションドラフトの配慮が必要という方が一理あると思います。しかし混成チームはよくないというのも正論。大阪市民球団の新規参入でも、既存球団の買収か、最強の社会人チームをつくってチームごと参入するといった方が「チームとしてのかたち」がつくりやすいとは思います。でも新規参入のスタイルは自助努力だけではどうにもならない話であって、そこがまた難しいところです。

ドラフト改革として、あれこれ時間をかけて考えるよりも、何か実行するという方が大事。裏金問題が起きやすいのは一部のトップ選手だろうから、1位指名だけウェーバーにして、2位以下を自由競争にすると行った方法を試してみるのがよいのでは?
・・・これはいい方法かも!?

西武、ヤクルト、横浜は親会社で球団存続のモチベーションが下がっている。こういう場合はやりたいところがあればどんどん入れ替えてやるべき。既存球団が審査する資格なんてあるのか?
・・・西武の元オーナーの振る舞いを見ていれば、とても資格があるとは思えません。

プロ野球の改革、3つの提案「投手はテンポよく投げる:投球感覚は平均17~18秒と長すぎる。大きな理由はサインの交換。これを改善して2時間半で終わるようにしよう」「バッターは積極的に打つ:大リーグの野球はストライクを打て、日本のプロ野球はボール球を打つな、これではダメ」「常に全力疾走:ピッチャーゴロでも全力疾走すれば緊張感を生みエラーとなる場合もある。イチローを見習え」
・・・淡泊な試合はつまらない。。。という点もありますが、ダラダラという印象は改善して欲しいですね。

全般的にNHKスペシャルのTVオーナー会議よりは随分まともでしたが、評論家としての理想論も交えたお話と現役オーナーの現実味のある討論とでは、重みが違うという点もあります。どうして、オーナー×評論家と掛け合わせないのか。。。議論の中に選手やファンの生の声を取り入れないのか。。。同じ立場の人間だけの議論では、どうしても底が浅い番組になってしまいます。どんなに素晴らしい提案でも実現できなければ、ただのお話にすぎません。大阪市民球団も実現しなければいつまでも夢球団のまま。。。夢は何としても実現しなければいけません。

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